日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

不道徳教育講座  1959年 日活

監督 西河克己 脚本 西河克己 窪田篤人 原作 三島由紀夫

出演 大坂志郎 月丘夢路 長門裕之 柳沢真一 三崎千恵子 信欣三

   稲垣美穂子 初井言栄 岡田真澄 田中筆子 佐野浅夫 松下達夫

   高品格 筑波久子 浜村純 藤村有弘 天草四郎 植村謙二郎

 

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かなりおもしろい!

大坂志郎は二役を演じ、かたや殺人以外はすべて犯したという出所したばかりの悪人と道徳教育をになう官僚の偉い人。

物語は悪人の大坂志郎が小菅?刑務所を出所するところから始まる。

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当時の小菅周辺?

エピソードがたくさんで順序だてて書けないのでアマゾンプライムビデオを見てください(え?笑)会員なら無料ですから。

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月丘夢路 大坂志郎

月丘夢路はスターの役でやはり美しいが、この映画の稲垣美穂子は月丘夢路ばりに美しい。メイクとか髪型とか衣装でこうも感じが違うのだ。

 

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稲垣美穂子

三崎千恵子の出番が意外にも多く、この映画では運転手の肉体に魅かれてしまう教育者の妻役。間違って官僚に化けた大坂志郎に告白してしまうのがコミカルだ。

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三崎千恵子大坂志郎

筑波久子という女優さんは当時肉体派と呼ばれたがアメリカに渡り、結婚後プロデューサーをしているという。この当時の初井言栄は私が知るおばあさん役じゃなくてバーやクラブのママ役が多い。

 

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筑波久子 長門裕之 初井言栄

冒頭と最後に三島由紀夫登場します。出演者も豪華で話も面白い映画でした。

 

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三島由紀夫

 

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しろばんば  1962年 日活

監督 滝沢英輔 脚本 木下恵介 原作 井上靖

出演 芦川いづみ 北林谷栄 渡辺美佐子 芦田伸介 高野由美 清水将夫 

   細川ちかこ 山田吾一 宇野重吉 島村徹

 

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いづみちゃんファン必見!

物語はまぁ日活だからね(?)

原作も昔読んだことがある。今覚えているのは一緒にすむおばぁさんが毎朝「朝のおめざ」だと言って男の子に飴玉を寝床で食べさせるところだけだったが((;'∀')

 

びっくりなのが細川ちかこの化けっぷり。しばらく気づかず。

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細川ちかこ

原作をほぼ覚えていないので最初は家族構成が???だった。

 

脚本が木下恵介だからか、やたらと子供の裸シーンが多い(笑。

ただ子供の撮り方はやはり清水宏監督のほうがいいなぁ。子役の島村徹という人は後に島村美輝という名前で俳優を続けたが今は父親の稼業を継いで学習塾の塾長だという(wikiより)。2017年に久々のドラマに出演したとある。ひとつだけいつのものだかわからないがある程度年のいった彼の写真をネットでみた。

 

北林谷栄のおばぁさんは毎度のことでちょっと飽きたけれど彼女以外にはまり役はないと思う。

 

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渡辺美佐子北林谷栄

いづみちゃんは芯の強い女性を演じた。

 

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山田吾一芦川いづみ

これは原作にあったのだろうか、やたらと男の子が芦川を慕うのだが、抱きついたりするのは当時の時代背景を考えるとどうかな?最初は慣れなかった母親にも抱きつくんだけど・・それとも監督の演出でしょうか。

 

隅田川に架かる橋を歩く その4

もうすぐコロナの祭典(笑、なのでいまのうちに橋歩き。

 

考えていたのは厩橋と蔵前橋を渡って帰る。

いづれにしろ蔵前で下車し、最初は蔵前橋から渡って厩橋と思っていたけれど、どちらも同じだと思い、駅から近い厩橋からに。

 

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厩橋

なかなかグッドな橋で、台東区から江東区側へ渡り蔵前橋を目指す。

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蔵前橋からみた厩橋

蔵前橋は過去何度か歩いたことがある。厩橋から初めてみて蔵前橋って黄色いのに気づく。

 

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 厩橋方面からみた駒形橋

今朝まで降り続いた雨で川の水位はかなり上がっていた。

 

また台東区側へ戻り、都営大江戸線に乗って六本木のアマンドへ行こうとしていたら

同じ蔵前でも都営浅草線の改札へ行ってしまった。それまで蔵前には所用でよく来ていて、帰りに銀座へでるので都営浅草線に乗っていたので深く考えずに地下鉄入口へ入ってしまったのだ。蔵前は地下道でつながっておらず、なぜ同じ駅名を付けたのか謎(笑。

 

仕方なくもういちど上がり、ひたすら大江戸線の蔵前を目指す。考えてみたら、また厩橋へ戻ってるわけでなんだか無駄足だった気分。気を取り直して大江戸線に乗り、これから約30分、かなりの大回りで六本木に行くのか・・・と思ったが、隅田川大橋というまだ渡ってない橋って大江戸線のどこかで降りれば近いのでは?と思い・・・森下を過ぎたあたりで急いで確認。やはり清澄白河が近い。高橋という小名木川に架かる橋の出口へでて小名木川より一本入った住宅地の道を萬年橋へ。(小名木川沿いの遊歩道は工事中でした)

この萬年橋って「男女七人夏物語」でさんまのマンションが橋の脇にある設定だったことをふと思い出す。その時は緑色の橋だとおもっていたけれど違った?

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萬年橋

橋を渡ったところにもそれらしきマンションはなくて記憶違いだったっけ?

その萬年橋横の階段を下るとすぐに隅田川と合流し、隅田川沿いを歩いて行く。

 

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小名木川隅田川の合流地点から撮った萬年橋

小名木川隅田川の合流地点

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その遊歩道を清州橋方面へ左へ行く

 

清州橋の下を通って隅田川大橋へ

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清州橋のしたを通る

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墨田川大橋

墨田川大橋へは一度墨田川沿いから離れて渡らなければならない。

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上が首都高の隅田川大橋

 

渡っていくと永代橋から清州橋を目指した時にみた白い綺麗な豊海橋が見えてきたのでせっかくだから渡る。新川に架かっている橋。

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永代橋へ行った時にみた豊海橋

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豊海橋

渡るとそこは中央区

ここまでくれば日比谷線で六本木へ行くほうがよい。(アマンドへ)

茅場町目指して歩く。

萬年橋からみえた湊橋

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湊橋

 

途中、亀島川にかかる「れいがんばし」 という橋を渡った。これって時代劇にでてくる霊岸島ってこと?私が歩いたのは霊岸島なのか・・。

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れいがんばし(なぜかひらがな)

 

茅場町から日比谷線で六本木アマンドへ。六本木にももうしばらく行かないだろうなぁ。

家の最寄り駅に着いたのが午後2時半頃だったが、行きは人がそれほででもなかったのに雨がやんだのでみんな出てきたようで人混みが凄かった(;'∀')

 

これで厩橋から下流の橋は全て渡り歩きました。駒形橋から白髭橋まではいいのだけれど白髭橋から上流となると橋と橋との間隔もあってそもそも墨田川沿いに歩けるのか謎です。

ところで墨田川が始まる赤羽の志茂橋って墨田川に架かる?ようですが・・・どうなんでしょうかね。心配なのは神谷橋なんかは行きにくそうだし面白くなさそうだし(笑。

密会  1959年 日活

監督 中平康 脚本 中平康 原作 吉村昭

出演 桂木洋子 宮口精二 伊藤孝雄(新人)峯品子 千代侑子 細川ちかこ

 

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桂木洋子というとわがままでいいとこのお嬢さんのイメージが強かったがすっかり色っぽくなって和服美人でもあったのね。

 

松本清張の女版みたいなサスペンスと愛欲!見ていて飽きない。

 

大学教授、宮口精二の妻、桂木洋子は夫の教え子で法科に通う大学生、伊藤孝雄と逢瀬を続けて半年・・・。ある晩、いつもの神社の裏山で密会している時にタクシー運転手が殺害されるところを目撃してしまう。

慌てて帰るふたりは桂木の提案でしばらく会うのはやめるのだ。

 

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伊藤孝雄と桂木洋子

 

それ以降、伊藤孝雄は苦しむことになる。ある日、テレビで被害者の運転手の家族が放映され、それを見た伊藤はやはり警察へ目撃者として名乗りをあげるべきだと考えるのだが、桂木はふたりの関係が知れ渡り、自分の人生が崩壊するのを怖れ伊藤に警察へ行かないように取りすがるのだが、桂木の言い分をきいた伊藤は桂木が自分に言った愛の言葉は嘘だったのだと言い、アパートから駅へ向かう。慌てて追う桂木。

うまいのは伊藤が警察へ行くのか、どうかはっきりさせていないところ。警察ならわざわざ駅へ行くことない。

ホームで列車をまつ伊藤の後ろ姿を何とか追いついてじっと見つめる桂木。伊藤の首筋から汗がでている。←なかなかよい演出。

 

そこへ急行列車が通過する・・・

 

上品で静かな桂木洋子が、そんなことするのぉ~~~という展開。

 

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成城のお屋敷に住む桂木洋子宮口精二

ここで峯品子が伊藤孝雄を妹として登場。美術学校に通って?絵を描いている活発な妹役。

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電気もつけないで部屋にいた兄にびっくりする峯品子

そして桂木の家で女中をしている千代侑子という女優さんは1959年から1964年までの日活映画にチョイ役で出演しているが以降は不明。

 

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千代侑子と桂木洋子

 

四季の愛欲   1958年 日活

監督 中平康 脚本 長谷部慶次 原作 丹羽文雄

出演 山田五十鈴 桂木洋子 中原ひとみ 安井昌二 渡辺美佐子 楠侑子

   小高雄二 宇野重吉 細川ちかこ 永井智雄 峯品子 下条正巳 西村晃

 

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作家となった安井昌二と彼が小さい時に男関係?で家をでた母の山田五十鈴。息子が作家になったのでこれ幸いと彼の家の近くに一番下の娘、中原早苗と借家?に住んでいる。長女の桂木恵子は母の勧めで宇都宮で商売を営む歳の離れた夫、宇野重吉と結婚し二人の間に生まれた子供と義母とある意味お金のある暮らしをしている。結婚の条件として毎月、山田五十鈴に食費を出すというので嫁にやったのだ。桂木は毎月上京し母にお金を届けている大人しい女性だ。

 

安井はモデルをしている妻、楠侑子といるが、トップモデルとして売り出し中の彼女はいつもこそこそ安井にお小遣いをもらいに来る山田五十鈴が気に入らない。山田はその金で中年紳士の永井智雄と熱海へ行くのだ。

 

桂木洋子の夫のいとこで細川ちかこに投資してもらい、東京(銀座?)で会社を経営する小高雄二(新人とある)。桂木は母の勧めで結婚した宇野重吉より小高に魅かれ、元来真面目な性格なので小高を頼ろうとするのだが・・・小高の悪っぷりが最高♪

 

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桂木洋子と小高雄二

東京駅の待合室って古い映画でもたまに出てくるけれど、今そんなところあるのでしょうか?かなり豪華。

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細川ちかこと小高雄二

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警察に踏み込まれ・・・

妹の中原早苗は母の金遣いの荒さとか、兄のふがいなさとかにいつもプリプリ怒っているしっかりした女の子。モデルの妻と別居したことを知って、兄さんにはもっとまともな人がよいと自分の友人峯品子を紹介し、ふたりをなんとかしようとするのだが。

 

この峯品子という人、日活の女優さんらしいが1959年あたりの数本しか出演がないようだ。

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中原早苗と峯品子

モデル役の楠侑子という人は故別役実氏の奥さんだった。日本人離れした風貌はなんだか志賀暁子系?

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1933年生まれなので当時25歳

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中原早苗以外の山田、安井、桂木の確かに愛欲の物語。テンポが良い。ただ何も心に残らない物語だった(笑。

衣装デザインは森英恵とある。

 

でも山田五十鈴の変わりっぷりはやっぱりすごい!

 

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男と熱海へ

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銀座できびきび働く山田五十鈴

 

自分を捨てた男だが結局元へ戻る。

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楽しそうにまた男と旅行へ

最後は楽しそうに元の男とよりを戻した山田五十鈴を茫然と見送る安井と中原・・・

 

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日活が新東宝と違うのは出番が少ない役でもある意味有名な役者を使うってとこ。

例えば安井の知り合いの新聞記者が西村晃、小高の出資者の細川ちかこ、雑誌?の写真を撮っている下条正巳

 

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噂話をして去る西村晃

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細川ちかこ

中平康監督なので連れ込み宿のシーンでも無駄に裸がないのはやっぱり良い♪

いのちの朝   1961年 日活

監督 阿部豊 脚本 須藤勝人 原作 武者小路実篤

出演 芦川いづみ 宇野重吉 高野由美 小園蓉子 佐野浅夫 清水将夫

   内藤敏明 山岡久乃

 

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オリンピックがなんだかわからないまま開催決定が覆られない状態になったと同時に急にワクチンが足りなくなった?らしい(笑。

これでは戦前の大本営発表と同じだなぁ・・・。一番やりたいことを隠しながらそしてそれを正当化するために色々仕掛けがあるもんだ。敵前逃亡なんて言葉もあったな。

 

さて、いづみちゃんファンにはたまらない映画がこれでした。

 

なにせ、絵描きである父、宇野重吉がいづみちゃんをモデルに初めて100号という絵に挑戦する父娘のスポコンじゃなかった芸術根物語なのだ。

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ジャガイモしか描かない芸術家、宇野重吉の苦しい家計を支える妻、高野由美。嫁に行った長女、小園蓉子と次女でまだ嫁入り前のいづみちゃん。

冒頭、母親が長女から借りたお金を返すという場面があるが、武蔵野の一軒家に住んで

家の中もキレイに整頓されているので貧乏所帯という感じではない。

 

宇野重吉と同じ絵描きで名の売れた画家が清水将夫。彼の計らいて宇野重吉は初めて個展を開くことになるのだが、彼は乗り気ではない。しかし長女が父親のお気に入りのいづみちゃんがモデルになると言っているというと俄然その気になるのだ。

 

モデルとして父の前に・・・いづみちゃんのどアップがフンダンにあります。

 

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いづみちゃんの魅力は顔のかわいらしさだけでなく、とにかくあの声が魅力的。

内容的には量産時代の日活作品だから大したことないけれど(笑、いづみちゃんファンなら見に行っちゃうよね。

 

三井生命保険が協力?とあるので姉の夫である佐野浅夫が勤める三井生命に保険の外交員として入社?したいづみちゃんが「夫婦保険」を売るという場面が冒頭で設定されて

芸術家の大家から大口の保険契約をとる・・・ということから始まるのだが、その後いづみちゃんが働いていいる様子は一切ないのがご愛嬌(笑。

まぁ、話の辻褄が合わないなんてことは今も現実的に起こっているから映画の中での辻褄が合わないとか、話が全然違った?なんていちいち目くじらたてることもないのか・・・と思う今日この頃。

人間に賭けるな 1964年 日活

監督 前田満州夫 脚本 森川栄太郎

出演 渡辺美佐子 藤村有弘 川地民夫 結城美恵子 二本柳寛 

 

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川地民夫だから暴力とか反抗とかの映画かと思いきや、藤村有弘が主役のような物語。

チョイ役しか知らなかったのでビックリ♪。シリアスな役でなかなかだった。

そもそも題名がよくわからなかったのだが、なるほどね、納得した。

 

シェーバーの営業マン、藤村有弘は競輪好きで顧客から払われた代金や生まれた子供の養育費として病院に支払うお金をすってしまう。

競馬場で知り合ったヤクザの親分の妻、渡辺美佐子はいつもビリな競輪選手、川地民夫に賭けろというのだ。信じられない藤村だったが、言う通りに賭けてみるとなんと川地が一着で大儲け・・・

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藤村有弘 渡辺美佐子

 

藤村は共働きで、妻は教師をしているが家庭はひえきっている。

 

ある日、大坂出張の列車で藤村は川地と渡辺の姿をみる。後を追うと二人は抱擁している・・・。

 

渡辺は組からお金をもらって自分の実力を発揮しない川地をその気にさせ勝つことに期待を寄せている。夫は渡辺が警察に密告して今は刑務所にいるから誰にもじゃまされない。夫の姪の結城美恵子は川地とゆくゆくは結婚したいと思っているが、それには川地にヤクザとの付き合いも、そして競輪選手もやめて欲しいと望んでいる。

 

大阪を振り出しに川地の転戦についていく渡辺と藤村だが、川地は一向に勝てない。

それでも渡辺は狂ったように川地に賭けるのだ。

 

すっからかんになって東京へ帰る。今度は東京のレースだ。ちょうど組の親分、二本柳寛が出所。競輪場裏へ連れてこられた渡辺・・・二本柳寛は誰が警察に密告したのかすでに知っていた。二本柳寛って小津映画では原節子の相手役をやっていたけれど年を重ねるにつれ、ヤクザとか恐い男の役ばかり。ただピッタリだった。

 

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渡辺美佐子 二本柳寛 結城美恵子

 

川地はというと新しいスポンサーをみつけ、やはり八百長をするのだった。

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川地民夫

最後はなんとも皮肉な結末。この映画の監督と脚本家は初めてでした。