日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

浮雲 1955年 東宝

監督 成瀬巳喜男 脚本 水木洋子 原作 林芙美子

出演 高峰秀子 森雅之 中北千枝子 岡田茉莉子 山形勲 千石規子 木匠マユリ

   加藤大介 大川平八郎

 

私は「浮雲」より「女が階段を上がる時」のほうが好きだが、DVDで欲しかった。中古購入を考えていたところアマゾンの新品で2000円(定価2750円)残り7点!で思わず購入。

他のサイトで中古2300円?くらい(+送料)というのがあった。それは定価が4500円の時のDVDだった。

 

昨日、松山善三の「名もなく貧しく美しく」DVDが1900円!だったのでこれも購入。

本日到着予定。随分前に2度?くらい見たことがあるがこれもDVDで持っていたい映画なのです。

 

で、浮雲ですが、先ほど封を開けました(笑。

過去にも数回見たし、あまりにも有名なのでスジは他で読んでください(え・・。

 

”本作は成瀬巳喜男の集大成であり、また、日本映画史に残る名作中の名作である。”と

ジャケットの裏に印刷されている。べた褒めだ。

 

興味深かったのはDVDの中入っていた映画評論家 木全公彦氏の書いたエッセイで

脚本担当の水木洋子のこと。

彼女は1942年10月に林芙美子と初めて対面し、一緒に報道班員として南方へ赴き、八か月ほど滞在したという。

だから映画で高峰秀子が南方で働いていて、そこで森雅之と・・・のところも長かったのか・・・と思った。

2時間を超える映画であることがなんだか見るのが億劫な理由でもある(汗。

だが、エッセイによると成瀬巳喜男は脚本を(それでも!)ドンドン削っていき、両者の間で激しいやり取りがあったと書いてある。また水木が屋久島でのロケを強く主張したが成瀬は鹿児島ロケで引き上げてしまい、結局屋久島はセットとなったという。

成瀬は通常30日ほどで撮影を終えるが、珍しく45日ほどの長期撮影となったとも書かれている。

 

林芙美子の原作では、男が再び女の金で遊びに行く・・・のだが、水木は女の死を男が慟哭する瞬間で終わらせている。水木は男への絶望を叩きつけたくはなかったと新聞に語ったとある。

そう、この終わり方も好きじゃないのだ・・・私は(汗。女が死んでおめおめ泣く・・・で終わるという終わり方。

長くて見ててイライラする(笑。

もし溝口健二なら女の死のあと、男が女の金で遊びに行くところまで脚本を変えて絶対撮ったと思った(笑。彼は女性を徹底的に痛めつけるのだ。こちらのほうが現実的だし逆に女の死の悲しさが観客からすると深くなる・・・と・・思うのだ。

 

高峰秀子はこの映画に出演するにあたって、森雅之と痩せる努力をしたという。

私もこの高峰の記述は覚えている。不幸なふたりはやはり痩せているのが良いよね。

 

そうだ、屋久島へ渡る船を見送りに、高峰を診た医師役は大川平八郎がいたのを思い出した。

 

近々、もう一度じっくり見直しますので追記あるかもしれません。

 

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アマゾンより