日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

ミンボーの女   1992年 東宝

監督・脚本 伊丹十三 

出演 宮本信子 大地康男 宝田明 村田雄浩 大滝秀二 三谷昇 伊東四朗

   ガッツ石松 中尾彬 小松方正 柳葉敏郎 渡辺哲 矢崎滋 矢野宣

 

 

 

何回も過去みた映画。久しぶりに見たらやっぱり面白くて最後までやはり見るのをやめられなかった。

伊丹十三という人は俳優さんもしていたけれど、監督となって妻の宮本信子主演映画を作った。それは大島渚も妻の小山明子は出演させてはいたけれど使い方は全く違う。

宮本信子はとにかく美しく撮られている。

 

ミンボーという言葉だってこの映画で私は初めて知った。この映画が世間に及ぼした影響は大きいし、ヤクザの実態を映画を通して見せてくれた。

 

その後、監督が襲われるということになったり、そして監督自ら死んでしまったけれど

もっと生きていて欲しかった。生きていたらどんな作品を作っていただろう。

 

伊丹十三が大活躍だった時、特にこの映画が封切られた1992年前後、バブルは弾けたと言われたが、末端ではまだまだバブル景気だったと思う。

ただおっぱいポロリとか、謎のセクシーシーンとかがマルサの女なんかでもちょくちょく挿入されるのはどうかと思うんだけど、そんなことしなくてもお客は入る映画を作っていたから。ま、川島雄三のお墓へのこだわり同様、彼もそういったこだわりなのかもしれない。

数々の名シーンがあるけれどなんだか非常に印象深いかったのは

弁護士の井上まひる宮本信子)がヤクザ対応担当となった二人、大地康男と村田雄浩がホテルのバンケットのテーブルの下の隠れ家?で休んでいるところへ現れ、やってきた弁護士が女だと知ると「・・・なんだ・・・女か・・・」というがっかりした顔をする場面。

 

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大地康男と村田雄浩

そして井上まひるがここは居心地がいいと言って仰向けになる。大地と村田がふたりでその顔を覗き込むと眼をつむていた弁護士がパチっと目をあける演出。

 

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宮本信子

全体的にシリアスなんだけどコメディも散りばめられて、総支配人がホテル内をヤクザ一味に追われて逃げ惑うが、結婚のウエディングケーキ入刀の場面に出くわし、総支配人が入ってきて倒れそうになったウェディングケーキを新郎新婦がなんとか持ちこたえるがその後を追った中尾彬以下のヤクザもん乱入でまた倒れてしまいそうになり、必死で追ってきたヤクザ連も披露宴の最中だと気づいてスローモーションのように抜き足、差し足、忍び足でその場をあとにするところは可笑しい。

さらに連行されそうになった中尾彬伊東四朗は逃げようといせするが部屋をでると機動隊、さらにマスコミが待ち構えていてそれまでコソコソ逃げようとした態度を一変させ、堂々と連行されていくという描写はやはり彼らの本質を表していて芸が細かいと思った。

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コソコソ逃げ出そうと部屋からでるが

待ち構えていたマスコミをみて虚勢を張って連行される。伊東四朗がわざとなんでもないことのようにあくびをするところなんか更に芸が細かい。

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中尾彬伊東四朗

wikiによると伊丹十三は俳優のアドリブは許さなかったという。

なので全てにおいて俳優は伊丹の考えた演技だったのだろう。

 

伊丹十三監督作品で好きな映画

マルサの女 あげまん ミンボーの女

 

ところで裁判所の矢崎滋。懐かしい顔。あの当時彼の顔は結構目にした。売れていた人だと思うけれど確か亡くなったんだよね。・・・と調べたらすいません、まだ存命し芸能界を引退して今は都はるみと暮らしているらしい。もっと役者やっててほしかったけど・・・。

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矢崎滋

さて、ホテルで経理課だったのにヤクザ対応担当にされた大地康男は好きな役者さんだ。彼も最近みなくなったのでちょっと悲しい。確か墓石か葬儀の宣伝でみたけれど

彼もそんな宣伝にでる年齢になったのか・・・と思った。

それよりもっと彼の出演している映画がみたいなぁ。昔のサスペンス劇場で東中野警察署の刑事役のドラマで今は満足してます。

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村田雄浩と大地康男