日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

社長太平記  1959年 東宝

監督 松林宗恵 脚本 笠原良三

出演 森繁久彌 小林桂樹 加藤大介 三木のり平 久保明 有島一郎

   山茶花究 三好栄子 久慈あさみ 団玲子 淡路恵子 藤間紫 水野久美

 

社長シリーズはなんとなく見る気になれない・・・のはシリーズものの悲しさでストーリーがわかってしまうから・・・。

1959年なのにまだ白黒のこの映画、三木のり平は営業部長だが、「ぱぁーと新橋あたりで・・・」というキャラではまだなかったのが新鮮(笑。

 

 社会で活躍している中高年男性が戦争経験者ばかりの時代にあわせて?森繁が軍隊で(ヒラ)上司(軍曹?の小林桂樹からひっぱたかれそうになるところに艦長の加藤大介が現れ・・・という夢から始まる。

森繁にとっては悪夢だが、今は女性下着メーカーの社長で、自分の会社に重役として働いている小林桂樹、庶務課長として働いている元艦長の加藤大介、さらに加藤大介の屋敷を買い取って(戦後、加藤は屋敷を手放さなければならなかった)、加藤とその娘 団玲子と小林桂樹とその母、英百合子を住まわせている。

 

森繁の邸宅には別邸に会社の創始者の妻で会長の三好栄子がいる。

森繁の母なのか妻の久慈あさみの母なのかよくわからなかったが、久慈と森繁との会話を聞いていると森繁は婿養子な感じ・・。

 

久保明は森繁の秘書で(まだ小林桂樹が秘書ではないのね 笑)、加藤大介の娘、団玲子と将来は結婚するのだが、重役の小林桂樹は独身で家では母英百合子をこき使っている(これはあとのシリーズでも同じ 笑)、団玲子を好きで意を決して団と加藤の住む同じ家の二階を訪ねると、久保明は団との結婚を報告にきており、小林はがっかりしつつ、ふたりを祝福する。

 

ところで、父の帰りが最近遅いので心配だと団に相談された小林桂樹は、会社帰りに加藤の後をつける・・・加藤は「海軍バー」というところで「艦長」と呼ばれ、今はそこでホステスをしている元海軍の戦死した軍人の娘、水野久美がいる。

 

森繁と小林とのやり取りで小林がまるで森繁に上司のような口をきく時があり、それは戦勝中の森繁と小林との階級の違いが戦後になっても抜けきれないかったり、庶務課長の加藤大介もさすがに元艦長だけあって防災訓練となると張り切ってみんなを指揮したりするなどおもしろい。

また一方で「もはや戦後ではない」とまだ戦争を引きずっている人達を森繁は笑ったりするところもある。

 

森繁が銀座のバー「くまんばち」のマダム、淡路恵子から相談があるといわれ、とある料亭で(森繁はその気)会っている間に会社の工場が火事になる。森繁の行方は知れず、やっと連絡がついて森繁が駆け付けると・・工場は丸焼けでこれで会社は終わりだとしゃがみ込んで泣いてしまう・・・。

淡路恵子の相談も淡路は小林桂樹が好きだからなんとかして欲しい・・・ということだったし、森繁は自分が全て悪いのだ・・・と男泣きに泣く。

そこへ小林桂樹加藤大介が現れ、在庫が燃えてしまったら納品ができないと思っていた森繁に、加藤が全ての在庫を別なところへ移したから大丈夫ですと言う・・。

ふたりの手を取って泣きながら感謝する森繁・・・。

 

加藤大介はその後、新しい時代に合わせ、「ひげ」を剃る。

森繁も「ひげ」を剃る。

小林桂樹は新しい支店(九州)に赴任する。

 

これ、結構面白かったデス(笑。

というのも三木のり平の悪ノリもなく、銀座のマダムの色仕掛け+フラれる もなく、

さらに久慈と森繁との間にはまだ子供がないようで豪邸ではふたり暮らし。

ただ女中の手を握ったりするけれど(笑。

 

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森繁の会社びる。まだ小さい(笑。

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社員を集め屋上で訓示する森繁。日本勧業銀行の看板がみえる。

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日比谷公園でデートする団玲子と久保明

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加藤が通う海軍バーで披露されるストリップ?

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藤間紫が現れ、三好栄子、久慈あさみがいて慌てる森繁

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工場が焼けていまいしゃがみ込む森繁・・