日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

白い炎 1958年 松竹

監督 番匠義彰 脚本 柳井隆雄 原作 井上靖

出演 大木実 高千穂ひずる 田村高廣 小鳩くるみ 夏川静江 笠智衆

   有沢正子 小林十九二

   

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松竹より

当時はやりのメロドラマなんだけど原作が井上靖なんで丁寧なつくり。

 

那津子はちべっとへ探検に行きたいという遠い親戚の木津(田村高廣)と恋仲であったが、木津は酔っぱらった時に那津子の友人の愛子(小鳩くるみ)と口づけを交わしてしまったことが許せず悶々とした日を送っているうちに木津と愛子が結婚することを知る。

山登りで知り合った新聞記者の的場(大木実)は強引で厚かましいが悪い男ではなく

那津子と結婚したいと那津子の両親へ勝手に申し入れる。

ある日、那津子は愛子に誘われ、愛子と木津の暮らす家へ行く。愛子は大学生を家へ呼んで遊んでいるがそれは家庭で木津と会話がなく冷え切っているからだという。愛子に頼まれて木津と愛子の仲を取り持つために仕方なく木津と会うことになった那津子。

お互いまだ愛していることを確認し、木津からその日の夜行で京都行きを承諾する。

同じ日、的場に呼ばれ彼のアパートへ行くと富士宮で医者をしている父(笠智衆)と会わせられるはめになるが那津子は的場の父親にはっきり結婚を断るのだ。

 

東京駅へ行った那津子はそこで自問自答する。木津と京都へ行くことは親友の愛子を裏切ることになる・・・でも自分は木津を愛している・・・

木津はホームで那津子を待つが結局那津子は現れず、ひとり夜行に乗る木津・・・。

 

那津子はその足で的場のアパートへ行き、自分をどうにかして欲しいと訴え、二人は一夜を共に過ごす。翌朝、楽しそうに那津子との結婚式や結婚後の生活を話す的場だが

那津子はやはり木津のことを思い出すのだった。

 

新聞記者だった的場はなかなかのやり手で記者を辞めて実業家として大阪で商売を始めており、那津子は大阪の天王寺の借家で暮らすことになった。誰も知る者がいない大阪は那津子にとっては静かに過ごせる環境だったが、ある日愛子が京都へ来ているから会いたいという。木津のことを思い出されて気乗りはしなかったが愛子は木津が愛子の父の証券会社を継いだが株で失敗し債務整理をしていることをきく。

愛子は結婚というものはやはり愛してくれる人と一緒になったほうがよい。木津はなんだか自分を愛していないようだった・・・と那津子に言う。愛子は木津と離婚するつもりのようだ。

 

東京へ戻った那津子は的場に隠れて木津の会社を訪ねる。彼は会社に寝泊まりし残務整理をしていると新聞で知ったのだ。このままでは木津は自殺するのではないか・・・と不安になった那津子は腹を決めて木津を伊豆へ行こうと誘った。

そして夫の的場に木津を助けて欲しいと頼むが的場は鼻で笑って助ける気はないという。

翌日、約束の時間になっても木津は現れない。前とは逆に今度は那津子がまちぼうけ。ひとり汽車に乗って彼女は的場の父のいる富士宮を訪ねる。

迎えにきた的場と喧嘩となり義父の家を出ようとすると木津からお礼のはがきが届いていた。的場が援助を申し入れた知った那津子だが結局木津は自殺してしまった。しかし夫の行動に感動した那津子はこの時はっきり的場についていこうとすがるのだった・・・

 

衛星劇場より

高千穂ひずるの役は結構はっきりモノを言う女性だが現代を比べるとまだまだ奥ゆかしい。親友の夫と夜行列車に乗ろうか、どうしようか・・と迷うところはドキドキした。

 

もう一人の友人として有沢正子が登場する。髪型からか高峰秀子に本当に似ていた。

 

有沢正子

これだけ的場(大木実)に愛される那津子(高千穂ひずる)は幸せだと思うよ。