日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

湯の町悲歌   1949年 新東宝

監督 野村浩将 脚本 錦美奈仁

出演 近江俊郎 山根寿子 浦辺粂子 汐見洋 千石規子 田中春男 清川荘司

 

山根寿子続きます。

近江俊郎が作曲したヒット曲、湯の町エレジーを映画化したすれ違い映画(笑。

当時だから作れた物語。今ならスマホがあるからこんなすれ違い、行き違いは起こらない。今の脚本家はたいへんだ。

 

近江俊郎と言う人を初めて見たのは子どもの頃のテレビ。もうすでに白髪のおじいさんだった。

そして新東宝の社長大蔵貢って近江俊郎の兄だったのね。だから近江俊郎の本名は大蔵敏彦という(wikiより)。作曲や歌、そして映画監督や俳優としての才能があった人だ。

 

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映画より 近江俊郎

 

伊豆の温泉旅館の娘、山根寿子。彼女の親、浦辺粂子、汐見洋は番頭の伊之助と娘が一緒になることを望んでいる。しかし山根寿子はあまり乗り気ではないのだ。

 

ある日、作曲に悩む近江俊郎がふらりと伊豆にやってきた。紅葉館に宿泊し山根と知り合った。ふたりとも好意を寄せ、いい曲が作れたという近江とそれを喜ぶ山根は思わず接吻を交わすが(早っ)、その日、東京から呼ばれた近江は急遽宿を後にする。

その日のうちにまた来ると言った近江には実は婚約者がいた。彼女の家は裕福で作曲では食べていかれない近江の面倒をみていたのだ。

 

いつまでも帰ってこない近江を訪ねて東京へ向かった山根だが、なかなか会えない。

近江がいるというキャバレールルに行くと近江は帰ったあとで、そのキャバレーに勤めている同級生?の千石規子とばったり遭遇し、とりあえず千石規子のアパートへ。

 

伊豆の家では番頭の伊之助が金貸しの田中春男に呼び出されていた。借金の期限がきて

旅館は田中春男のものになるが、山根に惹かれていた田中は旅館をそのまま経営させ、利益の2割をもらうかわりに娘との結婚を望む。両親は乗り気だが肝心の山根がいない。

 

東京では千石規子に諭され、伊豆へ帰るように言われてた山根は結局田中春男と結婚することになり、その結婚式当日、近江俊郎は伊豆へ現れ・・・

 

といった中々会えないふたりにイライラする映画(笑。

 

番頭の伊之助という人、山根の結婚相手候補としてはちょっと年取ってないか・・・

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浦辺粂子と番頭の伊之助

ところで、デコちゃんの顔の小ささを昨日言ったが、デコちゃんの顔も小さいが、山根寿子の顔は普通の人に比べて大きいんじゃないか・・・と思ったのがこの映画。

 

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千石規子と山根寿子

結局、ふたりは結ばれるのかなんなのかわからない感じでこの映画は終わる。

湯の町非歌だからやっぱり結ばれない悲しい結末なんだろうと思うけれど。