日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

地下街の弾痕  1949年 大映

監督 森一生 脚本 柳川真一

出演 京マチ子 二本柳寛 志村喬 高田稔 菅井一郎 伊達三郎

 

www.kadokawa-pictures.jp

 

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kadokawaより

1949年というとまだ日本は占領されていて当然GHQから検閲を受けていた映画だ。

 

梅田の地下街で男が拳銃で殺された。身元を調べるとその男の妻は刑事、二本柳寛が大学の頃結婚を申し込もうと思っていた女性、京マチ子であった。

彼女はその男が薬問屋の息子でお金持ちだから結婚したのだが、そのことを兄に責められた過去がある。

戦争が終わるとまるで抜け殻のようになった京マチ子の夫。そのために京マチ子はキャバレーで踊り子となる。夫は会社勤めをしているようだがなんだかわからない。

 

京マチ子は久しぶりに刑事となった二本柳寛を知ると反発するのだった。

 

数年ぶりに会った京マチ子の兄で大学の同窓である伊達三郎は今は警察署に詰める新聞記者となり二本柳寛と再会するのだ。

 

刑事課長?である志村喬以下、その殺しを調べるとどうも背後に密売組織の暗躍が疑われる。

古賀という心斎橋で宝石商の高田稔の元を殺された男が持っていたネクタイの持ち主だとわかり訪ねるとそれは盗まれたものだと高田稔はいう。

がっかりする二本柳寛に志村喬はそんなことはないと力づけるのであった。

 

殺された男がいたという会社をあたると、前科のある男、菅井一郎もいたことがわかる。菅井はしらをきるがその後、男を殺した拳銃を菅井一郎が所持していることがわかる。

 

終戦後4年で作られたのでロケはところどころ焼け跡、空き地、空襲を受けたと思われるビルがでてくる。二本柳寛が大阪の都会を歩き回る映像は隠し撮りに近い?ようで道行く人の中にはカメラを不審そうにみながら行く通行人が映っていたりする。

 

大映京都が撮ったとあるが不思議なのは大阪市警察局(なんだそれ)が舞台なのに誰一人として関西弁の人がいないのはご愛嬌。

 

一番の悪が高田稔なのが最後でわかるのだが、ハンサムな俳優さんは中年になると悪役となるのか「第三の死角」では森雅之が悪玉だった。そして二本柳寛も後年、日活でさんざん悪者を演じることになる。もうひとり刑事役で後の時代劇で悪役を演じた伊達三郎も刑事だった。しかし彼はもうすでに悪人顔だった(笑。