監督 佐々木啓祐 脚本 斉藤良輔 新藤兼人
出演 河村黎吉 笠智衆 磯野秋雄 山内明 斉藤達雄 若水絹子 風見章子
終戦、たったの1年で公開された作品。戦後すぐの撮影のせいかロケ地はどこも殺伐として空き地やバラック、焼け野原?、ボコボコの整備されていない土地の区画・・・
貴重な映像です。どの時代でも持てる者と持たざる者との隔たりは大きいです。
ただ、貧乏の度合いが違います(;'∀')。今も家計が苦しい、大変だという人は多いですが、それぞれの経済観念があるので、浪費家な人とそうでない人との苦しさは全く違うでしょうね。この映画の住人は食べるのが精いっぱいな人たちです。
なんと上品な奥様のイメージが強い風見章子が娘で登場したくらい古い作品なので
登場人物がみな本当に若い(笑。
辻占いの村山(斉藤達雄)の住む龍平荘というボロアパートには露天商の元さん(磯野秋雄)、保険会社の外交員の阪本(清水一郎)など全ての部屋がうまっている。住人の共通点はみな貧乏であるということだ。亭主が若い女と行方をくらまし、その妻(若水絹子)と娘二人(風見章子・辻野禮子)は15年ほど前からそのアパートの管理人として居住している。
この二女役の辻野禮子という女優さんが星美智子にそっくりで最初は星美智子かと思ってしまいました。松竹にもいましたからね。
アパートの住人は皆仲が良く、5人目の子供が産まれる阪本(清水一郎)にお金を出し合ってお祝い金を贈ろうという元さん(磯野秋雄)。
ある日、村山(斉藤達雄)の辻占いで占ってもらったあげく一度出したお金を村山の言ったことが気に食わないからとまた自分の懐にいれた高橋(笠智衆)が買ったそのアパートはもっと儲けようと旅館にすることにして住人の追い出しにかかる。
この場所はどこだろう・・上野周辺?田端?ロケ地と検索しても情報は全くありません。
住人はさっそく集まって高橋の代わりにきた人間をつるし上げるが、今度は一人ずつ篭絡しようという作戦にでる。
ここで最後の大部屋女優と言われ、寅さん映画にもよく脇役(それも花売りのおばぁさんとか道行く人とか)の谷よしのも出演、セリフがある役。さすがに1946年、まだ若い。
貧乏所帯で家賃も払えない阪本は高橋一派からご馳走してもらい、金ももらってアパートへ帰ると、占いの村山や露天商の元さんも篭絡しようとしたが彼らは相手にしなかった。もらった金を妻に渡し、田舎で農業をやろうと言う夫に妻は住人のみんなにお世話になっていながら自分だけ引っ越すなんてできないと夫を諭す。
改心した夫は高橋に金を返しに行く。
ある日、強面の男が管理人を訪ねてやってきた。母が外出中でコワがる長女の節子(風見章子)。高橋の代理でやってきたらしい。岩吉(河村黎吉)というその男がふと管理人室入り口に掲げてあった表札をみると「吉田とよ」とある・・・。もしや・・。
とよは岩吉が捨てた女房であった!岩吉が実の父だと知った二女の芳枝(辻野禮子)は彼を拒否し、出て行って!という。まぁ当然でしょう。
岩吉はこの仕事が終わったらまっとうに生きていくと妻にいうが、「その仕事というのはこのアパートの住人を追い出すことですよね」と妻に言われなにも言い返せない。
翌日、岩吉は高橋と共にアパートを訪れ、書類にハンコと署名をしろと迫る。
ところがその書類は高橋が今後、その建物を旅館にするようなことはせず、ずっと住人に住んでも良いという書類だったの(笑。
あっけにとられる高橋はこんな書類に判は押せないというが、岩吉はそれならこれからあなたが判をおすまでずっと付きまとうと脅し、高橋はしぶしぶ判を押す・・
一件落着。
まぁ最後は並な終わり方でした。
ここで・・これって数寄屋橋交差点の不二家?と思われる映像があります。
娘の節子が父に呼び出され?会うために歩いている場面なんですが、
不二家のHPにもこういった建物の記載や写真がないのです。それともFUJIYAは同名の違う店?なんでしょうか。知りたい!。
どうして銀座かと思ったかというと、このシーンのあと、銀座の裏路地を入る節子のシーンがあるのです。その後は井戸のポンプのところを曲がり、父と会うというシーンに繋がります。
作品が古すぎてしかも有名じゃないのでこの映画に関連するものは調べてもわかりませんでした。残念です。
若き山内明が二女の恋人役のバスの運転士として登場してます。
ただ、鍵を握っていたのはどの女なのかイマイチピンときません(;'∀')。