日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

あなた買います   1956年 松竹

監督 小林正樹 脚本 松山善三 原作 小野稔

出演 佐田啓二 岸惠子 伊藤雄之助 大木実 三井弘二 織本順吉

   多々良純 山茶花究 水戸光子 花沢徳衛 磯野秋雄 十朱久雄

 

米アマゾンの4枚組の一枚。購入後初めてみた。これリージョン1なのでプレイヤーを違えればならなくてテレビの背面の口が足りないのでその抜き差しがめんどくさい。

よって・・・今動画にアップされているのでそちらでみました(笑。

 

大学野球で活躍している大木実を巡って、球団のスカウトが大木を公私ともに面倒みているコーチの伊藤雄之助を介して熾烈なスカウト合戦を繰り広げる。

 

伊藤雄之助は妻子があるが、旅館をやっている水戸光子と暮らしている。

そんな姉、水戸光子を冷静にみている妹の岸惠子は大木の恋人でもある。

 

四国の田舎には大木の両親と男兄弟が4人いて、長男は闘犬をしているヤクザものの三井弘二、まったくのはまり役で声といい演技といい最高だった。

次男は役所?に勤める小心者の花沢徳衛、三男は無声映画でおなじみの磯野秋雄。四男は人のよさそうな織本順吉

 

スカウトは山茶花究多々良純、そして佐田啓二

伊藤雄之助は球団スカウト3組相手にうまく立ち回ろうとするし、 スカウトはスカウトで色々と画策し、他のスカウトを出し抜こうと必死だ。

 

そのやりとりは面白かった。

 

伊藤雄之助は持病もちだけれど、岸惠子が佐田に言うのは半分は仮病だということ。

 

だんだん人間が信じられなくなる佐田。

そんな佐田に伊藤の勤める会社の社長?東野英治郎は伊藤は戦時中、スパイだった、それも敵(中国)の・・・という。

ますます疑心暗鬼となる佐田だが、社に帰ればそんな伊藤の上をいこうと自分もなんとかしようとする。

 

長い映画で、佐田啓二のスカウトの話に決まりそうで決まらない。

結末はどうなる?どうなる?と思ってみていると、どこまでが本当でどこまでが嘘つきなのかわからない伊藤が死の床でとってもいい人?という扱いを佐田や反感をもっていた岸惠子がするのでちょっと?え?だった。

そこがなんだかわからない(笑。

 

結局、人を利用してうまくやっていたのは従順そうにみえた大木実なのだが、

大木ばかりが最後は悪者っていうのはちょっとねぇ・・・。

四男の織本順吉もいい人キャラで登場したけれど、最後の表情だといい人だったのかも良くわからず、(演技最高だった)もう少しなんとか演出できなかったのだろうか。

 

 

少し長すぎるのと伊藤がいい人になった結末はよくないな。

松山善三の脚本だから徹底的に人を利用する人は描けなかったのかもしれない。

それとも原作がそうだったのでしょうか?