日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

青春前期 青い果実 1965年 日活

監督 堀池清 脚本 池田一朗 森本吉彦 原作 若杉彗

出演 太田博之 太田雅子(梶芽衣子)吉村実子 初井言栄 山岡久乃 佐野浅夫

   内藤武敏 高橋とよ 浜川智子 河上信夫 岡田可愛

 

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同じ題名で1954年公開、松竹映画もある。あらすじが少し違うが、原作者が同じなので日活の脚本では製作年にあわせた物語にしただろう。ただ松竹作品も見てみたい。

 

日活より

広島から転校してきた高校3年生、椎の木(太田博之)は少し変わっている。同級生はそんな彼を快く思わないが、彼は全く意に介さない。しかも喧嘩が非常に強い。

そんな椎の木に興味をもった奈津子(太田雅子(梶芽衣子)。彼女の家は幼稚園を経営し、世間体を気にする厳しい母親の富枝(山岡久乃)と理事長の父、弟と妹、お手伝いの6人で暮らす普通の家庭だ。

 

椎の木をつけていた奈津子は大学生の3人組に因縁をつけられる。椎の木は彼らを追っ払い、それから二人はなんとなく仲良くなる。

ある晩、椎の木と歩道で待ち合わせをした奈津子だが、母が夜分に出歩くのはよくないと言われ、奈津子は自分の部屋からこっそり抜け出す。しかし時間に遅れてしまい、椎の木はいなかった。歩道でたたずんでいると前に絡んできた大学生3人に捕まり、逃げる奈津子だが、工事現場で暴行されてしまう。そこへ物音をきいて作業員が駆けつけ、大学生は逃げてしまう。幸い?というかなんというか、奈津子は一人に暴行されただけで済んだが、警察では自分の名前すら言わない。

しかし奈津子がつけていたバッチから学校がわかり、そばに住む教師の国信(初井言栄)が奈津子を迎えに来る。その足で医者へ行き家へ送り届けるが、事情を知った母は気も狂わんばかりに奈津子を叱るのだ。

 

一方、国信はPTAの会長である奈津子の同級生の母、千田(高橋とよ)にその件を漏らしてしまう。千田は娘の洋子(浜川智子)と学校関係の知り合いの母親たちに喋る。

噂は学校中に広まり、奈津子の母は体裁も悪いし、幼稚園の経営にも差しさわりがあると奈津子を信濃の田舎へ行かせることにした。

同級生の視線にも動じない奈津子だが、田舎へ行くことにする。母は奈津子の担任の青戸潤子(吉村実子)に転校の手続きを頼むが、青戸はどうも釈然としない。

 

そんな事情を知った椎の木は奈津子をなんとか助けようと大活躍。

てきぱきとまるであの山口君(飛鳥山へ一緒に行った話参照W)のように問題解決に向かって働くのだ!

学校へ来なくなった奈津子の行方を奈津子の父親からきき、信濃へ。

そこで奈津子と山奥の温泉宿で一泊する。

奈津子は暴行されたことによって汚れた自分を椎の木が抱いてくれるか?と椎の木に身体をあずける決心をするが椎の木は奈津子を抱くことはできなかった・・・

(これには理由があるのだ)

その後、同級生の女の子から千田洋子から聞いたとはかせ、千田家へ。そこで洋子の母親をつるし上げ、国信から聞いたと口を割らせる。椎の木は国信にはりついて「辞表をだせ」と迫るのだ。

 

国信や千田洋子の母親は一方的に椎の木に脅迫されたと言い出し、椎の木も訳は話すので会議を開いてくれと要求。

そこで国信のおしゃべりが晒される。そして椎の木の精神状態も。

(まぁ、国信先生もわざと千田の母に言ったわけではないんだけど)

 

そんな中、東京へ戻っている奈津子は自殺を図る。それを知った椎の木は・・・

 

W太田

太田雅子(梶芽衣子)はW太田としてその後太田博之と日活青春映画に出演する。

彼女のキャラからか明るいんじゃなくて暗くてシリアスな作品が多いようだ。

その後、梶芽衣子と芸名を変更した。日活を1971年に退社しフリーとなった。