日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

青い乳房 1958年 日活

監督 鈴木清順 脚本 鈴木兵吾 津路嘉嘉

出演 小林旭 稲垣美穂子 小高雄二 渡辺美佐子 二谷英明 大森義夫

   初井言栄 小沢昭一 高友子

 

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イカしたおじいさん、鈴木清順監督の作品。青い乳房というタイトルだからといって

女学生のおっぱいポロリを期待してはいけない(笑。真面目に青少年の心の問題に取り組んだ社会派映画系。

 

堀江(大森義夫)は若い後妻、容子(渡辺美佐子)を迎えた。堀江の息子、宏(小林旭)も彼女になじみ、お母さまと呼んでふたりで仲良くデパートへ買い物へ行く・・。

 

ところが、宏はデパートへ着くや容子を「おばさん」呼ばわりして金を無心する。

この豹変ぶりがなかなか良かった。

 

宏にはガールフレンドと呼べる娘、木崎節子(稲垣美穂子)がいるが、彼女の家は薬局を営んでいる。父亡き後、節子の母親の富子(初井言栄)は若い薬剤師の杉本(小沢昭一)を家に引っ張り込んで一緒に暮らしているが、節子はそんな母が許せず、不良になるのだと宏とともにジャズ喫茶?に入り浸る。

そのジャズ喫茶の二階に住むマダムの美智(高友子)の情夫の健(小高雄二)は宏からアニキと慕われている。

 

ある日、宏から絵画展の招待状を受け取った容子はその会場でみた一枚の絵をみて失神してしまう。その絵に描かれた場所で、容子は7年前に男から暴行されたのだ。

その絵を描いたという画家の高村(二谷英明)がその時の犯人だと思った容子は、高村を叱責するが、高村はそれは弟がやったことで当時、自分はフランスにいたと証拠を示す。そしてその弟はなんと健なのだ。

 

お金持ちの堀江と結婚した容子だが、家庭では宏のこともあり幸せとは言えないが、容子の一家も容子が堀江と一緒になったことで暮らしていけているので堀江の運転手をしている兄からも我慢してくれと言われる。

しかし、優しい高村と会っているうちに高村を好きになっている容子だった。

高村も家をでて一緒になろうと言うのだが・・・。

 

節子は、杉本のことで母の富子と言い争いになり家を飛び出してジャズ喫茶へ行った節子だがなんと母親は杉本を刺し殺したと電話がかかる。

この場面で薬局の外での野次馬(エキストラ)の数が半端なく、かなりリアルだった。

東宝とは違い、お金かかってます(笑。

 

宏はそんな節子の母のために弁護士を雇おうと容子の7年前の暴行事件を父にバラスと言って金をせびるのだ・・・。

 

一方、節子は健からむりやり裸の写真を撮られ、それを苦に自殺を図って病院へ・・・。宏が病院へ行くというと容子も一緒に行くという。そして健からフィルムを取り返してあげるといって産婆のもとへ。健の子供を美智が生むのをしぶしぶ待つ健がその産婆にいるのだ。さんざん悪態をつく健だが、子供が生まれ、自分が抱くと・・・

ここで健の心根がガラリと変わる。

なかなか良い演出&脚本。

 

暴行したのは粗暴な健かと思いきや・・・ビックリ、そして最後はハッピーエンド♪

 

老け顔の稲垣美穂子ですが、この映画では女子高生の制服姿に違和感が全くなかったのはなぜ?(笑。

小林旭も青臭くてすごーく若く、逆にこの映画のリアルさが伝わった。

 

日活作品にはめずらしく、池袋周辺が舞台で当時の東口駅前とか東口から北口へぬけるガードが映っている貴重な映画でもある。

 

池袋東口グリーン大通りから西武百貨店方面を望むショット

2022年現在

 

 

昔のことをネタにお金を無心する小林旭とある決意をした渡辺美佐子