日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

警視庁物語 聞き込み 1960年6月 東映

監督 飯塚増一 脚本 長谷川公之

出演 神田隆 堀雄二 花沢徳衛 山本麟一 須藤健 佐原広二 山村聰

   柳谷寛 菅井きん 大村文武 山東昭子 八代万智子 奈良あけみ

 

待望の警視庁物語!

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東映チャンネルより

 

本庁内を歩く老婆、一課の主任、神田隆が話しかけると、老婆は自分の弟が行方不明だと言う・・・。

ま、警視庁本庁舎内を一般人がわけもなく入れるとは今は思えないけれど、一瞬庁舎の中から外から入ってきた老婆を写すシーンがあるが、あれは本当の内部だろうか。もしそうなら貴重。私、昔、警視庁に犯罪証明・・・っていうか無犯罪証明っていうかビザ取得で取りに行ったことあるけれど(もちろん現庁舎)絶対中に入れてくれなかった、というか入口で待つように言われた。建物内部にはいれるのかとちょっと期待したけれどやっぱりガードは固かった(笑。

 

話を聞いてあげようと一課に連れて行く主任・・・って親切過ぎないか?(笑。

 

老婆の話はこうだ。独身で靴やをやっている弟のところへ行くと店は閉まっていて弟はいない。隣のクリーニング屋に訊いてみるとなんと弟の息子だという男から靴やの土地を買ったという。近くに弟が買った土地があるがなんだか新築工事をしている。それに弟はずっと独身で息子がいるということはない・・・

 

話をきいた主任以下刑事たちは犯罪の匂いを感じ取り、捜査を開始することになる。

もしかしたらその弟は死んでいるかもしれないとすぐに身元不明の遺体を調べてもらうと多摩川で溺死体となった男がいた。年恰好もちょうどで片足が悪いという特徴もピッタリ。早速老婆にその写真をみせるとやはり弟だという。

死因は溺死で胃の中にはアルコール成分が検出された。事故なのか事件なのかわからないが土地が売買されているので事件だとにらむ刑事たち。

まずは靴やの隣のクリーニング屋で息子となのったその男の人相風体を聞きこむ。

さらに弟がもっていた土地へ行って現場で働いていた大工からその注文主を教えてもらうと近所の不動産屋だとわかる。その主人が山村聰・・・普通ならじゃぁ山村聰が悪人なのか!と思っちゃうのだが、これ意外だけど彼の関与はないのだ(すいませんネタバレ)誰から土地を買ったのか?と聞くとまた近所の不動産屋、柳谷寛だという。

じゃぁ、柳谷寛か!と思うけどやっぱり違う展開なんだなぁこれが。

柳谷はその土地の話をもってきた男がいてその男は今分譲地を売っているという。

 

その男とは大村文武!わー前に刑事だったのに(笑。

大村文武を調べてみると偽名を使い、実は前科があったことがわかる。地面師だ。

 

また殺された弟の足取りを追う刑事は殺されたと思われる夜に寿司を2人前届けるように弟に頼まれたという寿司屋があった。その家へ配達にいった小僧に案内させると

そこはなんと前回、赤ん坊の遺体を遺棄したのではと疑いをかけられた男、今井健二の家だった・・・・。

 

大村文武と今井健二の接点を大村の自供から知り、今井の情婦の八代万智子の自供から息子に扮した男は今井健二で弟は民謡酒場にいた八代万智子の誘いで今井の自宅へ呼び出され、風呂へ入っている時に浴槽で溺死させられたことがわかった。その後死体を多摩川へ二人で遺棄したというのだ。

 

時は土地投機ブーム。今井は弟がもっていた土地を売った金で新宿に土地を買い、

それをまた売ることで儲けようと元の同僚、大村文武と組んでいた。大村から今井と連絡をとるのは銀座のスワンという喫茶店に呼び出すことだときき、珍しく堀雄二が土地を購入したいという会社社長に化ける。おとり捜査!

 

のこのこ現れる今井雄二。喫茶店での現金のやり取りはなんだから・・・と堀は自分の会社へ行こうと提案し、黒塗りの車へ乗る。

後ろのシートの真ん中に座った今井健二がなんだか前に会ったような気がする。なんという会社ですか?と訊くと「桜田商事」だという。そして桜田商事の・・・と言いながら警察手帳をだし・・・車は警視庁へ向かって走るのだった。

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アマゾンより

 

一時間の物語だけれどおもしろくてこれだけの話を詰め込んであるとは思えない(もっと色々な登場人物がいる)。これは「血液型の秘密」とセットでみないと今井健二のことがわからない。そしてかならず「血液型の秘密」を先にみることなのだ♪

 

山東昭子は民謡酒場の女でほんとにチョイ役(笑。前回と繋がりのある話なので「血液型の秘密」でもその民謡酒場がでてきて山東昭子も出演していたとあるが気づかなかった(;'∀')

彼女はほんとに議長になって救われたよね、女優じゃ食えない。でもどうして山東昭子?。こういうのどうにかしたほうが良いと思うよ自民党さん。後釜っぽい人ももう数人いるしね。

 

さて最後にでてくる銀座のスワンという喫茶店のあった場所は並木通りと花椿通りの角だという。グーグルマップでみるとナチュラルローソンになっている。

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第2一越ビル