日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

チート  1915年 パラマウント映画

監督 セシル・B・デミル 

出演者 早川雪州 ファニー・ウォード

 

アメリカ映画だが早川雪州が有名になったものなので記事にする。

とにかくびっくりなのが映像の綺麗さ。1915年て大正5年?くらいだろうか。

邦画だと1929年のでも映像が酷くて見るのがつらいのだ。

 

なにかで五所平之助が言っていたことを思い出した。

無声映画で有名なのは現在では小津安二郎だが、これは単に小津安二郎の映画が人気がなかったのでフィルムが失われずに残った。自分(五所)は人気があったので全国的に各地へフィルムが回った。映像を残す・・・という概念が当時なかった日本ではフィルムの行方など皆、気に留めず、結果人気のなかった作品が残った・・・とかなんとか。

 

株仲買人の妻、通称バタフライ(ファニー・フォード)は浪費家で、ここのところ経済的に苦しい夫はそんな妻に節約するように言うが妻は聞く耳をもたない。

バタフライには象牙王?のアラカウ氏(早川雪州)という社交界での知人男性がいる。

赤十字の募金活動などで一万ドルの寄付を集めたバタフライだが、その寄付金を株に投資してすってしまう。

慈善団体ではその一万ドルを寄付することになり、焦ったバタフライは途方にくれる。

 

そこへアラカウ氏が一万ドルの小切手と引き換えにバタフライとの関係をもつことを提案して彼女も受け入れるのだ。急遽、アラカウの一万ドルで難局を乗り切ったバタフライだが、その夜、夫が興奮して帰り、株があがってもうお金の心配をしなくてよいと妻に告げる。

そこで妻はギャンブルですってしまったので一万ドルの小切手をねだる。これでアラカウに返せばよいのだ。

 

アラカウ氏の邸宅を訪れたバタフライが一万ドルを返そうとするとアラカウは納得しない。

そして逃げ惑うバタフライの肩にアラカウは自分の所有であるとする焼きごてを押し付けるのだ。ところがバタフライにピストルで撃たれ、アラカウは倒れる。

 

妻の行動が可笑しいことに気づいた夫はかねてから怪しんでいたアラカウ氏の邸宅を訪ねるとアラカウが血まみれで倒れていた。落ちていたピストルを拾ったところでアラカウの下僕?たちが現れ、彼は警察に逮捕される。

幸いアラカウ氏は命に別状がなかった。

 

裁判で、夫は妻の罪をかぶろうと自分が撃ったと言い、アラカウ氏も夫に撃たれたと証言する。陪審の結果、有罪が言い渡されるが、我慢できなくなった妻は壇上へあがり、

アラカウを撃ったのは自分でそれは彼が自分の肩に焼き印を押したから正当防衛だと言いながら肩をみせる。

その白い肌には焼き印が・・・・

ざわめく裁判所(すごい人数の人が集まっていてこれだけでもアメリカの国力の凄さを感じる 笑)・・そして裁判長は無罪を宣言するのだ!

 

wikiによると白人女性に焼き印を押す・・・という映画は国辱的であると日本では公開禁止になったという。

また1918年のリバイバル上映から日本人の骨董商 ヒシュル・トリという名前がビルマ人の象牙王 ハウ・アラカウに改められたという。それは第一次世界大戦アメリカと日本は同じ連合国として戦ったためだという。

 

日本の無声映画と違い、字幕はかなり簡潔で最後まで読み終わらないというよくある無声い映画の悲劇(笑 はなかった。アメリカにも弁士はいたのだろうか。でもいなくても内容がよくわかる。

早川雪州の押す焼き印はなぜか⛩だった(笑。

当時のアメリカで黄色人種社交界で白人、しかも女性から友達扱いされる(冒頭では早川が車で彼女を送り迎えしたりする)のって絶対ないと思ったけれど、結局白人女性の肩に焼き印を押す行為をする野蛮な日本人・・・ってことか(笑。

 

f:id:nihoneiga1920-1960:20210317132542j:plain

早川雪州の部屋で・・・うしろに仏像

f:id:nihoneiga1920-1960:20210317133408j:plain

映画冒頭、和服姿で焼き印をおす

f:id:nihoneiga1920-1960:20210317133520j:plain

鳥居マークの焼き印(笑