日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

こころ  1955年 日活

監督 市川 昆 脚本 猪俣勝人 長谷部慶治 原作 夏目漱石

出演 森雅之 三橋達也 新珠三千代 安井昌二 田村秋子 北林谷栄 下元勉

   奈良岡朋子 山田禅二 下條正巳 

 

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夏目漱石の原作は読んだことがないのでわからないのですが、果たして森雅之演ずる先生は三橋達也演ずる先生の友人を殺したのか??という点。

思わせぶりなのは先生の家の女中(奈良岡朋子)との間柄。お互い、目と目と合わせるところ。明治の末、主人が女中に手をつけるのも普通だった?時代だったのもあってその後の展開になにかあるのか!!と思ったがなにも関係なかった。これは演出なのかそれとも原作では関係があるのか??

 

卒業もまじかの日置(安井昌二)は海で知り合った「先生」(森雅之)に心酔しており、先生の家をよく訪れる。先生は結婚して13年?になるという美しい奥さん(新珠三千代)と女中と暮らしているが子供はない。

先生は実家の財産を任せていた叔父さん(山田禅二)に東京で学生暮らしをしている間に資産を使い込まれておりそれを隠すために叔父さんの娘との縁談の話を持ち掛けられた過去をもつ。結果、人間嫌いになっている先生。大学卒業後、仕事をするわけでもなく日々勉強する先生。(遺産で食べている?という羨ましい生活)

日置は先生のことをもっと知りたいと思う。ある日、先生は日置に自分の話を時期をみて話すというのだが・・・。

 

そして先生の学生時代の回想シーン。学友の梶(三橋達也)が登場する。

当時、奥さんの家に下宿していた先生は友人の梶もおいて欲しいと奥さんの母(田村秋子)に頼む。

美しい娘に若い男性がふたり・・・

梶は変わった男だったが、だんだん無邪気な娘に惹かれていく。それを知った先生は梶に先を越されまいと母親に結婚を申し込む。母は喜んで承諾するがそのことを梶に言うと梶はその晩、先生あてに遺書を残して死んでしまう。

↑このシーンが謎。刃物を使って亡くなったのだが、それを発見した先生は驚くわけでもなく・・・。

 

月日が流れ、先生は日置と知り合うが、先生に就職を頼んだ日置は田舎の父が危篤となり、しばらく東京へ帰るわけにはいかなくなった。どうしても日置に話たい先生は学生時代のことを日置に手紙を送り、それを読んだ日置は慌てて東京の先生の家に行くと彼が心配したとおり、「喪中」がかかっている。(ま、先生、死んじゃってました)

出てきた奥さんが開いたままになっている門をぴしゃっと閉める→完。

ってこの終わり方、1960年の「おとうと」でも突然終わるのと同じ感じ(笑。

「おとうと」 より5年も前に試してたんだ((;'∀')。

 

学生時代も森雅之が若作りして演じていて、もちろん三橋達也もそうですが、ズラ感半端ない(笑。

今、なにかと世間を騒がせている宝塚ですが、新珠三千代も宝塚の娘役トップスターだった人。彼女の娘役は違和感なかった。

この2年後くらいに三橋達也と私の好きな「洲崎パラダイス赤信号」と共演するのですね♪♪

 

68年前に封切の映画ですので出演された有名な俳優さんで唯一生きていた奈良岡朋子さんも2023年3月に亡くなった。

 

日活より