日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

嫁ぐ日  1956年 松竹

監督 吉村公三郎 脚本 新藤兼人

出演 津島恵子 斎藤達雄 英百合子 増田順二 田浦正巳 山鳩くるみ 若山セツコ

   原保美 北沢彪 佐野周二 宮口精二 

 

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期待していたが、脚本が新藤兼人・・・というのを冒頭みて期待度ダダ下がり(笑。

 

嫁ぐ日という題名だが、戦前は売れっ子劇作家、斎藤達雄が書けなくなって10年の老作家を軸にした話。新藤兼人は自分のことを思いながら書いたのかと思える。

 

大磯で隠居生活をおくる斎藤達雄、妻の英百合子

長男で銀行員の増田順二とその妻日高澄子、亡き次男の嫁、津島恵子、三男で大学生の田浦正巳、次女で近くのドライブインに勤める(アルバイト?)山鳩くるみ、長女、若山セツコは嫁に行き、近所に夫 原保美と住んでいる。という大所帯一家だ。

 

津島は身寄りがなく夫が死んでも嫁ぎ先にいる。当時はこういうことも多かったのかもしれないが、この一家、全ての人が良い人なのだ。

ここでちょっとねぇ・・・と思う。

斎藤達雄はどうやって食べているのか?三男の大学生の学費は?そして津島恵子の経済は?さらに長男の嫁、日高澄子や義母の英百合子津島恵子を邪魔にするわけでもなく普通だ。これね、ありえない(笑。

若山セツコは妊娠していて津島恵子は彼女の家をちょくちょく訪ね、洗濯をしてあげる。しかし若山は流産してしまいその手術費用を長男が払ってやったりするのだが、若山の夫でやはりサラリーマンの原保美は増田順二と将棋をしたりしてため口(笑。

増田も気にする風でもない。

次女の山鳩くるみはアプレでドライブインに来た客に東京へ乗せてってもらったりする。その客のひとりが佐野周二だ。津島の再婚相手にでもなるのかと思ったら山鳩を車に乗せてそれで終わりな役だった。

 

山鳩くるみのボーイフレンドが斎藤の就職口をもってくる。それは会社の事務?の仕事で斎藤もその気になり弁当をもって出社するのだが借金で回らない会社で社長が斎藤に自分のお昼のそば代をださせるようなところだった。

で、これも作家だった初老の斎藤がいくらなんでも勤めるのか?ってとこが変。

 

津島は家で意気消沈している斎藤に元気になってもらおうと俳優座を訪ね、義父の仕事を頼む。昔のよしみでプロデューサーの宮口精二が斎藤に仕事を頼むことにすると斎藤は張り切るのだがなかなか書けない。その様子を家族全員で気をつかい、気にするのだ。なんか仲良すぎる(笑。

しかも斎藤達雄はこんなことを書こうと思うと家族全員の前で発表したり、それについて家族が議論したりするのがちょっとねぇ・・・新藤兼人の希望的物語?

 

それと同時に津島の再婚話が盛り上がる。相手は長男の同僚の男性で大磯の家でそれとなく津島に会わせる。

津島の再婚話のために夜若山の家へ終結する一家・・・もなんだかねぇ・・・。

 

英百合子から再婚の話を聞かされた津島は義父の脚本の話がうまくいったあとで再婚しますと優等生な返事だが、これ「東京物語」のひとり義父を思う原節子からヒントでも得たの?

 

俳優座へ意気揚々と脚本代をもらいに行った斎藤達雄。脚本料を受け取り、廊下で昔なじみの女優?の東山千栄子に会う。彼女から先生の脚本はどうして上演されないの?と聞かれ、自分の脚本が採用されないことを知った斎藤。脚本料はどこから出したのだ?と事務方に聞くと俳優座のみんなのカンパだったことがわかる。

 

帰り道に屋台で呑んでいる斎藤を津島と三男がみつけ一緒に帰る。斎藤は脚本が没になっていることは言わない。そして津島恵子には再婚先で幸せになってくれというのだ。

 

ところで長女の若山セツコ・・・なんだか顔が変わっている?

感じは若山セツコみたいだったけれど似ている女優さんだなぁと思っていた。しかし後でキャストをみると若山セツコとあったのでちょっとビックリ・・・目が大きい人という印象があったけれどこの映画の若山セツコの容姿はちょっと違う。

 

嫁ぐ日まで、東京物語・・・を念頭に書いたような物語で俳優座が協力しているから出演者も豪華だけれど生かされてないような映画だった。

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