日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

サラリーマン目白三平  1955年 東映

監督 千葉泰樹 脚本 井手俊郎 原作 中村武志

出演 笠智衆 望月優子 堀雄二 小林桂樹 杉狂児 三笠博子 十朱久雄

   沢村貞子 小川虎之助 宇佐美淳也 星美智子 田代百合子 中原ひとみ

   杉本修 日吉としやす 山本麟一 

東映チャンネルより

これが見たくてスカパーに再度契約してしまった作品。サラリーマン目白三平がシリーズ化した最初の作品です。1955年、国鉄本社に勤める主人公なので当時、丸の内にあった国鉄本社ビルが結構登場します。今は丸の内オアゾというお金掛かってる!なビルに変身・・・していたことは先ほどネットで調べるまで知りませんでした(;^_^A。

三井住友トラスト不動産より

現在の国鉄本社跡地に建つ丸の内オアゾ 三井住友トラスト不動産より

この三井住友トラスト不動産のHPの「この町アーカイブス」は昔と今の写真が掲載されていてなかなか面白いですよ。私は丸の内、大手町近辺が参考になります。昔の邦画でもよく見る風景と今が比べられてお世話になっています。

 

勤続二十数年、国鉄本社に勤める目白三平は機関紙の編集をしている。国鉄の現場で働く労働者が投稿した詩に感動しつつ、関係ない人が読んでも感動しないだろうなぁ・・というセリフが現実的でよい(笑。人間、その人の身にならなければなかなか大変さはわかりません。

雨漏りする下落合の借家には妻の文子(望月優子)、長男(杉本修)次男(日吉としやす)の4人暮らし。この子役ふたりの演技は自然でよかったです。

慎ましい家計で少しでも今でいう”コスパ”求めて色々と工夫し、家の経済を考える夫婦は今も同じです。

ある晩、文子の遠い親戚でビール会社に勤める村上(小林桂樹)がやってくる。村上がそんなに年が違わない文子を「おばさん、おばさん」と呼ぶので文子は村上に意見する。村上は29歳、数えなら30か31歳。自分は35歳で数歳しか違わないのにおばさんと呼ばれたくない(ごもっとも!)と言い、それから村上は「奥さん」と呼ぶことにするが、その後もつい口が滑って「おばさん」と呼んでしまう(笑。村上は困っている靴屋で三平の靴を作ってくれと頼みに来る。良い革を使って3000円なので懇意にしている靴屋より1500円も安く作れる。妻の文子は浮いた1500円で日傘兼雨傘(当時からあったんだ)を買いたいというのであまり乗り気ではなかった三平もその気となり早速その靴屋へ。当時はまだ靴はオーダーメイドだったんですね。ところがその靴屋杉狂児)の作った靴は三平の足より2回りも大きく、ブカブカ・・そこへ靴屋の娘、敏子(三笠博子)が帰ってきてにこやかにお礼を言われて三平はその靴を買わないわけにはいかなくなった。そこで懇意の靴屋(十朱久雄)の店に持って行き、1000円かけて小さくしてもらうことになる。これでは節約にならないと落胆する三平。

あるあるですよね。安物買いの銭失いって言葉は私も見に染みてます。ネット通販とか(笑。

三平の毎朝の楽しみは出勤前に立ち寄る喫茶店でのむブルーマウンテンコーヒー。

そこには三人姉妹(星美智子、田代百合子、中原ひとみ)がおり彼はひとり、彼女らとの会話を想像する。

出勤でバスに乗ろうとするも満員で取り残され、前に並んでいた男性にアッカンベーされてタクシーで追い駆けて無駄な出費をしたり、洋品店で応募した懸賞一等1万円の商品券が当たって店先に名前と住所が貼りだされ、同僚に知れ渡ってお祝いだとタカラレまくってその飲食でお金が消えて妻に激怒されたり。

今でも通じる話です(笑。

ある日、文子から長男の運動靴を買ってきてといわれる。文子は神田の平和堂と指定。そこはリーズナブルで多少汚れていてもどうせ運動靴なんて汚れるから安くてよいのだという。わかる!(笑。ところが長男は買ってきた汚れのある運動靴をみてお父さんはぼんやりだから汚れに気づかないと言われたり。

 

村上がまたやってきて会社で余った舞踏会のチケットをもらう。途中でデパートに寄り、三平は前から欲しいと思っている小型扇風機、妻は傘、子供は自転車と興味を示すが見るだけだ。東千代介の舞踏が始まり休憩になると村上と靴屋の娘、敏子もいた。

彼らは恋人同士で村上は敏子にいい顔をしたかったからか三平に靴をそこで作るように言ったのかとわかる。直した三平の靴はなぜか歩くたびにきゅっきゅと鳴る(笑。

ある日三平は月々のこずかいから貯めた6500円で東芝の小型扇風機を買おうと東芝の直営店へ。そこでもデパートや電気店と同じ値段の6700円だったので直営店なら200円くらい負けてくれというが、店員が言うのは「東芝の扇風機は優秀で他社では東芝の扇風機の値段が発表されてからそれより安く値段をつける・・それだけ東芝の製品はすぐれているんです。さらにお取引先の電気店やデパートより安くすることはできません」

わかったようなわからないような。

この映画に限らず、当時はちょこちょこ企業や店舗の宣伝があってうまーく脚本に取り入れられている。「東芝」ですよ!東芝!懐かしい白物家電!あ、私のノートブックは東芝ダイナブックですが、今あるんでしょうか?。

ところで小型扇風機が6700円。今だと10倍の6万7千円くらい?

三平が扇風機を買おうと思っていると妻に何気なくいうと、妻はいったいどうやってそのお金があるのだ?と訊く。そこで月々のおこずかいから貯めていたというとそれならおこずかいが多すぎるからもっと少なくするとか言い出され、焦る三平(笑。

 

最後は村上から敏子との結婚で仲人を頼まれる三平と文子でした。

 

大した事件は起こらないけれどサラリーマン家庭の日常で今でも十分共感できる話。

なぜかDVD化されておらず。続編もつくられたくらいな良い作品でしたけど。

 

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