日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

危険な女  1959年 日活

監督 若杉光夫 脚本 原源一 原作 松本清張

出演 渡辺美佐子 芦田伸介 高友子 大滝秀治 南風洋子 下元勉 大町文夫

   宮阪将嘉 嵯峨善兵

 

www.nikkatsu.comよい

日活より

 

松本清張の「地方紙を買う女」の映画化。これはテレビのサスペンス劇場でも色々な役

者さんで作れられたが、日活でも映画化したんですね。55分ほどでぎゅっと詰まった内容なので飽きない(笑。

 

小説家の杉本(芦田伸介)はある晩、たばこを買いに東中野駅前のスタンドへ行くと

女が地方紙を買っていた。その地方紙には杉本が連載小説を載せていたが、女は連載小説が面白いと購入しているんだという。

 

すっかり気をよくした杉本は雑誌社へ行き、その話をするが杉本の小説はあまり売れないようで編集部の人間は本気にしない。

それなら東中野駅でその女が現れるのを待って彼女の意見を訊いたらどうかと杉本は雑誌社で自分を担当する石井篤子(高友子)を連れて駅へ行くが、スタンドのおじさんに

その女は3日ほど前に小説が面白くなくなったと購読をやめたといわれてしまう・・・

 

杉本は納得がいかない。連載はこれから面白くなっていくのにどうしてだろう・・・

彼はその女の身元を突き止めたいと篤子に頼んで調べてもらう。

 

篤子はいやいやながらも杉本のいうことを訊き、その女の後を追うと彼女は銀座のバーにいること、そして彼女のアパートも調べてきたが、篤子としては杉本がその女、芳子

渡辺美佐子)に心が奪われているのではないか・・・と気が気ではない。篤子は杉本が好きなのだ。

 

一方、山梨で男女の心中事件が報道される。杉本はその事件の切り抜きをポケットに入れて芳子がいるバーへ行ってみる。

 

主人公の小説家役は芦田伸介だと年を取り過ぎてる感じだが、ほかに適役がいなかったのか。(売れない)小説家だからあまりにも若々しくてもダメだけれど、劇中のセリフで「小説家の先生っていうからもっとおじいさんかと思った」とあるがそのセリフで芦田伸介は???と思った(笑。

当時の日活は専属の俳優さんが他社と比べて少なくて民藝から俳優さんが出演していた。芦田伸介、大町文夫、下元勉、大滝秀治はすべて民藝の人たちです。

 

 

生きていた野良犬   1961年 日活

監督 舛田利雄 脚本 舛田利雄

出演 二谷英明 川地民夫 葉山良二 芦田伸介 山内明 二本柳寛 笹森礼子

   白木マリ 香月美奈子 垂水梧郎 高品格 南風夕子 梅野泰靖

 

www.nikkatsu.com

日活より



垂水梧郎という俳優さん、なかなか覚えられない。今回は刑事役で登場した。

 

兄(山内明)と次郎(二谷英明)を拾って育ててくれたヤクザの親分が出入りで殺された。すでに兄も次郎も立派な組員になっていたが、その殺人で次郎は兄の身代わりで5年間刑務所で暮らした。(なんかここが後々、意味不明になるのが謎)

 

5年後・・・・ムショからでてきた次郎だが自分の組は兄が切り殺され、兄の弟分の大村(二本柳寛)と坂崎(芦田伸介)によって運営されていたが、迎えに来た者の車に乗るのを断り、次郎は兄の仇を討つために街へ・・・

 

ヤクザ同士の騙しあいやら、頭の固い警察の所長、そしてうらぶれ感満載の刑事(垂水梧郎)。見ていて誰が誰をだましているのか??と飽きずにみれた(笑。

 

川地民夫は例によってチンピラ役で二谷英明をアニキと慕うようになる。

 

1961年ともなるとおっぱいが見えそうで見えないシーンがある(笑。

 

二谷英明が主役だけれど暗い物語なんでどうもパッとしないのが残念。葉山良二や川地民夫、白木マリ、香月美奈子、そして笹森礼子も出演しているのだが・・・

 

アマゾンより



天と地を駆ける男  1959年 日活

監督 舛田利雄 脚本 直居欽哉 横山保朗

出演 石原裕次郎 北原三枝 二谷英明 芦田伸介 東山千栄子 近藤宏 川地民夫

   清水まゆみ

 

www.nikkatsu.com

 

日活より

 

鉄男(石原裕次郎)は借金の返済に仕事にしている?セスナ機をヤクザ者に奪われそうになり、そのセスナに飛び乗って逃げてしまうのだが、あいにくの嵐で行方不明に・・・そしてある海岸に墜落するがなんと酒瓶片手にノビタ鉄男は生きており、彼はそのまま入院。そこへ事故の原因を聞き取りに女医の彗子(北原三枝)が現れる。

 

祖父も父もパイロットだった徹男だが、幼いころから手を焼いている祖母(東山千栄子)は知り合いのパイロット、尾関(芦田伸介)の航空会社へ預ける。

敗戦後10年間、日本人はパイロットとして空を飛べなかった。そのために養成学校で厳しい訓練を受ける鉄男とクラスメイト。

 

ある日、アメリカから日系二世?のヘンリー立花(二谷英明)が教官としてやってくる。彼は彗子の婚約者でもあり、今回の来日で彼女と結婚するのだ。

 

ヘンリー立花の日本人を見下す態度が気に入らない鉄男は・・・

 

二谷英明の二世が喋るような日本語がうまかった(笑。

 

ただいつものパターンなので先が読めて退屈♪♪

 

日活より

 

意気に感ず  1966年 日活

監督 斎藤武市 脚本 小川英 原作 源氏鶏太

出演 小林旭 浅丘ルリ子 十朱幸代 十朱久雄 伊藤雄之助 藤村有弘

   近藤宏 山内明 東野英治郎 小園蓉子 

 

www.nikkatsu.com

 

日活より

マイトガイが初めてサラリーマンに挑戦した!映画らしい。

学生同士役の小林旭浅丘ルリ子が熱血営業社員と敵対する会社の社長秘書を熱演!?

そして博多弁を話す十朱幸代は父の十朱久雄と共演ってのは初めて見ました。

それにしても、十朱久雄の娘が十朱幸代・・・って信じられないんだけど。母親に似たんでしょうか(笑。

 

神保物産営業部の志田(小林旭)は皆川佐樹子(浅丘ルリ子)という西田物産の社長秘書をしているという女性に呼び出され、月給は倍、支度金30万円という条件でスカウトされる。志田が冗談半分で佐樹子と一晩過ごせば話にのってもよい・・というと

なんと佐樹子、志田とベッドを共にする・・・しかも!彼女は処女であった(えーーーー)。

西田物産へ移ることを約束した志田だが、神保物産の社長(十朱久雄)から4年前に会社を辞め、九州へ帰った東沢(伊藤雄之助)を社に連れ戻すように命令を受ける。

辞める前の一仕事、志田はそのことを佐樹子に話すとなんと佐樹子は休暇を取って志田と博多へ。志田が好きなのだという佐樹子は結婚したいと志田にいうが・・・。

 

東沢とようやく会えたのは博多の飲み屋で、そこの娘の若子(十朱幸代)も志田に一目ぼれ。志田の熱意に負けた東沢は東京へ戻ることにするが、神保物産内部では営業部長が西沢物産と内通している・・・。

 

サラリーマンの奮闘を描いた物語で、マイトガイのアクションシーンもあるがルリちゃんとの行方が気になる物語でした。

それにしても小林旭浅丘ルリ子共にすっかり大人な雰囲気♪

 

 

 

日活より

 

母ぁちゃん、海が知ってるよ 1961年 日活

監督 斎藤武市 脚本 中島丈博

出演 南田洋子 宇野重吉 太田博之 石井浩(子役)山田禅二 金子信雄

   高野由美 飯田蝶子 和泉雅子(新人)松尾嘉代 河上信夫 初井言栄

   東野英治郎 

 

www.nikkatsu.com

 

衛星劇場より

 

太田博之がひたすら可愛く、アイドルだったのもうなずける。

日活のいつものメンバー総出で、貧乏系、キューポラのある町のヒットで二匹目を狙っていた?

 

貧しい漁師の元に連れ子と共に嫁いだ康子(南田洋子)。そこには夫となる愛吉(宇野重吉)と中学生の息子の一男(太田博之)がいる。

一男は新しい母が来てうれしくて仕方がないが、康子の連れ子の信男(石井浩)は

愛吉をおじさんと呼んだりしてなかなか懐かず、初日早々に東京へ帰ろうと言い出す。

 

愛吉は一本釣りで沖へ出ようと知人の矢蔵(河上信夫)と共に借金をして船を買うが

底引き漁船に魚を根こそぎとられてしまい、生活は苦しいままだ。

康子はミシンを月賦で買って近所の人の洋服を作る。

一男は将来の学費にと金を貯め、豚を飼育したりするが、愛吉が借りたお金の利息のためにその豚を勝手に売り払う。

 

親孝行な一男だが、こればかりは自分のお金だと父に殴り掛かる。父も負けてはいない。この場面で泣けた(笑。お金のことで親子が喧嘩するほど悲しいことはないです。

 

一男を気に入っている仲買人?の島立(山田禅二)は一男に養子にこないかと誘っているが一男は貧乏でも父が好きなのだ。

新しく弟となった信男は体が弱く、転校先でもいじめられているが、そんないじめっ子を兄の一男はこらしめる。なんという弟思いな兄なのだ!

 

ある日、愛吉と矢蔵が漁にでたが、雲行きが怪しくなり引き返そうとするもエンジンがかからない・・・そして火災がおきる。漁師みんなで一晩探すがみつからなかったが、なんと二人は館山の病院にいると一報が入る。鴨川から館山まで流されたのだった。

 

ところが愛吉だけ火事の際のやけどが原因で死んでしまう・・・

 

元々康子と一男は血がつながっておらず、愛吉亡き後、島立に養子へ行くことになる。

康子もそのほうが良いと承諾し、一男と島立は旅立つが・・・

なんと!一男は戻ってくるのだ!

 

私なら商船大学も行かせてやるという島立の養子に喜んでなるけどね(超現実主義)。

まぁ、母子ものだからこの結末でハッピーエンド・・・

 

中学生の男の子がそんなに義母にすぐ懐くのは疑問で、とにかく良い子過ぎるが

太田博之なんで違和感なかった(笑。

 

和泉雅子東野英治郎の孫娘だが、お金のために東京へ行く。そんなことも知らずに

和泉雅子のために金を稼ごうとサンマ船に乗る浜田光夫

松尾嘉代は組合の理事(金子信雄)の娘でバスの車掌をしている。宇野重吉金子信雄の弟という役だが、本家と比べるとかなり貧乏。飯田蝶子は二人の母親だと思うけど

なんだかはっきりしない。

 

 

犯罪捜査シリーズ 10.女の決闘 1959年2月 新東宝

監督 金丸敏 脚本 西村 治

出演 城実穂 天草博子 嵯峨善兵 玉川伊佐男 高野二郎

 

 

 

 

このシリーズ、画像が見つからないので大変(笑。この回で知ってた人は嵯峨善兵と

玉川伊佐男という俳優さんだったが、彼の顔は昔テレビで見たことがある程度で名前は初めて知った。↓時代劇の時の写真だが、この映画ではかなり若く、ハンサムな二枚目

pintarestより拝借

とある倉庫街で女が撃たれ、死んでいた・・・。そばに立つ女の手には拳銃が握られていた。

 

殺されたのは銀座のナイトクラブの踊り子の綾子(天草博子)だが、モデルで姉の織江(城実穂)とミス・ジャパン座をめぐって岡(玉川伊佐男)という選考委員と三角関係になっていた。

 

姉の織江の言動を捜査すると、妹に対して殺意があったとしか思えないことがわかる。

さらに倉庫街で女が拳銃を発射したのをみたという警備員の証言があり、織江の犯行であることが濃厚になるのだが・・・

 

お話は面白い。織江の発言も後々、織江の回想と共にそのようなことを言った状況がわかる。

しかし!しかし!出演者が知らない人ばかりで・・・残念な(;'∀')

主役の織江という人はモデルでミス・ジャパンを妹と争うという設定なんだが・・

この方、「恋文」にも出ていたようで最初の映画出演は「半処女」ずっと新東宝の女優さんだったようだ。

 

東宝より

天草博子(左後ろ)と城実穂

オークファンで1959年新東宝の新人の中に天草博子がいた。なかなかの美形だ。

 

左上が天草博子

結局、なんだか???な大蔵貢の新東宝にでてその後不明な女優さんの一人となってしまった。

花の才月  1962年 日活

監督 中島義次 脚本 谷口葉子 原作 畔柳二美

出演 田代みどり 川地民夫 内藤武敏 高品格 初井言栄 堀恭子 浜村純

   佐々木豊丸 河上信夫 福田トヨ 田中筆子 山崎二郎(子役)

 

www.nikkatsu.com

 

日活より

 

両親が死んでしまった姉と弟の物語。迷信深い村でおこる珍騒動♪

 

石田ひろ子(田代みどり)は父(河上信夫)と共に工事現場の飯場で暮らしていたが、父が倒れ、ひろ子は飯場の手伝いをしながら故郷の母と弟が来ることを待っている。

働けななくなった父は飯場で寝ているのが申し訳ないといっているが、現場監督(高品格)以下、現場の人間は彼女一人ぐらいなんとでもなるといい、彼女は張り切って働いている。毎日、列車が到着する時刻になると母を迎えに駅へ行くが、母の姿はない。

ある日、寺の次男坊で浪人中の山川元享(川地民夫)と知り合う。彼は自分が何をしたいのかわからず、和尚である父には黙ってブラブラしている。兄は町の寺の住職になっているが坊主になる気もない・・。

ひろ子をオートバイに乗せて飯場へ送ったことをきっかけにふたりは仲良くなる。

 

父の具合は日に日に悪くなるが、母も具合が悪いようでなかなか来てくれない。

駅へ行くと幼い弟が荷物をもってやってきた。一体どうしたのかと訊くと母は死んでしまい、もう火葬もすませてやってきたという。飯場へふたりで戻ると今度は父が危篤になっており死んでしまった。

なんか前頭葉がゆるくなっているのでここで思わず泣いてしまった(;'∀')

 

ひろ子と弟の隆(山崎二郎)は行くところもなくない。工事ももう少しで終わるが現場の人たちもどうすることもできない。

元享はひろ子にお寺で父親が育てている花を村の人に売ってお金を稼いだらよいとアドバイスしてひろ子は花を売って歩く。幸いにも村の人たちは買ってくれてそのお礼にひろ子は洗濯をしたり、赤ちゃんの面倒をみたりするのでみんな好意的であった。

 

ある日、村長の母が卒中で亡くなった。よく花を買ってくれた商店の主人は盲腸で入院・・・ひろ子の知らないところで村ではあるうわさが立つようになった。

それはひろ子はきつねっ子だというもので、村長の90歳過ぎの母が死んだのも、商店の主人が盲腸になったのも、はたまた目にゴミが入ったのも、みんなお寺の花をひろ子から買った者たちで昔キツネを退治したときの祟りだというのだ・・・。

 

村人が飯場へ押しかけ、ひろ子と隆をすぐに村から追い出せとやってくる。

現場の人間との言い争いをきいたひろ子は隆を連れてそっと村を出ていく・・・。

 

逃げる途中の橋で元享と出会い、彼は自分の寺へ連れていく。父親に彼らを寺に住まわせてほしいというが、父親は断るのだ。元享は自分が父から言われているある寺へ修行へ行くことを条件に頼むが父は彼に手紙を渡す。それはひろ子たちを長男(元享の兄)が住職をしている寺へ預けるための手紙だった。

別れの日、元享は別れを惜しむひろ子にいつでも会えるさと明るく送り出すのだった・・・。

 

ロケ地をみると駅舎は千葉県の酒々井駅とある。

舞台の寺は日高市の高麗聖天院

ひろ子役の田代みどりのえくぼが可愛かった。

 

日活より