日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

昼下がりの暴力  1959年 日活

監督 野口博志 脚本 秋元隆太 柳瀬観

出演 川地民夫 水島道太郎 稲垣美穂子 宍戸錠 筑波久子 菅井一郎

   

 

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日活より

昼下がりの情事(1957年)という有名なアメリカ映画からつけたようなお気楽な題名、宍戸錠の登場・・・で期待せずに鑑賞したけれど、期待しなかったぶん評価を高くつけたくなる映画。いや、おもしろかった。とにかく飽きさせない。

 

川地民夫がアニキと慕う坂本組の幹部、水島道太郎。最後の最後までいい人なのか悪い人なのかわからないところにスリルを感じた。

 

新宿を縄張りにする坂本組の二郎(川地民夫)は別の組の若い衆と縄張りをめぐって喧嘩となるが、それを助けたのが次郎がアニキと慕う坂本組の幹部、定(水島道太郎)だ。二郎に小遣いをやり、その金で次郎は恋人で新宿のバーにいる幸子(稲垣美穂子)スカーフを買ってやったりするが、幸子は定という男は嫌いであり、それに二郎にはヤクザなどではなく真面目に生きて欲しいと懇願するが次郎はきかない。

 

定は組長で新宿でクラブを経営している坂本(菅井一郎)から組の存続をかけて関西のヤクザと薬の取引を定に頼む。定からすれば薬を扱うのはご法度で、よその組が言うように坂本組はもう危ないと思っている。しかし仁義にあつい定。組長の命令は絶対で

金をもって箱根の山へ二郎を運転手に、そしてもうひとり、組の拳銃の使い手をともな

って向かう。お互いの取引は無事に済むがそこで定ともうひとりの男が相手の組員全員を射殺、ところが定は同じ組の拳銃使いの男も射殺する。そして腕を撃たれた二郎をひとり組に帰らせ、アニキは関西のやつらを追っていると言わせて一日経ったら姿を消せと指図する。

 

ま、定(水島道太郎)があんなにやすやすと殺人を犯すのはビックリだったが、組長に見切りをつけたのもわかるし、二郎もなんとかしてやろうと思ってのことかと思っていたら・・・

 

殺し屋の藤巻(宍戸錠)は定の戦争中の仲間で定は密かに組長、坂本の殺しを頼んでいた!組長のいるクラブのホステスの澄子(筑波久子)は定の情婦だが、組長とも関係をもち(定がそうさせた?不明)澄子にクラブへ電話させ、澄子の自宅へ来るように言わせる。

暗殺を恐れて外出しなかった坂本だが、澄子の呼び出しを受けて社長室からクラブのホールへでる階段ですでにクラブの客にまぎれていた藤巻に射殺される。

 

一方、定に箱根の山中で撃たれた同じ組の男は一命を取り留め、病室で警察に事情を聞かれるも何も言わない。しかし、医者に扮した関西からきた暗殺者に殺されてしまうのだ。

 

組長を呼び出した後、定の元へ行こうとアパートを出た澄子だが・・・二人の男の訪問を受ける(この場面では足元のみ映るので、刑事なのか、坂本組のものなのか、関西の暗殺者なのかわからない)

 

定が現金と薬を隠したのは海岸から小舟?でいった元日本軍が使っていた今は使われていない廃墟?の島。

 

そこで殺し合いがおこるのだが、定って残酷だ!

 

ちなみにこういうスチルの場面はない↓

 

日活より

稲垣美穂子が登場した時は川地民夫の姉役か?と思ったけれど(笑、恋人役だった。

二郎は坂本組の若い衆なんだが、稲垣美穂子はまだ彼をヤクザになっているとは思っていない振る舞いはちょっと疑問。そしてアニキからもらったお金で買ったと言って渡したスカーフの場面で、あれだけ嫌いな川地のアニキ、水島道太郎からでたお金で買ったスカーフを「こんなものはいらない!」と返すかと思いきやそんなことはなく終わるのは納得いかなかった。ただこれを上回るおもしろさだったので許す(笑。

 

日活より