日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

虞美人草  1941年 東宝

監督 中川信夫 脚本 桜田半三 原作 夏目漱石

出演 高田稔 江川宇礼雄 霧立のぼる 花柳小菊 花井蘭子 北沢彪 伊藤智子 

 

花井蘭子ってけっこう古い人なんだと再認識した映画(笑。

 

明治の終わりの結婚事情よ家督相続の話だけれど、さすがにみんなの考え方が古い(笑。それでも多少若者が頑張っているが・・。

 

体の弱い高田稔は大学?をでて2年経つがこれといった仕事もせず、専攻した哲学の勉強に明け暮れている。外交官だった父は外国で客死し、家には後妻にきた義理の母、伊藤智子とその娘で種違い?の24才になる霧立のぼるがいる。

霧立のぼるは父が残した懐中時計を大切にしている。その時計がこの映画のひとつのキーとなっている。

高田の親友、江川宇礼雄は外交官試験に落ち、浪人中だが全く意にかえさない男で妹は花柳小菊。兄と妹は仲が良い。彼女は密か兄の友、高田稔に好意がある。

江川の父と高田稔の父が昔、自分の娘はその懐中時計が好きなのでその懐中時計と一緒に嫁にやる 云々の話があったらしいが、霧立は外交官試験に落ちた江川など眼中にない。

江川はまた外交官試験を受けた。外交官になったら外国暮らしをするから標準日本人女性(笑、より 霧立のぼるのような先進的な女性が妻にうさわしいと思っている。

 

同じ大学だった北沢彪は成績が優秀で、今は研究室に勤務しならが博士論文を書いている。

彼には京都時代の恩師がいてその娘 花井蘭子と恩師が東京へ移住してきたときには世話を焼く。恩師でである父は北沢彪と娘の結婚を望んでおり、そのつもりでいるが

北澤がアルバイト?で英語を教えている高田稔の妹で積極的な霧立のぼるに誘惑され、

恩師に娘との結婚を早くしてくれと言われるが、自分では断り切れず友達にうまく言ってくれ・・・と頼む始末。

 

高田の義母 伊藤智子は(高田稔によれば)本当は家督を娘の霧立に譲り、自分の面倒も娘にみてもらいたい、そして高田稔には家を出て行ってもらいたいと思っているが、

高田には世間に顔向けができないからと高田に家督を相続して、自分の面倒も見て欲しいから家から出て行くな・・なんて言いながら娘の霧立とは将来有望な北沢彪と結婚して欲しいと願っている・・。

 

明治の男がまるで女性をモノのように言う場面がズレててなんだかねぇ・・・だけれど時代がそうだから仕方ない(汗。

 

北沢彪に縁談を人を介して断られた恩師と娘は京都へ帰ることにするが

ここでひょうきん者(伊藤智子弁)の江川宇礼雄が北沢へ意見しに行く。

 

2度目の外交官試験に受かった江川は高田から妹は北沢と結婚するつもりなのだと聞いて諦めるが、北沢が実は京都からきた恩師の娘をないがしろにしたことを意見すると

あっさり北沢彪が気持ちを変えて、大森へ行こうと新橋駅で待っている霧立に懐中時計を返し、大森へ行ったら自分たちはたいへんなことになっていた・・・という。

そして恩師の娘、花井蘭子を妻にするのだ。

 

ところで大森って当時からそういうところだったのか?(ラブホ)

 

高田稔の家には江川の妹、花柳小菊が迎えにくる。彼は江川の家に居候するのだが、将来は花柳を妻に迎えるのだ。そして江川も合流。そこへ新橋駅でふられた霧立のぼるが帰ってくる。江川がいるのをみて霧立は懐中時計を江川に渡す・・・受け取る江川・・・えーーーーーーーーーーで、あんた、北沢を諦めさせ、自分が霧立と一緒になるわけ?と思ったが、その時計を江川は暖炉へ叩き投げる。

 

あー、よかった(笑。

 

その後、霧立は自殺!(このパターン多いよね)

 

明治時代の女性の生き方には共感できないが、花柳小菊がひたすら可愛いかった。

これ、芦川いづみにぴったりな役。

 

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兄 江川宇礼雄に博覧会へ連れて行ってやると言われ喜ぶ花柳小菊