日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

風と樹と空と  1964年 日活

監督 松尾昭典 脚本 三木克巳

出演 吉永小百合 浜田光夫 和田浩治 川地民夫 加藤治子 十朱幸代

   山本陽子 永井智雄 安田道代 菅井きん 中村是好 高橋とよ

   野呂圭介

 

www.nikkatsu.com

 

なんと吉永小百合が4度もフラれる?物語(笑。

青森から友人5人と上京し、吉永小百合は大学生の川地民夫の一家の女中として就職する。友人はそれぞれ美容院や工場などへ行く。

 

まず、高校の同級生 和田浩治・・・吉永の友人と仲良くしていて後にふたりは結婚。

次は大学生の川地民夫。彼には十朱幸代という恋人がいた。

3番目が同じく同級生だった慎太だが、和田のアパートに恋人だと山本陽子を連れてくる。

美容院に勤めながらクラブで歌を歌っていた安田道代はすでにどちらも諦めてバーに勤めているが慎太にフラれた吉永が安田のアパートへ泊った翌日、安田がしみじみ浜田のような人と一緒になりたい・・・というのを聞いて自分も浜田が好きだと意識するが、

浜田は東京の暮らしには慣れないと、青森へ帰ってしまう。

上野駅まで見送りにいくが、浜田ののった汽車はでてしまった後・・・。

浜田は「みんなだんだん東京の人になっていくのだ・・・」とつぶやく。

 

結局浜田光夫と恋仲になるのか・・・と思っていた結末が違っていたのはびっくり(笑。

 

雇い主からおこずかいと渡されて、「やっぱり頂きます」とちゃっかりする吉永も新鮮でした。

 

山本陽子が新人とあります。

安田道代は最初気づかなかった(笑。

日本一のホラ吹き男 1964年 東宝

監督 古澤憲吾 脚本 笠原良三

出演 植木等 浜美枝 曽我廼家明蝶 飯田蝶子 山茶花究 高田稔 三井弘二

   人見明 中真知子 谷敬 安田伸 江川宇礼雄 草笛光子 坂本武 

   桜井センリ 由利徹 

 

クレージー続きます(笑。

だんだんキャストが豪華になっているような気がする。

教授役で出演した高田稔にしばしうっとり(笑。

 

本屋のおやじ、坂本武もよかったし、資料室の三井弘二最高♪♪

江川宇礼雄はますますガイジンになったし(笑。

飯田蝶子は子供の頃みた飯田蝶子だった!(丸顔のおばぁさん)

 

就職試験に落ちた植木が、臨時雇いの守衛として会社に入社し、とんとん拍子の出世する痛快サラリーマン映画。

植木のご先祖の話もでてきてテンポがよい。

 

立て替え前の東京会館や、「最高殊勲」の結婚シーンと同じところで(セット?それとも東京会館の中?)やはり結婚する植木、浜美枝・・・。

使いまわし?と思える箇所が、草笛光子の住むマンションの廊下?

 

敵の会社は前作の植木の会社(大和証券本社ビル)。

 

クレージー映画は何度もみたので話が頭の中でミックスされていた・・(笑。

 

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日本映画専門チャンネルより

 

日本無責任野郎 1962年 東宝 

監督 古澤憲吾 脚本 田波靖男 松木ひろし

出演 植木等 団玲子 草笛光子 ハナ肇 谷敬 浦辺粂子 由利徹 藤山陽子

   犬塚弘 人見明 中北千枝子 桜井センリ 石橋エータロー ジェリー伊藤

 

クレージー映画第二弾。1962年の暮に公開された正月映画。

こちらのほうが出演者が豪華?草笛光子浦辺粂子がでてくる。。

 

浦辺粂子の「バックル バックル ストッピ!」がおもしろい(映画、観てください 笑)

やはり荻窪東宝というサイトが詳しいのです。

 

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日本映画専門チャンネルより

 

日本無責任時代  1962年 東宝

監督 古澤憲吾 脚本 田波靖男 松木ひろし

出演 植木等 ハナ肇 重山規子 中島そのみ 谷敬 団玲子 藤山良子

   峰岸徹 田崎潤 由利徹 松村達雄 久慈あさみ 中北千枝子

   犬塚弘 石橋エータロー 桜井センリ 安田伸 人見明

   出雲八重子

 

クレージー映画の第一作だという。

 

植木等の口八丁ぶりが凄い。何度かみたけれど、1960年代の東京の様子がわかるのが一番のみどころ(笑。

若い峰岸徹がいます。

 

感想は以上です・・・。

 

荻窪東宝というサイトが詳しいです。

 

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日本映画専門チャンネルより

 

五泊六日 1966年 東映

監督 渡辺祐介 脚本 瀬川昌治 原作 樹下太郎

出演 緑魔子 川崎敬三 磯野洋子 人見きよし 大坂志郎 岩井富子 

   若水ヤヱ子 池部良 岡譲二

 

緑魔子というと「傷だらけの天使」とか「夢千代日記(テレビ)」が思い浮かぶけれど、主演映画ってびっくり(笑。

 

ただ、やっぱり緑魔子・・・。池部良がちょっと特別出演していて池部プロダクション

プレゼンツ・・なのだが・・・、やっぱり緑魔子の主演はねぇ・・・。

年取った(笑 岡譲二もちょっと出演だけど、早々に死んでしまって出番なし(笑。

 

タイピストをしている緑魔子は、サラリーマンの川崎敬三と付き合っているが、貧乏暮らしがイヤなので会社経営者の息子、人見きよしと結婚する。

フラれた川崎敬三だが、ハンサムなので同じ会社の磯野洋子の猛アプローチ?の末結婚する。

 

新婚旅行は(当時流行?)のクーポンを使うが、なんと緑魔子川崎敬三の新婚旅行先は全く同じ。クーポン旅行なので泊まるホテルも同じ・・・。

 

途中、大阪から来た中年の夫婦、大坂志郎と岩井富子も加わりスッタモンダ・・。

 

脚本はそれなりに面白いかもしれないが、磯野洋子(新人)が美しすぎて(笑、

緑魔子が美人でいいところのお嬢さん・・・に見える設定がうそっぽい(笑。

 

新婚旅行先でやっぱり緑と川崎はお互いまだ好きとわかり、別のホテルで不倫を計画するのだが・・・

最後はなんとも皮肉な結果に(これおもしろい!)

 

東映って任侠ものしかないのかと思っていたけれど、ブラックユーモアなコメディもつくっていたのですねぇ。

ただ緑魔子って(笑。

彼女の指は細くて長くてきれいでしたが。

 

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池部良と右後ろが岡譲二

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緑魔子

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川崎敬三 磯野洋子夫妻

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怪猫 逢魔ヶ辻   1954年 大映

監督 加戸敏 脚本 木下藤吉

出演 入江たか子 坂東好太郎 勝新太郎 村田知栄子 阿井美千子 霧立のぼる

   橘公子 

 

白塗りの優男だった勝新太郎が見れます(笑。

 

女歌舞伎の頭、入江たか子の興行は好評だが、舞台の花道に穴がありそこで足を痛めてしまったり、舞台の上から突然モノが落ちてきたりする。

実は料理屋のおかみの村田知栄子は妹、霧立のぼるを主役にしたいのでなんとか入江を舞台に立たせまいと大道具の男達を引き込んでいた。

 

興行主?の息子、勝新太郎は入江の弟子2人と心配するが、入江はなんとか次の舞台にたつ。

歌舞伎の人形振りの入江はみごとだった!(これだけでも一見の価値あり 笑)

 

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人形振りを披露する入江たか子

入江の愛人、坂東好太郎は料理屋の村田知栄子と通じている。

怪我をおして出演した興行も大成功で、村田の料理屋で祝賀会を行うことになったが、

村田が入江の席に座り、嫌がらせを妹たちとする。

耐える入江だが、村田は茶碗をなげつけ、入江の顔に傷をおわせる。

 

包帯を巻いて床に臥せっていると、姿を現さなかった坂東好太郎がいい薬があるという。そこへ弟子のひとりが大道具さんからいい塗り薬をもらってきたと帰ってくると

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入江と坂東好太郎

坂東好太郎は、その薬だと入江の顔の傷に塗ってやる。

坂東を信じ切っている入江はすっかり夢心地。

しかし、その塗り薬は入江の美しい顔をただれさせてしまった・・・。

 

入江の弟子のひとりはなんとなくそのことに気づく・・そして坂東に殺されてしまう。

 

入江はこんな顔では興行できないと引退を決意する。ある晩、坂東と舟にのる・・・。

そこで自分の弟子を殺したのはあんたでしょう・・・とかまをかける。

 

入江は切られ、川へ投げ込まれるが・・・

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恨めしそうに舟につかまる入江

この映画で入江は化け猫にはならない。

かわりに残った弟子に幽霊となり、自分は殺されたというのだ。

 

その後、主役の座を射止めた霧立のぼるが舞台の稽古をしていると・・・

入江の可愛がっていた猫が・・・

というストーリー♪♪

 

化け猫女優と言われた入江だが、5本の化け猫映画にしか出演していない。

それよりもっと多くの普通の(笑 映画に出演していたのに・・・。

昭和初期には田中絹代を抑え、人気ナンバーワンだったという。

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お祝いの席でいじめられる入江たか子。いじめる村田知栄子。

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優男 勝新太郎

 

君死に給うことなかれ  1954年 東宝

監督 丸山誠治 脚本 丸山誠治 西島大

出演 池部良 司葉子 若山セツコ 土屋嘉男 志村喬 英百合子 菅井きん 

   出雲八重子

 

司葉子が新人の映画。(デビュー作?なのか)

ただ、つまらない(笑。

 

丸山誠治は戦前のフランス映画に憧れて監督になった人だという。

 

敗戦の色濃い戦争末期、池部の母、英百合子が入院している病院の看護婦が司葉子

英は病院の防空壕であっけなく死んでしまう。

池部の友人で軍人の土屋は、自分の妹、若山セツコと結婚してほしいと池部に言うが、

池部はなかなか承知しない。(なにかと理由をつける)

実は池部は司と付き合っており、若山セツコとの縁談には乗り気ではないのだ。

 

いじわいるい看護婦の先輩、菅井きんは池部が病院に訪ねるのを快く思わない。

司は池部にはなにも言わず、故郷の広島行きの列車に乗る・・・。

それを知った池部は同じ列車に飛び乗って司と再会。途中空襲で列車がとまり、

池部と司はお互いの将来を誓い合うが、そこへ池部に召集がきたと電報が・・・。

 

ここで??なのは看護婦の菅井きんは確かに池部の訪問を快く思っていないのだが、司が広島へ帰ってしまうほどの意地悪はしていない・・・と思う。

 

それから5年・・・

終戦後、池部は行方知れずの司を探したが、結局わからず・・・。

 

司は原爆で顔にケロイドがあり、マスクをして乳児院?で働いている。

乳児院の先生?志村喬は司の原爆症?の治療を東京でみてもらったらと提案するが、

司は池部と会う可能性が怖くて躊躇する。

意を決して東京の病院へ行ってみてもらう。そこは司が勤めていた病院だった。

医師たちの話をドア越しにきいた司・・・ケロイドより後の白血病がこわいな・・とい言葉に自分の命は長くないと思う。

 

看護婦の案内で雑誌社のインタビューを受けてくれと別室に行くとそこには記者?となった若山セツコがいた。

逃げる司を追い、若山が池部と結婚することになったが、随分あなたを探したこと、

池部は本当は司と一緒になりたいことというと司は自分は池部と会いたくないから今日会ったことも内緒にしてくれという。

 

池部のいる国会図書館?(勤めてるのか?研究者としてなのか)へ足を運んだ司。

ちょうど池部の姿が!気づく池部・・・逃げる司。

階段を上から撮ってまるで外国映画のよう。

 

結局司を見失った池部に、後日若山が司に会ったことを伝える。

 

司を訪ねて

乳児院に行くが、司は一週間前に辞めたと言われるが、池部を気の毒に思った志村喬

信州の結核療養所?にいることを教える。

「でも、僕なら相手のことを考えて会わない」と一言。

 

それでも昔から強引な池部は信州へ会いに行く。

 

司の顔(右側)にはケロイドがある(設定)らしいが、見せない。

マスクをしている場面でも司の顔が美しいばかりでわからない(笑。

 

君は僕の言うとおりにしていればよいのだという池部、素直にうなずく司・・・

はええええ?な感じもしたが、時代が昭和29年だから許そう(笑。

 

司は池部と一緒になる決心のようだが・・・池部が悪夢で目覚め、司の部屋へ行くと

窓が空いていて司がいない。

司は川へ飛び込んでいた!

 

川へ入り、司を抱きかかえて岸へあがる池部に後から来た医者?が

大丈夫、息があるといい、

池部は司を抱いたまま歩いて行く・・・みたいな物語だが・・・

 

見方を変えれば池部良、ストーカーだし(笑。

自分の顔の傷をみせて・・・とかのクライマックスもなく・・・

 

ただ、最後の池部はまるでガイジンのようなカッコよさだった。

自殺しようとした恋人を抱いて歩く男性が似合うのは当時池部良以外には考えられない!