日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

人間に賭けるな 1964年 日活

監督 前田満州夫 脚本 森川栄太郎

出演 渡辺美佐子 藤村有弘 川地民夫 結城美恵子 二本柳寛 

 

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川地民夫だから暴力とか反抗とかの映画かと思いきや、藤村有弘が主役のような物語。

チョイ役しか知らなかったのでビックリ♪。シリアスな役でなかなかだった。

そもそも題名がよくわからなかったのだが、なるほどね、納得した。

 

シェーバーの営業マン、藤村有弘は競輪好きで顧客から払われた代金や生まれた子供の養育費として病院に支払うお金をすってしまう。

競馬場で知り合ったヤクザの親分の妻、渡辺美佐子はいつもビリな競輪選手、川地民夫に賭けろというのだ。信じられない藤村だったが、言う通りに賭けてみるとなんと川地が一着で大儲け・・・

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藤村有弘 渡辺美佐子

 

藤村は共働きで、妻は教師をしているが家庭はひえきっている。

 

ある日、大坂出張の列車で藤村は川地と渡辺の姿をみる。後を追うと二人は抱擁している・・・。

 

渡辺は組からお金をもらって自分の実力を発揮しない川地をその気にさせ勝つことに期待を寄せている。夫は渡辺が警察に密告して今は刑務所にいるから誰にもじゃまされない。夫の姪の結城美恵子は川地とゆくゆくは結婚したいと思っているが、それには川地にヤクザとの付き合いも、そして競輪選手もやめて欲しいと望んでいる。

 

大阪を振り出しに川地の転戦についていく渡辺と藤村だが、川地は一向に勝てない。

それでも渡辺は狂ったように川地に賭けるのだ。

 

すっからかんになって東京へ帰る。今度は東京のレースだ。ちょうど組の親分、二本柳寛が出所。競輪場裏へ連れてこられた渡辺・・・二本柳寛は誰が警察に密告したのかすでに知っていた。二本柳寛って小津映画では原節子の相手役をやっていたけれど年を重ねるにつれ、ヤクザとか恐い男の役ばかり。ただピッタリだった。

 

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渡辺美佐子 二本柳寛 結城美恵子

 

川地はというと新しいスポンサーをみつけ、やはり八百長をするのだった。

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川地民夫

最後はなんとも皮肉な結末。この映画の監督と脚本家は初めてでした。