日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

血槍富士  1955年 東映

監督 内田吐夢 脚本 三村伸太郎 原作 井上金太郎

出演 片岡千恵蔵 月形龍之介 加藤大介 喜多川千鶴 進藤英太郎

   島田照夫 吉田義夫 加賀邦夫 

 

10月1日、突然庭の金木犀が香りはじめた。常緑の普段は地味な木で存在さえ忘れている。金木犀はほんの少しでも香りが強く、昨日は町中金木犀の香りで満たされていた。

今朝も陽が照ってくると窓から香りを感じられる。

1週間でオレンジ色の小さな花が散って、また金木犀のことは忘れられる。

春先の沈丁花もそうだ。たった1週間。

 

映画の時代劇はあまり好きではないが、これは面白かった。

最初、片岡千恵蔵がずーっとでて、とにかくヒーローなんだろう・・・と思ったからだ。女優の喜多川千鶴と言う人もなじみがなかったし、月形龍之介片岡千恵蔵が喜多川千鶴を巡ってどうにかなるのか?と勝手に思っていた(笑。

企画協力で小津安二郎溝口健二清水宏伊藤大輔のなまえがある。

 

子供の使い方がうまかったのは清水宏監督のおかげ?か。

 

槍持ちの片岡千恵蔵は主人の島田照夫、同じく荷物持ち?の加藤大介と江戸へ茶碗を献上しに東海道を上っていく。(下っていく?)道中でおこるさまざまな話が盛りだくさん。片岡千恵蔵ばかりではなく、加藤大介や主人で酒が入ると手が付けられなくなる島田照夫、孤児で江戸で槍持ちになりたいと片岡千恵蔵について歩く子供、旅暮らしの三味線引きの女、喜多川千鶴と娘、30両のために娘を売る親子、大泥棒の進藤英太郎

金山で働き、30両を貯めて娘を身請けしようとしている月形龍之介とそれを追う岡っ引き、大名行列でその大名が風流だといって途中、町民を足止めして自分たちは富士を眺めながら茶を楽しんだり・・・

最後は、主人が加藤と酒を飲んでいると、別の武士5人が居酒屋で下郎と酒を飲むなんて武士ではないなどと因縁をつけられ、下郎でも人間だと言い合いになる。刀を抜きそうな両人をとりなそうと加藤大介は「おやめください!」と懇願するが、そんな加藤を武士は切り捨てる。そして主人も5人相手に切り殺されてしまう。

 

それをみた野次馬のひとりが宿で出立の準備を終えた片岡千恵蔵に伝えると片岡は主人の槍をもって現場へ走る。必死で戦い、見事5人を仕留める。

 

その武士は松平家の家来だったが、松平家では下郎に切られるような家来はいないとして片岡千恵蔵はおとがめなし。加藤と主人の骨をさげ、槍と茶碗を背負って江戸?へ歩く・・・・。(wikiでは国元へとある・・)

 

主人役の島田照夫、いい男だった(笑。昨日の森美樹といい、美男をみるのは良いね。

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島田照夫 

加藤大介相手に「小十郎は小十郎で源太ではないのう?」という島田照夫。

武家社会の理不尽に旅を通して気づく。