日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

春雪   1950年 松竹

監督 吉村公三郎 脚本 新藤兼人

出演 佐野周二 龍崎一郎 志村喬 英百合子 藤田泰子 高橋貞二 沢村晶子

   東山千栄子 殿山泰司 青山杉作

 

f:id:nihoneiga1920-1960:20211003131342j:plain

衛星劇場より

戦後5年で封切された映画。

 

父は失業中、弟はアルバイトでなんとか大学に行き、一番下の妹はまだ中学生?。

すぐ下の妹、沢村晶子は田園調布のお屋敷へ女中として住み込みで働くことになった。

長女の藤田泰子は私鉄(東急?)に勤めているが月給の全部を家計にいれている。

母の英百合子は月1000円程度の内職。

 

藤田泰子には2年越しの恋人、佐野周二がいる。東急電車の運転士をしているがやはり家が貧しく月給の半分を入れているが、彼は藤田に兄弟と話して月給の三分の一を家に入れることにしたから結婚しようと言うのだ。

 

自分の家の事情を考えると即答できずにいたが、帰りの電車を運転してた佐野に彼女は父に話してみるというのだった。

 

家に帰ると母の機嫌が悪い。失業してから1か月、父 志村喬は失業を黙っていたのだ。その現実を知って、藤田泰子は結婚のことなど言えなくなるのだった・・・。

 

ある日、女中に行った妹、沢村晶子が家を訪ねてきた。是非奉公先へ挨拶に来てくれというのだ。

奉公先の息子、龍崎一郎に渋谷で切符を売ったのが藤田泰子だったが、中目黒で降りたとき、龍崎は切符を落としたことで駅員に始発からの運賃と罰金を払うように言われていた時に藤田が改札を通り、同僚の駅員に私は確かにこの人に切符を売ったと証言してくれたので龍崎は渋谷からの運賃だけを払って終わりになった。

 

妹の奉公先へ挨拶にあがり、龍崎だけでなくその母東山千栄子にも気に入られる藤田。

龍崎は一人娘がいるがその母親はなく(死んだ?)独身の指揮者であった。

 

帝劇のバレェの指揮をするという龍崎に誘われ、その夜藤田はバレェを見に行く。

周りの観客を見渡すと素敵なヒールの靴を履いた女性、毛皮のショールを巻いた女性をみて藤田はぼろ靴を履く自分が恥ずかしくなったりした。

 

ある日家に帰ると父と母が藤田に話があるという。龍崎が訪ねてきて娘さんと結婚したい、ついては家の面倒もみると言われたという。嬉しそうな親の顔をみてはっきりした態度が取れない藤田は考えさせてくれというのだ。

 

一方、大学生の弟、高橋貞二はデパートで万引きしようとして警察へ。

情状酌量された弟を迎えに藤田泰子が迎えに行き、突然の雨で最寄り駅前にあるラーメン屋でラーメンを食べるふたり。

そこで藤田は弟に私たちの誇りは正しく生きていることだと言うのだった。

 

翌日、出勤すると佐野周二が静岡に転勤するという。出発もその日だった。

半年ほどで戻ってくる予定だという佐野。静岡の途中まで送りがてら二人は海岸へ行く。まだ佐野との結婚も龍崎のことも何も決めていない藤田だが、家に帰ると両親が上機嫌で龍崎さんの父の経営するセメント会社で守衛として働くことが決まった、そして藤田との結婚のことも承諾の答えをしてきたと上機嫌。

ここで藤田は私は龍崎さんとは結婚しません、佐野周二と一緒になるという。

 

びっくりする両親だったがすぐに龍崎の家へ父が行き、縁談を断ることにする。

これで自分の就職もダメになると思っていた父親の志村喬だったがそれは関係なく無事就職が決まった・・・・というめでたしな物語。

 

脚本が新藤兼人なので???なところが少々。

一番はやはり妹が女中をしている家に嫁入りする(かも)という設定。

初めて龍崎の家へ行った時も藤田がお客様で妹がコーヒーをいれたりして働くのだがその後龍崎と藤田が外出したりして・・・っていうのが不自然な感じ。

 

吉村公三郎だから演出は良かったが、藤田泰子という人のセリフが下手過ぎて((;'∀')

というかなんか初めてトーキーになった時のような女優さんの喋り方でかなり独特だった。

 

藤田の家の設定が中目黒で本物の中目黒のホームが映るのだが高架されていてすでに高いところにあった。ただ駅の周りは今とはまったくちがって貴重映像。

中目黒の改札にいる駅員は与太者シリーズの磯野秋雄だと思う。