日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

噂の女 1954年 大映

監督 溝口健二 脚本 依田義賢 成澤昌茂

出演 田中絹代 久我美子 中村雀右衛門 進藤英太郎 浪花千栄子 

   田中春男 見明凡太郎 十朱久雄 橘公子

 

京都で太夫置屋お茶屋を守っている井筒屋の女将、初子(田中絹代)は東京で失恋し、自殺未遂をおこした娘、雪子(久我美子)を連れ戻す。

雪子は、母の商売が汚らしくてどうにも我慢できないが、2階で寝起きする薄幸な太夫たちには優しく、最初は自分たちを嫌っていると思っていた太夫から慕われる。

 

初子には近所の診療所に勤める医師、的場(中村雀右衛門)と恋仲で、彼のために医院を購入したいと思っている。ふたりで候補の家を見に行ったりするが、その家は250万円で、100万円足りない。

田中は家屋敷を抵当にいれてもその100万円を工面しようとする・・・。

 

雪子と仲良くしてほしいと紹介された的場だが、だんだん雪子にひかれていく。

雪子は母の商売はイヤだから、やはり東京へ行くというと、的場も、自分も東京で職を得るからふたりで東京へ行こうという話になる。

 

そんなふたりの話を偶然知った初子。雪子の部屋でふたりが抱き合っているのをみてしまう。そんな雪子に、あんたひとりで東京へ行ったらよいというが、的場からも別れを切り出される。

泣いてすがる初子・・・的場のためにお金を工面して家を買い、医師の妻として生活したかった・・・という母の気持ちを知る雪子に、的場は初子からお金を渡された、このお金をもってふたりで東京へ行こうと雪子を誘うが、雪子はそんなお金返してという。

そして母に大してそんな態度ををとる的場に洋裁の裁ちばさみで刺そうとする雪子。

必死で止める初子・・・そんなふたりをみて恐れをなした的場は走り去る。

 

初子は過労で倒れてしまったが、雪子が井筒屋を取り仕切っている。

 

そこへ胃がんで死んだ太夫(橘公子)の妹が、太夫にしてくれとまた頼みに来る。

姉の荷物を引き取りに来た時、初子にも頼んだ妹を説得して太夫になることを辞めさせた雪子だが、その娘は自分が太夫にならなければ病気の父の診療代もだせない・・・と懇願する。

少し待ってくれと呼ばれて行ってしまう雪子を上がり框でまつ娘。

そこへ姉の同僚が支度をしてでてくると、妹に気づき、いつまでも同じことが繰り返されるんやなぁ・・・(貧乏で身売り)と言いながらでかける。

 

溝口健二の映画は必ず女が不幸なのだ(笑。