日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

愛情の決算 1956年 東宝

監督 佐分利信 脚本 井出俊郎 原作 今日出海

出演 佐分利信 三船敏郎 原節子 小林桂樹 八千草薫 浜田百合子 加賀夏子

   塩沢とき 堺左千夫 藤間紫 田中春男 内田良平 土屋嘉男 南美江

 

日本映画専門チャンネルより

なんと原節子が不倫しちゃう物語。監督が佐分利信で自身も出演。2時間近い映画でしたが飽きずに最後まで楽しめましたが、その後はどーなるのだ?成瀬巳喜男調のハッキリしないエンドとなりましたが成瀬巳喜男なら許せた最後の終わり方にこの映画は不満を感じました(笑。

 

義理の息子の誕生日に銀座へ行った楢崎(佐分利信)は偶然妻の勝子(原節子)と戦友だった大平(三船敏郎)が一緒に歩いているのを目撃する。息子にそれに気づいて声をかけようとするが引き留めて家にかえる。

その後、遅くなって帰ってきた勝子は友人と新宿で会っていたというが、息子から銀座で見たよと言われてしまい・・・

そして回想シーンとなる。

 

終戦後の昭和21年。フィリピンで病死?した日本兵内田良平)の未亡人、勝子(原節子)の住むバラックに彼の一周忌のために集まった戦友たち。その後、残された6才の息子を抱えた勝子を妻にした楢崎(佐分利信)は怪しい雑誌社に勤めていたが、足を怪我して休職している間に解雇されてしまった。

楢崎の家には戦友で岡山からでてきた吉野(千葉一郎)一家が一年近くも居候している。

ここで吉野の妻役がなんと浜田百合子だったんですが、役柄のせいかしばらく気づきませんでした。派手でわがままなお嬢様というイメージだったので貧乏一家の妻役とはビックリでした。

 

勝子は収入の無くなった夫に代わって大平(三船敏郎)の世話で劇場の売店に勤めることとなった。売店に訪ねて来た大平と久しぶりに銀座にでた勝子。

戦友のひとり、武内(小林桂樹)は朝鮮戦争の特需で富を築き、吉野は武内の経営するパチンコ屋に勤めるようになり楢崎の家を出て行った。

武内は愛人(藤間紫)を世話して彼女に料亭?をやらせている。

楢崎も武内の世話で倉庫会社に職を得たがあまり仕事ができるほうではなく、社長や上司(土屋嘉男)からは疎まれているが、武内の紹介なのでクビにもならない。

大平は大学卒業後、新聞社に勤めている。

大平と会ううちに勝子は大平から愛を告白される。昔から勝子も大平には惹かれていたのだ。

そして二人はとうとう関係をもってしまう。

 

大平は二人の関係を楢崎に告白してハッきりさせようと楢崎の会社を訪れるが、楢崎は勝子と別れることもなく喧嘩することもなくそのまま時が過ぎた。

 

武内は孤児だった娘(八千草薫)を引き取って大学へ行かせていたが、なんと彼女と結婚したいと勝子に自分をおじさんと呼ばせているその娘、朝子(八千草薫)に訊いて欲しいと頼んできた。そこで朝子のいる武内の屋敷へ行くと大平が来て5年ぶりの再会となった。

そこで冒頭シーンの二人で銀座で会っていることになるのだが、そこで大平が数年欧州へ行くという。勝子も連れて行って欲しいとなり、その夜家に帰った勝子は楢崎にいままで口にださなかった勝子の本心を言うのだ。それは楢崎が勝子に同情して結婚してくれたということで愛情ではないというのだ。何も言えない楢崎だがなんと息子は楢崎の味方になる。

いたたまれずに家を飛び出て電車に乗る勝子に声をかけたのが昔住んでいた地域で知り合いパンパンをしていた女(加賀夏子)だった。それから10年経ち、彼女もすっかり地味な恰好で日本人の夫と思われる男性と一緒だった。

 

勝子は電車のシートに腰かけ・・・そこで終わり。

 

ん~~~~。ん===。成瀬巳喜男とはなにかが違って納得できない(笑。

 

昭和30年、31年頃の東京の風景が見れます。佐分利信が倉庫会社に勤めているという設定だったので多分今は埋め立てられた江東区のどこかの小さな支流風景が良いです。

 

日本映画専門チャンネルより