日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

浮雲 その2 1955年 東宝

監督 成瀬巳喜男 脚本 水木洋子 原作 林芙美子

出演 高峰秀子 森雅之 岡田茉莉子 加藤大介 金子信雄 中北千枝子

   木匠マユリ 山形勲 千石規子 大川平八郎 ロイ・ジェームス

   村上冬樹 出雲八重子 

 

と、いうことで高峰秀子、誕生日記念の夕べ・・(笑で、ひとり浮雲を昨夜鑑賞。

見直したので前とは違う感想をもちました。

 

人間の記憶はあてにならない・・・と何度も言ったが、しばらくぶりに見直して

マイナスな記憶が払拭!

2時間越えの長い物語で、ボルネオ?時代の映像と最後に屋久島で高峰秀子が死んでいくところが長くて退屈だと思っていた映画だが、私の記憶(印象)違いでした(汗。

 

特に屋久島で病に伏せる高峰の面倒と、家事を引き受ける島の女性、千石規子・・・

私は、そのおばさんは浦辺粂子だったと思っていた・・・。

高峰が死んで、森が悲しがるのは最後のちょっとで、それまでもテンポよく高峰の具合の悪さを表現していて、ここで泣いて~~!という監督の意図は全く感じられないのに思わず泣いた(笑。

 

そして、森雅之千石規子の二人のやり取りを病の床から見た高峰秀子の複雑な表情・・・それまでも岡田茉莉子や木匠マユリという女性の存在があった森雅之のことだから、この人はきっといつか千石規子とも関係をもつだろう・・・という怒りと諦め?の表情は素晴らしかった。

千石規子もなんとも言えない目で森雅之をみてをセリフをいうのだが、本当に自然で

千石規子も森に惹かれているんじゃないかとおもわせる・・・ことがこのシーンでわかる。

そのセリフも他愛ないもので(確か天気かなにか)、いちいち役者にそれを想像させる台詞を言わせたり、高峰が森に文句や愚痴をを言ったりする場面は一切ない。

 

成瀬巳喜男最高!

 

テンポ的には川島雄三。だけれど成瀬もテンポがかなりいい監督だと思う。

 

もうひとつ、屋久島へ向かって旅立つ二人を、鹿児島で高峰を診た医者、大川平八郎が見送りに来る。

4時間おきに注射を打てと森に薬剤を渡し、出航する船。周りにはたくさんの見送りの人がいてテープを投げたりしているが大川平八郎はただ立っているだけで船をみている。

遠ざかる船を最後の最後になって、遠慮がちに手を振る・・・という演出も忘れられないシーンとなった。

 

森雅之は元々細い人だけれど、デコちゃんが言っていた通りさらにダイエットで

痩せこけていた。ちょっと痩せすぎだと思った(笑。

 

謎↓

昔の温泉って混浴が普通?だったのでしょうか。

高峰と森が伊香保共同浴場で一緒に湯舟に入り、岡田茉莉子とも森雅之が一緒に入ったのは「あえて」だと思っていたけれど、

伊香保最後の朝?に森が風呂に行くと言い出し、岡田茉莉子も風呂に行くと言っていたシーンで、それをきいた高峰が私も一緒に行くと言ったら岡田茉莉子は行くのをやめた・・・二人が風呂から出ると森雅之の下着や衣服だけが風呂敷に包まれて籠の中に

あったのを見て高峰秀子森雅之岡田茉莉子との関係に気づくのだが、そこへ男性がひとり入ってくる。脱衣所に男女がいるのを気にするふうでもないし、よく見ると共同風呂の入り口はひとつ・・・。

 

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このスチール写真が最高ですね。