日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

地図のない町  1960年 日活

監督 中平康 脚本 橋本忍 中平康 原作 船山馨

出演 葉山良二 滝沢修 宇野重吉 吉行和子 南田洋子 浜村純 嵯峨善兵

   小沢昭一 高野由美 三崎千恵子 梅野泰靖 山内明 下條正巳

 

www.nikkatsu.com

 

日活より

 

 

2023年元旦 明けましておめでとうございます。

 

これは!と思ってみた「マダム」はずっこけましたが(笑、新年初めての記事にするこの映画は大当たり♪ 大みそかの日活作品に大満足♪♪ 昨夜は23時45分から0時までは途中で視聴を中止し、NHKの行く年くる年で各地のお寺やら神社やらの状況を把握して(ま、把握しても何もしませんが)また視聴開始。この中止した15分が(早く映画を見たくて)やたらと長かった。めでたく年が明けて・・・再び視聴再開♪

 

まず、脚本の橋本忍の名を見た瞬間から普通の日活作品じゃないな・・・と思いました♪

滝沢修の悪役が最高で、あんなに悪い滝沢修って初めてでした。さらに山内明が頬に傷のある刑務所帰りのヤクザ者!安藤昇よりすごかった(;'∀')

 

戸崎慎介(葉山良二)は医師だが、急患で運び込まれた患者を死なせてしまい、以降仕事もやめて妹、佐紀子(吉行和子)に頼って生活するようになった。佐紀子は市役所に勤める梶原五郎(梅野泰靖)との結婚をもう3年も伸ばしている。五郎は自分たちがなかなか一緒になれないのは慎介が働かないからだとよく思っていない。デートの帰り、佐紀子と五郎が川沿いを歩いていると地元のヤクザ、梓組の連中に襲われ、佐紀子は男たちに暴行されてしまう。

 

その日、佐紀子は自殺を図り、間一髪で助かったが心の傷を負った佐紀子を思って

慎介は五郎を訪ね、佐紀子のために警察で証言して欲しい、そして佐紀子とはすぐにでも結婚して欲しいと頼む・・・しかし、五郎は自分が証言したら佐紀子はもっと傷つくことになると言う。そして結婚のことについては言葉を濁すだけではっきりしない。

それに五郎は梓組からの仕返しが怖いのだ。

 

慎介はひとりで警察へ行き、妹の被害を訴える。最初は話をきいてくれた刑事だがなんの進展もなく、慎介が問い合わせるとまさかの逆切れで「自分で調べろ」と言われるありさま・・・。悩んで夜の町を歩いていると客引きをしている女が店先で座っていた。

彼女、加代子(南田洋子)は慎介の幼馴染であったが、加代子の父の養七(浜村純)が競輪狂いで飲み屋の女となった。(その後、慎介と加代子は一晩を共にするが、客としてなのかどうかははっきりしない、でも演出がよい)

慎介は師と仰ぐ医師、笠間雄策(宇野重吉)のいる町へ妹を連れて引っ越し、笠間医院を手伝うことにする。佐紀子はあれ以来すっかり暗くなり、一日中ミシンを踏んでいるだけだ。

 

その町は戦後のドサクサ?で市の土地に皆が勝手に家を建てて住んでいる。

そこに開発話が持ち上がっていた。立ち退き交渉からビルの建設まで市から一手に引き受けたのが市会議員でもあり梓建設の社長でもある梓米吉(滝沢修)というヤクザ者だ。彼らは住民たちを一万円の立退料で追い出そうとするがみんな納得しない。

唯一、自分の土地、建物である笠間医院の笠間だけはその件とは関係ないが住民は笠間を頼って医院で話し合ったりする。笠間も梓と交渉しにいくが、なんと梓は笠間医院のある場所も開発したいと言い出す。もちろん断って帰るが住民は梓組から暴力を受けたりですっかり怯えてしまう。

笠間は質屋から借金があるが、なんとその借金を梓が買い取り、期日までに35万円を支払わないと立ち退けということになった。慌てて梓の弁護士のところへ行くが法律を立てにどうにもならない。しかし、周りの住民が笠間のためにお金を寄付したり、溜まっていた診察代を支払ってくれたりで期日までにはなんとか35万円を集められそうになった。安堵する住民や慎介だが、笠間が瀕死の重傷を負って発見される。

 

一方、佐紀子の婚約者だった五郎は別な女性と付き合いだしたようである晩その光景を見た慎介はますますうちのめされるのだ。

そして幼馴染だった加代子は梓の妾となった。

 

慎介は怒りに震える。そして梓さえいなくなれば・・と考えるようになるが・・・

 

この後、ハラハラドキドキの橋本忍ワールドが爆発する!(ま、脚本で中平康監督の名もあるが)結末はビックリ。黒い画集並のサスペンスで大満足な作品でした。

アマゾンより