日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

破壊 1962年 大映 

監督 市川崑 脚本 和田夏十 原作 島崎藤村

出演 市川崑 長門裕之 船越英二 藤村志保 三國連太郎 中村雁治郎

   杉村春子 岸田今日子 宮口精二 浜村純 加藤嘉 浦辺粂子

   見明凡太郎 潮万太郎 

 

市川雷蔵・潮万太郎

コレステロールが下がるという小林製薬の紅麹サプリ。実は私も薬局でみて買おうかな~~、とってみようかなぁ~と思っていたんですよね。なにやらトマトジュースとか豆乳とか亜麻仁油とか試してもイマイチだったんで。ただ値段みてやめましたけど、ケチな自分を褒めてあげたい(笑。ま、観念してお医者さん通ってますけど(;^_^A。保険3割負担で。

今朝の週刊誌の見出し宣伝には一平さんのついた「ウソ!嘘!うそ!」が。まぁウソをついたことのない人はいないんじゃないでしょうか。一平さん、今はとにかく叩かれます。

この作品はウソをつかざるえなかった時代の部落出身者の苦悩で最後に「ここで泣いてぇ~~」なシーンが結構長くあるんですけど、泣いてしまいました。

泣かそう、泣かそうという演出にはシラケることが多いんですけどね(笑。

 

明治時代の後半。部落出身の瀬川丑松(市川雷蔵)は身分を隠して学問をし、信州は飯山の町の小学校の教師となった。遠い部落で独り暮らす父の死に目にもあえず、埋葬された墓石もない父の土が盛り上がっただけの墓を後日、こっそり訪れるのが精いっぱいだった。

旅館を下宿としていた丑松だが部落民だとわかった男が追い出されるのを目の当たりにする。

唯一の救いは部落解放運動の師、猪子蓮太郎(三國連太郎)が書いた書籍を読むことだ。丑松の同僚で植物学者を目指している土屋銀之助(長門裕之)は猪子の本を読むこを快く思っていない。彼も世間の当時の常識人なのだ。

身分を隠している伯父からも決して部落民だと思われてはいけないときつく言われた丑松。もしわかったら彼は全て失ってしまうのだ。

 

なんとなく居心地の悪くなった丑松は蓮華寺という寺に間借りするために荷物を積んだリヤカーをひいているとやはり教師で年長の風間と出会った。

士族だった風間(船越英二)はもう少しで恩給のもらえる勤続15年になるのだが、酒のために学校をよく休み、校長(宮口精二)からクビにされてしまう。風間は丑松が校長に気に入られているのでなんとか口ぞえをして欲しいと頼みこむが結局堅物の校長に丑松と土屋が進言してもダメだった。

 

蓮華寺には住職(中村雁治郎)と妻(杉村春子)がおり、子の無い夫婦は風間の最初の妻との娘、お志保(藤村志保)を養女にしていた。お志保はなにかに怯えているようで出かけようとする丑松にここにいてくださいという。不審がる丑松。

 

岸田今日子市川雷蔵三國連太郎

ある日、丑松は山中で信州に講演にきた猪子夫妻に出会う。丑松は猪子の顔写真を見たことがあり、話しかける。最初は警戒していた猪子だが、彼が手紙をくれる丑松だとわかり、親しく話しかける。猪子は教育のある自分たちが先頭にたって運動をしていかなければならない、過去、自分も身分を隠していたがそれは卑怯だと思いませんか?と丑松に問うのだ。猪子に励ましの手紙を送る丑松を猪子は同じ部落民だと思っての発言だが、丑松は自分は部落民ではない・・と猪子に嘘をつく。どうしても言えなかったのだ!

猪子にすら自分が部落民であることを言えない丑松は苦悩する。

 

ある日、町会議員の高柳(潮万太郎)から呼び止められた丑松。彼は選挙の応援を頼んできた。なぜ自分が?という丑松に高柳は丑松が部落出身であることを知っているとほのめかす。

高柳の妻は部落出身だが金持ちでその金目当てに高柳は妻にしたという。丑松を列車内で見た妻は丑松のことを知っていたらしい。ところが丑松は断固として部落民であることは認めず、協力も断る。

しかし誰が広めたのか町や学校では丑松が部落民じゃないかと噂が立つ。

それを消すように丑松は猪子の書籍を古本屋に持って行くが、猪子の本は価値がつかないと言われる。それでも猪子の本は全て引き取ってもらい、寺に帰った丑松を待っていたのは猪子だった。丑松は猪子を真正面から見れない。なにか猪子に責められているような気がするのだ。

 

高柳は妻が部落出身者だと知られたら、選挙は不利になるが、そこへ敵対する候補者の主催する講演会に猪子が講演することになっていた。高柳は丑松から猪子に講演しないように頼んでもらうつもりだった?のだが、それもできないと知るとなんと講演へ向かう猪子を雇った男に刺殺させてしまう。

 

丑松は自分で自分を追い詰めていく。そしてとうとう決意するのだ!自分が部落民であることを隠さずに生きるのだと!

ちょっと順序が違うところもあるかもしれませんが、丑松が毎日ドキドキしながら暮らしているところなんか鬼気迫っていました。

ただずっと丑松の苦悩ばかりではく、士族だと言って時代に取り残され酒浸りの風間や、東京へ行くことが決まった女好き以外は良い人物の和尚、若い頃は正義に燃えていたが今は世間の常識からはずれないように生きる校長などの話もあって2時間近い作品でも全く飽きることはありませんでした。言葉遣いが明治を感じたりして。

杉村春子藤村志保