日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

PLAN75 2022年 ハピネット・ファントムスタジオ

監督 脚本 早川千絵

出演 倍賞千恵子 磯村勇斗 河合優実 たかお鷹

まず、この作品最高!と思った人は読まないでください(笑。あくまでも私の感想です。

すでにアマプラでも視聴できますが、くら~くなりそうなので見なかった作品。日本映画専門チャンネルで放映したので録画しましたが、私は邦画が好きでも昔の邦画(といっても70年以上前~)なのでなんとなく見る気もおこらず、2時間くらいあるのでそれもあってしばらく放置してた作品。見終えて記事にするのも躊躇したのは理由があります。最近の映画って2時間越えが普通で、それだけでも私は映画館で見るなんて絶対無理。

一言でいえばなんの感想もなかったし、心動かされたってこともなく、なんだろなぁ・・でした。老人になることが遠い未来だと思っている若い人が頭の中で考えて撮った作品か?。

 

 当時、ワイドショーでカンヌ国際映画祭(2022年)新人監督賞受賞、日本アカデミー賞(2022年)、最優秀脚本賞受賞、最優秀主演女優賞に倍賞千恵子!が盛んに取り上げられてた記憶があります。その時はみたいなぁと思いました。

 前宣伝は75歳以上の老人が政府の後押しの元、自ら死を選べる話。少子高齢化で長生きする老人のイメージはすでに悪く、老人問題は財政を圧迫し、一部の若者が老人を殺す時代背景。問題提起はいいと思いますが、そこで登場する老女は主演の倍賞千恵子演じる、結婚2回して子供なし、現在は独身で(2回目の夫と離婚したのかわからない)団地に住み、ホテルの清掃をしてなんとか生活している78歳のミチ。

街やテレビコマーシャルでは盛んにPLAN75が宣伝され、そこで働く岡部ヒロム(磯村勇斗)と死を決めた人のおしゃべりの相手を電話で一回15分聞く成宮瑶子(河合優実)。ってこのふたり見た時、この映画でブレイクして「不適切にもほどがある」に出演したのか・・とここだけ納得(笑。

映像をぼやかしてやたらと長い映画冒頭。老眼な私は見てるのが辛い。

ミチ(倍賞千恵子)は同じような年齢の女性たちとホテルで清掃をしている。仕事が終わると4人で食事に行ったり、カラオケに行ったりするが、カラオケの場所って公営のどこか?のようでまずなんだかわからん(笑。

4人のうち特に仲が良いミチより高齢?と思われる女性は一軒家で独り暮らし。娘とは疎遠だ。その他ふたりは孫がいる普通の高齢者?。

ミチと一番仲が良いその女性が仕事でミスをしその後、ミチ以下3名も年齢を理由に退職を迫られ・・てはいないが仕事を辞める羽目になる。

そしてなぜかアパートを探すミチ・・・監督としては高齢者が住まいを探すのは難しいのだと言いたかったのはわかるが、どうみても団地(公営かURの古い団地)に住んでいるミチが無職でアパートを探す意味がわからない(笑。収入がなくなり大変なのはわかるが、民間のアパートに移る発想にはならんでしょう・・・。どうみても家賃が高い団地には見えないし。軒並み断られるミチに不動産屋は生活保護を勧める。生活保護を受ければアパートを借りるのが簡単なのだ。ところがミチはもうちょっと頑張ってみますなんてとぼけたことを言う(笑。なんなの??ま、いいか、頑張ろう!

パソコンを操作し、仕事を探すミチ。私はそれだけでもスゴイと思うよ。死ぬことない。

夜にバス?の入庫業務で誘導するミチが映る。仕事みつかったのか?これもなんだか不明。

ミチはホテルで一番仲が良かった友人と連絡が取れないのである日訪ねると鍵がささったまま、玄関が開いており、彼女は台所の椅子に腰かけて亡くなっていた。

って・・・鍵をさしたまま家に上がってちゃんと座って死んだ?

ま、いいか・・。

 

ミチは役所を訪ねるが、本日の受付は終了しましたというのを見て帰る。

何をしようと役所へ行ったのか?生活保護の相談?不明。

で、なんだかわからないけどミチはPLAN75で死のうと決断。

それと並行でPLAN75で働く岡部ヒロムは公園で(もっぱらホームレス?)老人相手にPLAN75の勧誘、受付をしている。そこで炊き出しの食事を取っている男が自分の伯父さんだと気づくのだが、その後の会話でヒロムの父はもう20年以上前に亡くなり、父が元気だったころから伯父さんとは疎遠だったのにかかわらず、どーしてすぐわかるのだ?伯父さんだ!って(謎。20年以上経ち、老人になるとかなり顔が変わるんだよね~~。ヒロムが伯父さんを見た時、彼はまだ子供だったはずだし。

PLAN75の説明を受けて10万円は好きなことに使っても良いと言うと喜ぶ、話を聞きに来た女性のシーン。コロナ給付金でもあるまいし、10万円で旅行とか言われてもどこ行ける?下手したら1泊?・・・こっちは死ぬんだよ(笑。10万円ってそんなに嬉しい?

 

PLAN75で働く若い人も人間的にはそんな老人をみるのは辛いのだと言いたいのもわかる。例えば傾聴係の成宮瑶子(河合優実)はミチとこっそり会ったり(実際は禁止されている)ミチと最後の通話のあと、目には涙が・・な演出だけど、私なら逆にミチとの通話の後、恋人とデートするのでウキウキなシーンにする。瑶子にとって死んでいく老人の話を聞くのは仕事なわけで、最初は動揺するだろうけど慣れたら人間ってこんな風なんじゃない?若いんだし。

記事に書きたくなかったのはこの作品の文句ばっかりになりそうだったのです。

結局そうだけど(;^_^A。

 

山もなく谷もなく、どーするんだミチ!もなく、なんか監督のマウントだけを見せられた作品でした。

ネタバレですが、ミチは結局施設を抜け出して死ぬのを辞めるんですが、なんで辞めたいと思ったのか?もわからない。

わからないながらも自分なりの想像ができるか?というと成瀬巳喜男のようには想像できない。とにかくなんなのだ??なんです。

唯一良かったのは過剰な演出ないこととミチとホテルで働く孫のいる高齢女性の見た目とか演技がこういう人いるよねと思いました。思いっきり老人の顔を映させた女優の倍賞千恵子もスゴイ。

弱者を切り捨てる社会で問いかける映画らしいんです。そーなんだ。

死ぬ理由も生きる理由もなんだかわからんまま、くら~い気分にもならず、かといって何ものこらないで終わった不完全燃焼的作品。

左端の女優さんの演技が普通過ぎて良かった♪

 

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