日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

六人姉妹  1959年 東映

監督 堀内 甲 脚本 堀内 甲 瀬藤 祝

出演 不忍郷子 稲葉義男 大森暁美 島津千鶴子 本間千代子 伊東正江 

   小畑町子 佐藤栄見子 内田礼子

 

 

当時の中流家庭なので食うや食わずではないけれど、それなりに慎ましい生活ぶり。

 

建設会社の課長である父(稲葉義男)は妻(不忍郷子)との間に六人の子供がいる。

全員女で、それが四女の睦子(伊東正江)の口から語られて始まる物語。

風景や一家が住む家が本当に昭和の心温まる作品。

 

話の軸は長女、節子(大森暁美)が大学へ行きたいというが、男の子だったら行かせるが女が大学へ行く必要がないという当時の常識を言う父。

近くで美容院を経営している父親の妹(内田礼子?)は高校3年の節子に縁談話をもってくる。それを知った節子は反発。

二女の和子(島津千鶴子)はそのおばさんの美容室へ学校帰りに寄って手伝ったりしている。

三女の紀子(本間千代子)は栄養士に興味がある。

四女、睦子(伊東正江)と五女、敦子(小畑町子)は遠足に行くので新しいバッグが欲しいと父にねだるが・・・

 

毎日家事に忙しい母、それを手伝う長女。母が過労で倒れたり、姉妹で喧嘩したりの今ではみられない大家族の日常。

姉の気持ちを父に訴える二女、和子。

父は長女を大学へ行かせたらその下の子供たちも皆大学へ行きたいというだろう、そんな経済力はないと妻にいうが、妻は二女も三女もこれからの女は手に職をもって自力で生きていかないといけないと思っているという。

そんな中家事に多忙な母が倒れてしまった。

節子は倒れた母に代わって妹、和子と家計を預かる。いくらかかったのか計算すると生活していくのにお金がかかると身をもって知った節子は大学へは行かない決心をするが、父は美容室を経営している妹から「男の子だったら大学へ行かせるというのだったら、節子を男だと思って大学へ行かせたら?」と言われ考え直す。

兄に意見する妹

その晩、節子に大学へ行っても良いと言おうと思っていたが、入浴中に風呂焚きをしていた節子から大学へは行かないと言われ・・このシーンの節子に思わず涙(笑。

 

稲葉義男・大森暁美

二女役 島津千鶴子・三女役 本間千代子

左 五女役 小畑町子・右 四女役 伊東正江

六女役 美保子役 佐藤栄見子・稲葉義男

母 不忍郷子

父の妹役 (多分)内田礼子(という人)

跡取りというと男子だった時代はその後もずっと続きました。私もふたり姉妹だったので当時(1980年代)通っていたお花の先生からなんで母が男の子を産まなかったのだ?と私に言われても・・・ということを言われた記憶があります。その当時のおばさんたちは今よりずっと上から目線の人が多数でした。今のおばさんなんて大人しいもんです(私w)。

思い起こせばヒドイことを平気で言える世の中でしたが、それが(男子を産む=跡取り)世の常識であったから仕方ないですね。

私の知人にもなんと五人姉妹がいて(彼女は末娘の五女)、次は男、次こそ男と思って産んだ母親って大変だったと思いました。

で、今はそんなことを面と向かっていう人はいなくなりましたがまだ心の中で思っているひとはいるでしょうね。

ですので当時でしたらこの母親は周り近所からいろんなことを言われて(男子を産まなかった)辛かったと想像できます。父親も会社で言われてたかも。

 

ところで舞台が栃木なのでとちぎの大きな商店街が映ります。歴史のある町らしく今ではアーケードはなくなりましたがマップで確認できました。

やはり昔ほど栄えてはいないようですが。

銀座通り

映画冒頭のとちぎの商店街

 

子役で今検索できるのは大森暁美と本間千代子だけでした。

大森暁美