日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

その壁を砕け  1959年 日活

監督 中平康 脚本 新藤兼人

出演 芦川いづみ 長門裕之 小高雄二 渡辺美佐子 清水将夫 芦田伸介

   岸輝子 浜村純 西村晃 下元勉 高野由美 

 

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深川で自動車修理工をしている小高雄二。彼には新潟で看護婦をしている芦川いづみという恋人がおり、3年後、結婚しようと誓っていた。

 

3年後・・・小高は20万円貯めて車を買い、芦川の待つ新潟へ向かう。

新潟の病院では芦川の結婚退職を祝って同僚と婦長?の高野由美がささやかな別れの宴をしてもらい、意気洋々と小高が待っている新潟駅へ向かうのだが・・・。

 

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脚本が新藤兼人であったし、芦川、小高コンビだったので他愛ない恋愛もの?かと思った。

小高昼過ぎに車で出発。戸田橋ー熊谷ー三國峠を抜けて新潟へ行く道中のカメラワークはさすがに中平康だった。芦川との待ち合わせは翌朝8時に新潟駅

途中、オートバイに乗った若者からリンゴをもらったり、食堂では2人前注文したり、

三國峠では反対からきたトラック運転手に道を聞いたり、その時の小高雄二の表情で芦川と会える嬉しさがよく表現されていた。

私はまだこれがサスペンスとは思っていなかった。

 

真夜中に三國峠を越えて新潟の村に入った。すると暗がりの道の真ん中で男が小高の車を停め、駅まで乗せて行って欲しいと頼む。幸せいっぱいな小高は承知して男を乗る。その男は小高と同じくらいの年齢の若い男。車中小高は自分の婚約者を迎えに行くこと、この車は20万円貯めて買ったことなどを話す。

駅までと言った男だが、途中の橋の袂で降ろしてくれと言い、降りて行った。

 

少し進むと駅前で、そこには検問している警察の姿・・・。

小高は車を停められ、訳も分からず警察へ連れていかれる。

 

と、ここまでは良かった。良かった。

 

が、

その後、素人の私でも?????な展開で話が進む。。

 

村の特定郵便局(個人が営んでいる郵便局)に強盗?が入り、

その家の主人が斧で斬殺、隣で寝ていた?妻の岸輝子は重傷を負い、

斧らしきもので壊された手提げ金庫から現金15万円がなくなっていた・・・

 

犯人らしき若い男を捕まえた警察が首実検は早いほうが良いと重症を負った妻に

小高雄二を連れて行って見せる。すると妻は「この男だ!」と小高を指さすのだった。

 

ここでは将来は私服の刑事になりたいと思っている村の派出所勤務の制服のお巡りさんが長門裕之

 

殺人のあった家の長男の嫁、渡辺美佐子の登場がある。

美佐子の夫は亡くなっている。夫の弟夫妻はどうも美佐子に出て行って欲しいと思っている素振りで、結局美佐子は家を追い出されるのだ。

 

留置場で無実を訴える小高。芦川いづみとの待ち合わせのことを聞いた刑事は 病院の前で芦川が同僚から見送られて去る後をつける。

8時に新潟駅へ行った芦川に刑事が話かけ、、警察で小高と対面する。

 

芦川は小高を助けようと、その町の食堂で働くが、ある日?警察署長の清水将夫の訪問で雇い主に「しつこく頼まれたから雇っただけだが、(得体のしれない女)気を付けないといけないなぁ・・」と、芦川は(多分)クビになるだろう・・という展開になる。

清水将夫は芦川に君を見ていると小高の無実を信じたくはなるが、いまのところ小高が犯人ではないという証拠は何もない。起訴されるからよい弁護士を雇いなさい・・・

そしてその良い弁護士は長岡にいるのだ・・・と言う。

ここで白けたのは、行くところがない芦川いづみ・・・いったいどこに住んでるのだ?

そして警察署長が食堂を訪ねると店主どころが客までが彼が警察署長だと気づいて訝しがる・・・って全員清水将夫が警察署長を知ってるところが出来過ぎ?

更に親切にも警察署長が芦川に弁護士を紹介?するのか(笑。

 

芦川は長岡にいるという敏腕弁護士の元を訪ねる。それが芦田伸介

お金が払えるのか?という弁護士に芦川はけなげにこの長岡に住んで働きます(いづみちゃん!)と答え、心打たれた弁護士は留置されている小高を訪ねる。

 

小高の口からでた最初の言葉は、芦川いづみを心配することだった・・・

 

まで視聴・・・で見るのを止めた・・。

 

小高が誤認逮捕されたが、警察は岸輝子の証言を重視。それはわかる!わかるが、

金庫から15万円盗まれていると言った隣の酒屋の主人、浜村純の一言・・・このシーンがあるのに15万円のことがその後無視されたまま、小高にアリバイがない、小高しか考えられない・・・と話が進む。

(一応、警察でも小高の言う彼の足跡を確認している)

ところが15万円のことは小高も警察も口にしない(笑。

私は見ている途中で小高の車の中から15万円が見つかった(犯人がわざと置いて行った?)とかいうことも出てくるのかと思ったが、すっかり忘れられたまま(と いうか

そんな話はなかったように)話が進むので呆れてしまった。

いくらなんでも雑過ぎる(笑。

 

先ほど見た人の感想?を読んだが、裁判にかけられる様子がおもしろいとある。

それにしても15万円はどうした??が気になって小高が弁護士と面会までの映画が始まって49分経過で終了。

 

新藤兼人って、とにかくものすごい数の脚本を書いた人だけれど、なんか??な話がある。前にも書いた「縮図」は乙羽信子は家庭の事情で芸者にでた彼女の人生を描いた物語だが、貧乏な実家で母親に背負われている赤ん坊はその後、何年たっても母親の背におぶわれたままだった・・・(監督も新藤兼人)。時間軸に注意払っていない(笑。

 

この映画では冤罪を生む可能性がメインテーマらしいが、ちょっとした、でも後に重大になるセリフやシーンに全く注意を払っていないように感じる。

あの15万円なくなっている!というところは監督が入れたのか?脚本があったのか?

謎だ。

中平康は撮る前に疑問に思わなかったのだろうか?

カメラワーク最高なのに・・・

 

そしてその15万円がない!というシーンがあるとおかしなことになると誰も作った側が気づかなかったのか・・・それとも小高の冤罪が証明されたのも15万円の話が最後の最後ででたからなのか?最後までみてないのでわからないが、私はもう観る気がしない。

知ってる方、教えてください。

 

15万円はどうした!15万円のことはいつ出るのだ!と思っている間にそんな話が出てこないのでストレスを感じてみるのを止めた・・・そんな映画でした(笑。

 

追記

これを書いてこの映画のあらすじ+感想を書いたブログをヒット。

結局、殺された男のアパートから15万円でてきて・・・とある。

渡辺美佐子と関係のある男だったのだが、

こんな展開になるなら、この映画で警察の誰かが、(誰でも良い)15万円が見つからないというセリフは絶対必要だです!(笑。

それを例えば西村晃扮する刑事が被害者の妻の証言が一番重要なのだと無視する流れになっている・・・になればそれ以降の流れも納得したと思うのです。

その一言がなくて、最後のほう?で15万円が出て来た・・んじゃぁ、後だしジャンケンみたいで 松本清張橋本忍 路線の映画を見てきた私は絶対納得できない!(笑。