日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

この首一万石  1963年 東映

監督 伊藤大輔 脚本 伊藤大輔

出演 大川橋蔵 江利チエミ 大坂志郎 柳谷寛 水原弘 藤原釜足 

   東野英治郎 平幹二朗 赤木春恵 堺駿二

 

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スカパーより

 

時代劇だし、東映だし(笑、江利チエミだから期待せずに見たけれど、どんどん面白くなって最後はえーーーーーーっ!で終わるびっくりな映画だった。

 

日雇い労働者(今でいう派遣?)の大川橋蔵は武士の娘だが長屋で生まれ、長屋で育った江利チエミと恋仲だが、江利チエミの父親、東野英治郎は二言目には「武士の娘として・・」と口うるさい。父親は娘は武士でないと結婚させないと言い張るのだった。

 

ある日、小大名の小此木藩が九州へ帰国するので人足を募集し、大川橋蔵は槍持ちとなった。別れ際、江利チエミは手ぬぐいで作ったという奴の半纏の形をした布を渡す。

 

意気揚々と旅にでた橋蔵だが、人足仲間のいさかいで足をケガしてしまう。皆先へ行ってしまうが強情を通して遅れながらも宿場を目指す。

本陣に到着した武士一行だが、後から到着する49万石の大名行列の一行が本陣を明け渡せと言ってくる。おもしろくない武士はそれなら首を持ってこいとか大権現様から賜った槍があるので明け渡すことはできないなどと言い、相手を困らせるが長老、藤原釜足が小此木藩へ大枚を渡すとあっさり脇本陣へ。

 

そんなことを知らない橋蔵。途中で女郎に声をかけられ、あまりにも恋人の江利チエミと似ているので(二役)本陣の玄関に槍を立てかけ、女郎屋へ急ぐ。

そこへ49万石の大名が本陣へやってきて小此木藩の槍が大権現様から賜った本物かどうかを調べるとなんと偽物。怒った49万石の武士が小此木藩へ槍を取りに来いと知らせを出すが、小此木藩は人足ふたりを使いに出す。益々おもしろくない武士たちが、武士の作法で謝れと人足に伝える・・・。

それをきいた小此木藩の武士。切腹をしなければならないと知り、大慌て・・・・。

 

橋蔵が常々武士になりたいと言っていたので橋蔵を武士にして死んでもらい、そして槍を取り戻そうと女郎と過ごしてすっかりいい気分の橋蔵の頭を武士の頭にし、座敷で斬り捨てようとするのだが、その時、代官の平幹二朗が来たと女中が襖を開けたので斬られずにすんだ。その後も橋蔵を斬ろうと皆で襲い掛かるが橋蔵も必死で応戦。

 

その騒ぎで代官に本当のことを話すと、代官はそれなら橋蔵は気が狂って斬り捨てたことにしてやるという。

しかし、橋蔵、小此木藩の武士全員を殺すのだがかなり凄い殺し方。橋蔵も斬られて血まみれで、最後は代官が連れてきた鉄砲隊に撃たれて死ぬ。

 

49万石の藩はそんなことは冗談で言ったことだと言うのだがそんなことをしらない小此木藩の武士。武家社会の理不尽さ満載。そんな時代に生まれなくて良かったと思う映画だ。