日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

ながらえば   1982年 NHK

脚本 山田太一

出演 笠智衆 長山藍子 中野誠也 佐藤オリエ 宇野重吉 堀越節子 

NHKより

 

一、二年前にも日本映画専門チャンネルで放映されていたが、今年は笠智衆生誕120年でまた特集が組まれ、録画して視聴。

高齢となった男性が離れ離れとなった妻に会いたくて妻が入院している病院へ向かうが同居する息子夫婦に「妻に会いたい」なんてことも言えず・・

高齢男性の胸の内がメインですが、当時の長男の嫁が夫の親と同居して面倒をみるのが当然と考えられていた時代背景や、娘は夫からDVを受けているが、まだDVなんて言葉がない時代にそんな脚本を書ける山田太一はやっぱりすごい。しかし彼も亡くなってしまいました。

息子の嫁を演じた佐藤オリエも高校生の母親役。「若者たち」からの月日を感じさせます。

 

日本映画専門チャンネルより

息子の転勤で入院中の妻を残し、名古屋から富山へ住むことになった老人(笠智衆)。富山に着てまだ一日しか経っていないのに、息子夫婦に金をくれという。自分のお金を息子に貸した?老父は名古屋へ行きたくても電車賃さえない。息子夫婦は理由を聞くが答えない。翌日、嫁(佐藤オリエ)に名古屋へ行くから金が欲しいといってもせめて一か月してから行ったらどうですか?と取り合ってもらえず、彼はタンスから3000円発見するが盗もうとしたところに嫁が帰宅・・ふりきって嫁を押し倒し、彼は列車にのる。しかし途中までのキップしか買えず、急行券ももたずに列車に乗ったので途中駅で降ろされる。鈍行が来るまで2時間以上ある。駅前に数軒あるだけの田舎町。周辺をぶらついているうちに時間を忘れ、慌てて駅へ戻るがキップがない!改札でちゃんと受け答えができず、あの列車に乗りたいと言えば田舎の駅だから融通が利いたのに・・・と列車が行ってしまったあと駅員に言われるがすでに時遅し。

もうお金はもっていない。仕方なく駅前の旅館へ行く。おどおどして何も言い出せないまま女中から部屋へ案内されてしまう。

夜も更けて、階下が騒がしくなった。そっと階段の上からのぞくと旅館のおばぁさんが亡くなったらしい。しばらくするとそのおばぁさんの連れ合いらしい主人(宇野重吉)が出てくる。思い切って声をかけお悔やみをいうと彼は酒をだしてきた。

死んだ妻をどこにも連れて行かなかったなどとその旅館の主人は後悔を口にする。。。

その後の展開がまた良くて、涙なしには語れません(笑。私も年齢がいって初めてこの物語の良さがわかるようになりました。

 

笠智衆の妻役はなんだか夏川静江?かと思いましたが堀越節子という女優さんだそうです。

堀越節子・笠智衆

なんと堀越節子という女優さん、森雅之の先妻であり、文学座を支えたメンバーでもあったという。映画では「ほろよひ人生」や「母よ薔薇のやうに」「渦福」などに出演!

1915年生まれで没年不明とありました。

 

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