日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

今宵妻となりぬ 1947年 大映

監督 田中重雄 脚本 館岡謙之助

出演 高峰三枝子 入江たか子 宇佐美淳也 岡村文子 潮万太郎 葉山惠子

   浦辺粂子 吉井莞象 伊東光一 千明明子

入江たか子高峰三枝子

高峰三枝子や潮万太郎、宇佐美淳也結婚適齢期だからいかに古いか(と言っても戦後2年で公開)わかる作品。ストーリーもその当時は大うけしただろうと思わせる内容でしたが、私としては高峰三枝子入江たか子の寿命を短くしちゃったが印象に残った(笑。もうひとひねり、え~~という展開で終わりになってほしかった。

 

麻布の津村病院。娘の由美子(高峰三枝子)は両親、兄を亡くし、病院は由美子のものだが経営は叔父夫婦に任せ、同じ敷地にある邸宅でその叔父夫婦(吉井莞象・岡村文子)と娘の圭子(葉山千恵子)と仲良く暮らしている。

ある日、叔母が見合いだといって強引に由美子に引き合わせたのが日本橋で海苔問屋を営む家の息子、牧野伝助(潮万太郎)。伝助は一目で美しい由美子を気に入るが由美子は全く乗り気ではない。彼女は春先に行ったスキー場で気になる田舎医者がいた。

 

院長である叔父に呼ばれて院長室へ行くとそこにはあの「田舎医者」がいた。彼は森川といい(宇佐美淳也)、内科に詳しい医学博士で病院の内科部長として赴任してきたのだ。由美子の兄嫁、幸枝(入江たか子)は胸が悪く、熱海で療養している。毎週土曜日に幸枝を診るために熱海へ行くことになった森川は幸枝の亡くなった夫、由美子の兄とは過去、親しい医者仲間だった。

 

森川がきになる由美子はあえて森川を困らせるようなことをしたり、邪魔したりする。

自分の気持ちがわからない由美子は幸枝に相談する。

由美子の気持ちを悟った幸枝だが、彼女も森川の診察を受ける時、胸が高鳴る自分がいるのだ。

ある日、森川がいる熱海の義姉の家へ行こうとすると森の中で森川と幸枝が仲睦まじく寄り添っているところを偶然目撃する。何も言わず義姉の家に行った由美子に帰ってきた幸枝は優しく声をかけるが、幸枝も森川が好きなのだと心中は混乱。その後由美子は行方不明となり幸枝は弱い身体で探し回る。

由美子は友人、千秋(千明明子)の別荘?におり、兄の光一は由美子を狙っていた。自分からカクテル?を飲む由美子・・・そこへ幸枝が帰りましょうと迎えに来るが由美子は言うことをきかない。なんとか熱海の家に連れ帰ったが幸枝は寝込んでしまい、急遽森川が呼ばれ診察するももう命が短いとわかる。叔父一家も駆けつける。

幸枝は由美子に森川と一緒になって幸せになって欲しいといい亡くなる。

 

その後、白無垢姿の由美子の姿があって森川の妻になったことがわかる。

途中まで森川の気持ちがよくわからない演出だったので私なら森川は由美子とも一緒にならず、病院を去っていく・・・な話にする(笑。複雑な表情で見送る由美子・・だが彼女も天性の明るさで未来に向かって生きていく~~みたいな。

ストーリーがドツボ過ぎてあまり面白くなかったんですが、入江たか子の昔の女性のナヨナヨ感と無邪気な高峰三枝子の若い時代の女性感の対比はよかったです。

確か、亡、木暮実千代の甥?が書かれた本で演じる役が高峰三枝子は優しい役、木暮実千代は意地悪な役があって、木暮のイメージが一般的にあまりよくなくなったが(実際、演じる人柄がその女優そのものの人柄だと思う人って多いんでしょうね)高峰三枝子のほうが性格がきついと木暮は言っていた?といったような記述がありました。その後、高峰三枝子の息子がなにか問題があったときに木暮実千代が助けたそうです。

その木暮実千代の息子も結局、木暮が残したものは全て食いつぶし、行方知れず。ただしばらくして甥の方がどこかで偶然会ったそうですがそれ以来行方はわからないと言います。もう亡くなっているんでしょう。子供の頃から贅沢三昧な生活をさせるとろくなことにはならない典型のような実話です。

 

話がそれました。終戦後すぐの映画ってやたらとお金持ちの家の話が多い気がします。

まだ焼け野原が残っていて庶民の生活はたいへんだったと思いますが、せめてこんな豪勢な暮らしをしている人たちの映画を見て一時、現実を忘れたんでしょうか。

ヤフオク スチル

 

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