日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

人間狩り  1962年 日活

監督 松尾昭典 脚本 星川清司

出演 長門裕之 渡辺美佐子 梅野泰靖 大坂志郎 高野由美 中原早苗 伊藤孝雄

   小沢栄太郎 菅井一郎 山岡久乃 神山繫 下元勉 

 

www.nikkatsu.com

 

題名だけだとなんだかエログロみたいだが、刑事もの。ただし、純粋なる刑事ものじゃない。冒頭は警視庁物語みたいな感じだったんだけど、先にネタバレだが加害者を追い詰めるも逮捕しない展開・・・

 

新宿警察の小田切刑事(長門裕之)は悪いやつを捕まえても証拠がないとか、身代わりを立てられたりで本命を刑務所にぶち込めないのが不満だ。

いつも警察に引っ張ってこられる悪いやつのひとりに田口(小沢栄太郎)がいる。

 

ところが田口はひょんなことから15年前の強盗殺人を小田切刑事や同僚の桂木刑事に話す。その日は時効まで12時間あった・・・。

強盗を一緒にやってその店のおばさんを殺したという房井という男を探しにまだ間に合うと小田切刑事は聞き込みを開始するも、田口は時効がまだだと知って桂木刑事の取り調べもそんなことは言ったことがないとシラを切り始める・・・。

 

おーここまでは結構おもしろかったのよ♪

 

田切刑事には志満(渡辺美佐子)という飲み屋の女がいるが、彼女は小田切が逮捕して絞首刑になった男の情婦であり、ワルの田口とも付き合った過去がある。

田切がずっと自分を許さないと思っている志満は小田切に別れを告げる・・・

 

田切は警視総監賞を何度ももらった優秀な刑事だが、厳しすぎる一面があり志満のいる飲み屋の女将(山岡久乃)などから嫌われているが、彼は子供の頃に女でひとつで育ててくれた母親を殺された過去をもち、被害者家族を思うと自分のことのように感じるのだ(ということが同僚の桂木刑事の話からわかる)

 

小さな手がかりから姿を消した房井という男を追うと、今は町屋で妻(高野由美)、息子で会社員の(伊藤孝雄)、娘で区役所勤めと夜の仕事をしている(中原早苗)と靴の修理やを営んでいた。妻は病気がちで寝ているが妻の連れ子だった息子、娘にも慕われ、慎ましく暮らしている。

 

田切と一緒に房井を追っていた刑事・・・丸の内警察?からきた若い人だが、自分ならこんな事件は追わない・・・と???なことを言いだす。

さらに同僚の桂木は志満を連れ、小田切の張込み先の喫茶店へ行って房井の追跡を諦めろ・・・みたいなことをいいだす。小田切は「被害者家族はどうなるんだ!」と言うが

刑事ふたり、そして志満はまるで悪人をみるような目で小田切を見つめる。

 

田切と志満は二人きりとなり、線路際で口づけを交わしていると房井(大坂志郎)らしき男があらわれた。

志満を振り切るように、追跡する小田切町屋駅へ逃げ込んだ房井。父親が強盗殺人を働いた男だと知っても娘は養父を追って駅の改札で通帳と印鑑を手渡すのだった。

田切が慌てて駅へ入ろうとすると娘が「父を許して」と食い下がる。

ホームに電車が滑り込む。房井は飛び込もうとするが小田切は抱きしめて房井を守る。

房井は観念して倒れ込み腕を差し出すが小田切は手錠がかけられない・・・

時刻は午前0時前・・・・

 

そして0時を過ぎた。

後からホームへ現れた志満はほっとした表情でこれなら小田切とやっていける・・・

顔をする(みたいな)。

 

当時の時代背景として警察の強引な取り調べとか、えん罪とかがあるのだろうが

いくらなんでも時効成立前に(まだ時効があった15年)手錠をかけられたのに

やっぱりやめるのは女のため?

同僚の刑事も一緒になって逮捕するなみたいなこと言うのはどうよ?

 

これが普通の刑事ものだったら間一髪で逮捕。ただ加害者も同情すべき点はあるが・・

で終わるんだと思うけど。

同情すべき点

加害者は田口にそそのかされ、当時乳飲み子がいて粉ミルク欲しさに強盗の見張りを頼まれたが、物色していたときに店のおばさんが起きてきて騒がれそうになったので殺してしまった。そして当時の妻も乳飲み子も死んでしまった。

再婚相手の息子は会社の部長?の娘との結婚も決まり、将来を期待されているサラリーマンだが、養父の殺人を知って慌てる。自分の結婚も将来もなくなるというのだ。

 

ま、当時はそうだよね。殺人者の子供だとか言われるし。今もまだソノ感じはあるけど。

加害者家族が不幸になるだけだからほっとけば・・というのもわかるが、

じゃ、被害者家族は救われるのか?と・・・

 

田切のように被害者の家族はどうなるんだ!と私が言いたかった最後でした(笑。

 

 

 

アマゾンより

ここで赤羽駅東口がでてくる。

なんと!聞き込みに行った不動産屋とその横にある種屋という店はいまだに営業しているのだ。私は知っている!しかも種屋という店はこの映画のママの建物だと思われる・・・。

 

映画の不動産屋と右横の種屋 1961、2年

太洋不動産は建て替えられている。映画は大洋不動産、現在は太洋不動産、大が太になっているのはなぜ?右横の種屋は建物が同じようなので当時のママの建物だと思う。昔はお菓子専門?だったようだが今はタバコも売っている。(というかタバコがメイン)

2022年の種屋と不動産屋