日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

あらくれ   1957年 東宝

監督 成瀬巳喜男 脚本 水木洋子 原作 徳田秋声

出演 高峰秀子 上原謙 森雅之 加藤大介 三浦光子 志村喬 清川玉枝 宮口精二

   東野英治郎 岸輝子 坂本武 仲代達矢 賀原夏子 中北千枝子 出雲八重子

   田中春男 千石規子 中村是好 沢村貞子 高堂国典 丹阿弥谷津子

   沢村いき雄

 

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wikiより

 

デコちゃん続きます。

2時間の長い映画だけれど全く飽きさせない。大正初期のひとりの女性の人生。

当時高峰秀子は33才だが、役の上では20代。だが、デコちゃんの童顔も相まって

無理な感じはしない。

 

幼い頃養女に出された高峰秀子はその養女先の息子との結婚の日逃げ出した過去がある。その後、酒屋の養子で家付き娘だった妻を亡くした上原謙の後妻となるが、上原は高峰の着物の着方や化粧などけなしてばかり。上原の幼馴染の三浦光子の嫁ぎ先で高峰の愚痴をこぼすが、三浦と上原はできてしまい、その後夫である田中春男と離縁させられる。

ある日、高峰が妊娠を告げると「誰の子だかわからない、子供はこっちで育てるから出ていけ云々」と言われ、喧嘩のあげく高峰は階段から落ちて流産してしまう。

 

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最初の夫 上原謙

 

結局婚家をでた高峰は兄で風来坊の宮口精二に連れられ、雪深い(新潟?)田舎町の旅館に博打のカタで置いてきぼりにされ女中として働くが、その家の跡継ぎで妻が肺病で別居している森雅之とねんごろになる。義理の母の清川玉枝は人の口も気になるし、森の妻の家に知れたら面倒だからと親戚筋の山深いところにある旅館に行くように言われる。この清川玉枝、別にいじわるでもなんでもない。精米所の旦那、志村喬とはいい仲だ。森雅之は家で本を読んでいる大人しい男で、丸眼鏡姿の森雅之は初めて見た。

 

 

ところが娘が男の慰み者になっていると聞いた父、東野英治郎が東京へ帰るのだと迎えに来る。その夜、酔っぱらって森雅之と喧嘩した高峰。起きてみると屏風が壊れている。森は「女の酔っ払いなど初めて見た」と呆れていた。自分が恥ずかしくなり高峰は父と東京へ帰ることになる。

 

行くところがない高峰は伯母さん、沢村貞子の内職を手伝う。そこへ出入りの洋服の仕立て職人、加藤大介に誘われ、ミシンの工場で働く。

ふたりで納品に行った帰り道、高峰が加藤を誘って独立することになり、テーラーを始めたが、夏がくると注文が入ってこなくなって店は畳むことになる。

ふたりはよく喧嘩して雇った職人もあきれ顔だった。

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工場勤めの時、品物が返され困る加藤大介に高峰秀子は自分が行ってくると・・

ふたりは別々に暮らすことにし、お金を貯めなが、高峰はミシンを一台月賦で購入することができた。そして根津?あたりにもう一度テーラーを開業。

高峰のがんばりでテーラーは繁盛するが、男勝りの高峰。加藤大介は近所のおばさん、賀原夏子の世話で今はすきやき屋の女中をしている三浦光子と引き合わせ白山に一軒もたせる算段をする。

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なにもかも高峰とは正反対なおんな、三浦光子。高峰は2度も亭主を寝取られることになる

 

新しい職人 仲代達矢が店にやってきて「旦那のこの型は古い」と新しい型で仕事を任されるようになる。

 

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洋装で店の宣伝活動に精をだすデコちゃん、新しい職人の仲代達矢・・二人はその後・・

 

金の無心にきた兄から旅館の旦那が寝込んでいるらしいと聞いた高峰。早速旅館を訪ねると彼はもう死んでいた・・・。今は元気になって戻ってきた妻、千石規子に嫌みを言われ、墓参りにいった高峰は前に森から借りたお金を返すつもりで来たのだが、一緒についてきてくれた旅館の番頭にあげてしまい、「これでいいでしょ?」と墓石に問う。

なんかこの場面、泣けてしまった(笑。

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東京へでてきた森雅之と会う

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森の位牌の前で「女中にまで知らせなくてもいいと思った」という妻の千石規子

 

 

高峰が家を空けることを知った加藤大介は早々に三浦光子のいる白山へ向かおうと人力車に乗るが、すぐに帰ってきた高峰がたまたまそこへ遭遇し、三浦の家で立ち回り(笑。

逃げ出す加藤大介。高峰は三浦に「あんなのくれてやる!」と雨のなかを歩きだす。

町の雑貨屋で傘を買い、電話を借りて店へ電話する高峰。

仲代に店を閉めて温泉でも行って新しい店の相談をしよう。ついてはあんたに店を任せるから・・・という。ついでに丁稚も連れておいで、ステーションで待ってるから・・

と言い、傘をさして歩きだす・・・

 

おおお!この終わり方どうだ!さすが成瀬巳喜男

 

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雨の中歩く

 

文芸作品だが、ところどころ大人なセリフがある。ストーリーは同じだが水木洋子が大幅に脚本を展開し、当時は成人映画に指定されたとwikiにある。まぁ成人映画っていっても今からしたらそんな場面はひとつもない(笑。

実は私は高峰秀子の喋り方や声はあまり好きではないけれど、この映画ではそのフテクサレ感が活かされていた(笑。喧嘩したり言い争ったり、ムッとしたり、この映画そんな場面がすごく多いのだ。

 

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こんないい笑顔もあります。森雅之の墓前でお金を番頭へあげてしまう。「あんた、これでいいわね?」と問いかける

 

 

 

朝の波紋   1952年 新東宝

監督 五所平之助 脚本 館岡謙之助 原作 高見順

出演 高峰秀子 池部良 岡田英二 瀧花久子 清水将夫 斎藤達雄 中村是好

   上原謙 香川京子 高田稔 汐見洋 岡本克政 三宅邦子 沢村契恵子 

   浦辺粂子 沼田曜一 吉川満子

 

成瀬巳喜男のファンページというサイトには成瀬作品の現地写真などがありいつも覗いています。たいへん参考になりますが、番外として五所平之助の「朝の波紋」の高峰秀子がバスを降りる「六本木」とかかれたバス停などの特定写真があり、この映画はDVD化されておらず、この方は前にテレビで放映された録画をもっているとのこと。

もう、観たくて観たくてたまらなかったこの作品がとうとう昨夜観ることができました!

高峰秀子が突然パリへ行って帰京したあとの第一作なのですよ。

 

んが!んが!

 

物語は小さい貿易会社の社長秘書の高峰秀子。彼女は英語に堪能で取引をまとめてきたりする。社長はその才能を買うが、上司?の斎藤達雄はおもしろくない。

 

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高峰に文句を言う斎藤達雄 当時50才。

それでも会社のためだと意に介さず、同僚の岡田英二の助けもあり仕事に邁進する高峰秀子。家には父、母そして親戚の息子を預かっている。その子は父は戦死、母三宅邦子は箱根のホテルで事務員をしているのだが、本当は母はホテルの女中である。

捨て犬を拾ってペケと名付け可愛がっている。その子が親友だと呼ぶ近所の男性が池部良。彼は大きな貿易会社に勤めているが、語学が生来苦手で辞めたいと思っているなどと高峰に話す。

 

ある日、高峰が知り合いの外国人社長からある品物を調達する取引を決めてくるが、実はそれは池部が相手の約束の日を間違え、結果、高峰のところへ話が持ち込まれたものだった。ところが、池部の同僚が、社のメンツにかかわると品物を調達できないように神戸の問屋へ横やりの電話をする。突然品物が調達できませんと連絡をうけた高峰は神戸へとんでその問屋の社長 中村是好に談判するがうまくいかない

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体よく断られる高峰秀子中村是好の社長役は初めて見た(笑

急遽、岡田英二も東京から駆け付け・・・その後なぜか品物が用意できるようになり、ほっとする。神戸の高台で岡田は自分の将来を語り、高峰に結婚を迫るが・・・

 

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岡田英二のプロポーズに乗り気になれない高峰秀子

池部の家は豪邸だったが、戦争の爆撃をうけていた。

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池部の家を訪ねる高峰秀子 美しい

ドラを鳴らすとお手伝いのおばあさん浦辺粂子がでてくる。

池部には妹がいて、なんと「わかれ雲の沢村契恵子だ!」

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沢村契恵子

三宅邦子の息子は捨て犬が悪さをするので高峰の母、瀧花久子に叱られ、そのまま家出してしまう。東京へ帰った高峰秀子は上野?浅草?近辺を池部と探し回るが、池部が高峰の取引をじゃましたと勘違いしている高峰はふたりで入ったどじょう屋で喧嘩わかれ。

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東京の焼け野原感がすごい。1951,2年ごろ

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吉川満子 池部はビールを飲んだ高峰に女の酔っ払いなんかごめんだという

後日、池部の尽力で神戸の取引がうまくいったことがわかった高峰は、国分寺サレジオ教会にいるという男の子を迎えに池部と訪れる。

 

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一瞬でてくる尼さんの香川京子。美しい

池部は三宅邦子を自分の会社の事務員として雇ってもらうことにして男の子と母親を一緒にしようとがんばったのだ。

雑木林を歩くふたり・・・高峰がどうして結婚しないのかと聞くと自分が戦争にいっている間に婚約者が別の男性と結婚してしまい女性不信になったと言い、高峰は自分にも婚約者がいたが戦死してしまったという。

そして(なぜか)池部は高峰にプロポーズする。

この人こそ自分の相手だと確信する高峰・・・

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池部と話にっこり笑う高峰秀子 やっぱり美しい

 

かなり要約したけどこんな話。

なぜ「朝の波紋」なのかが謎(笑。

池部に「男のを心配するのは義務なのか?愛なのか?」と問われハットするのだがそこで高峰がなんだかわからないけど目覚めて行って、「自分以外の世界も広いのねぇ・・」みたいなふうに考える?のかなんだかわからなかった。

岡田英二は一生懸命彼女にプロポーズするのだが、池部のほうがどう良かったのか

??

女性不信なのだという池部が高峰に結婚を申し込み、高峰も自分は結婚など考えてもいないと母に言ってたのにキャリアウーマンの道を捨ててまで池部と一緒になりたいと思ったのは池部の優しさ(結核の同僚のために薬を買い付けたりする・・など)なのか??

そうそう、池部の会社の社長役で高田稔が出演している。

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相変わらずハンサムな高田稔

出演者は豪華だけれど、例えば上原謙とか吉川満子なんかはあえて出演させるために話を作ったような・・・なんだか話がつながらない?物語でがっくり。

キクとイサム   1959年 松竹

監督 今井正 脚本 水木洋子

出演 北林谷栄 高橋恵美子 奥の山ジョージ 織田政雄 殿山泰司 岸輝子

   滝沢修 三井弘次 三國連太郎 高原駿雄 荒木道子 宮口精二 

   三島雅夫 多々良純 東野英治郎 賀原夏子 長岡輝子 中村是好

   田中邦衛 清村耕次 朝比奈愛子

 

もう、好きな役者がたくさん出ている映画!

もうずいぶん昔に見た。その後、数回見ている。

私は今井正監督作品ではこの「キクとイサム」が最高峰だと思う。

混血児の話だが、ところどころに地味なギャグがあって暗くて重い話だが考えさせられながら楽しめる。

 

北林谷栄扮するおばぁさんの家にいる(なんと当時48才!)福島?近辺の山間の村で、死んだ自分の娘が残したふたりの混血児の話だ。

 

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町へでると好奇な眼にさらされる

キクは11才。イサムは9才?女ゴリラと同級生から呼ばれる姉、祖母から白いごはんを食べると肌が白くなるときいて一生懸命食べたりする。だんだん自分は他の日本人とは違うのだと気づいていくのだ・・・町へ出ると周囲の人から奇異な目で見られる、同級生からはくろんぼと言われる・・・救いなのは隣に住む若夫婦や近所の人達が心配しながらも普通に接してくれるところ。

弟のイサムは結局アメリカ人の養子となり村を去るのだが、そのことを話していた時に

イサムにアメリカに行きたいか?ときくと彼は素直に嬉しそうな顔をして行きたいという。それを聞いたおばさん、岸輝子が「行ったらもう帰ってくるんじゃないぞ」と真顔で言うのが可笑しかった(笑。イサムはまだ養子になることを知らないので無邪気なものだ。

この岸輝子、役では40過ぎて子供に恵まれた女で、ある日子守をキクに頼んだらキクが赤ん坊を町から来たトラックの荷台に置き、同級生と喧嘩している間にトラックが走り出してしまう。通りががかった担任の荒木道子に将来は手に職をもってお金を稼がなければならない、何になりたいのか?と訊かれると、彼女は「お嫁さんになりたい」という。大人としてみれば彼女は将来結婚できないかもしれないから自立の道を考えろと言っているのだが、そうも言えず・・・そしてキクはなんで私だけそんなことを言われるのだという。。

家に帰るとおばさんがいる。赤ん坊はどうした?と聞くおばさんにキクは「帰ってこなかったか?」というとおばさんはあきれ顔で「赤ん坊がひとりで帰ってくるわけない」

となり(ここもおもしろい)キクは大慌て。

ただ、この時のおばさん、怒ってはいるのだが意地悪な怒り方じゃないんだよね。

そこが良い。

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岸輝子がなかなかいい味のおばさん役

 そして駐在の東野英治郎登場!手に負えなければ施設があるという。

そこは混血児だけを集めた施設のことだ。(エリザベスサンダースホームのこと?)若夫婦の会話からわかる。

 以下出演者

 

三井弘次 安売りだよという移動屋台の雑貨売り。最高!

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キクが10円の髪飾りを手にする。10円じゃ買えないぜという三井弘次

 

宮口精二 町の医者。患者に言わせると診療科目はたくさんあるが、診てくれる先生は一人だから混んでいる・・と言われちゃう(笑。ノンクレジットで患者役、小林十九二。

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診療所の待合室の小林十九二。〇〇きてます(笑

 

多々良純 見世物小屋の呼び込み。キクがいるとみんながキクに注目して商売にならないと追っ払う。

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商売の邪魔だという多々良純

 

殿山泰司 キクの家に蚕を買いに来る親方?

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殿山泰司

織田政雄  イサムの担任

 

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イサムがアメリカへ行く。駅まで見送りにきた担任 織田政雄

滝沢修  混血児をアメリカへ養子にだす事業をしている人?イサムとキクの写真を撮る。イサムはチューインガムにつられて写真を撮るが、キクは恥ずかしがって下を向いてしまい、結局祖母からキクの写真をもらう。

 

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滝沢修に写真を撮ってもらうイサム達

三島雅夫  旅回り一座の座長。

中村是好  旅回りの役者

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キクのタップダンスを面白がる三島雅夫中村是好

荒木道子 キクの担任

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キクに将来何になりたいのか尋ねる担任の荒木道子

 

三國連太郎 赤ん坊がいなくなった騒動に便乗してキクの写真を撮ろうと押しかける新聞記者。祖母の剣幕で逃げ出す。

高原駿雄 同、カメラマン。

 

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写真撮らしてよと迫る三國連太郎高原駿雄

賀原夏子 霊媒師。キクは尼寺へ・・・と勘違いさせる?予言(笑。

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賀原夏子霊媒師に「やっぱり尼寺でやんすか?」と問いかける

なんと祭りの若い衆で田中邦衛の姿が!キクやイサムをみて「見ろ、煎餅喰ってやがる」という。

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見ろ、煎餅喰ってやがる・・・という田中邦衛

そして戸田春子が!

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イサムの悪さをみて将来はどうなるんだろう?という戸田春子

清村耕次 朝比奈愛子  隣に住む若夫婦 キクとイサムのことを親身になって考えてくれる

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イサムのアメリカ行きで言い合いになる 

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若妻はアメリカのお金持ちの家へ行った方が幸せだ、自分だって行くという

 

人々の偏見や子供達のなにげない言葉(黒いからくろんぼと言ってどうして悪いのだ?本当のことだべ・・という同級生)、当時からすると衝撃的な映画だったんだろうと思う。今見てもすごい映画を作ったなぁと感じる。

 それにしても役者陣が良い!

 

愛染かつら 総集編 1938年 松竹

監督 野村浩将 脚本 野田高梧 原作 川口松太郎

出演 田中絹代 上原謙 桑野通子 森川まさみ 出雲八重子 岡村文子

   斎藤達雄 吉川満子 坂本武 佐分利信

 

movies.shochiku.co.jp

 

何年か前に最初の方だけみてみるのをやめた映画(笑。

画像が酷かったのと、あまりおもしろくなかった・・・

 

田中絹代は夫と死に別れたシングルマザー(今風)。姉に五歳になる娘を預けて

病院で住み込みの看護婦をしている。最初は子供がいることは黙っていたが、ある日

公園で病院の同僚の看護婦に娘といるところを目撃され、娘が「ママちゃん」と言ってしまい、同僚たちから責められるのだが(独身が条件)結婚して1年で夫が死んだことを説明するとみな、味方になってくれる。

ここでいつも女中役でセリフもほとんどない出雲八重子が結構喋る(笑。

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出番が多い出雲八重子だが映像が酷くてこの通り(笑。

院長の息子で小児科医の上原謙が病院へ帰ってくることになり、その歓迎会で歌声を披露する田中絹代。上原は田中に惹かれ、自分の縁談が両親に勧められそうになり、田中と京都へ逃げようと誘う。田中はまだ自分に子供がいることは言えずにいる。

新橋駅で田中を待つ上原だが、その日、田中の娘がはしかになってしまい、駅へ行けなくなる。一人寂しく京都へ向かった上原は友人の佐分利信のところへ。

数日経って上原を京都へ訪ねたが、上原はもういないと冷たく佐分利に言われる田中だった。

彼はその後熱海の友人の医者のところにいた。

 

田中の姉 吉川満子と田中の娘が熱海に行き、また娘が熱を出す。

行った医院で診察をしていたのが上原で、氏名をきくと田中の子供だとわかる。

彼は田中に子供がいることを知らなかったので夫がいるものと勘違いしてしまう。

 

ところが、上原の父が急死し、病院は資金繰りから閉鎖することになるが、知り合いの娘、桑野通子との結婚を条件に持参金をつける話が前々からあったが、桑野は田中に会いに行き、彼女が上原にふさわしいと自分の父にお金だけだしてもらい病院を存続させ、桑野自身は(多分)外国へ留学?かなんかする。

 

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船上で見送られる桑野通子・・ドレスの刺繍?のヘビ?がすごい

 

東京では、田中が作曲した歌が採用されることとなり、レコード会社を訪ねると重役?斎藤達雄から専属の作曲家になって欲しいと言われるが、歌なら歌えるということで急遽、歌手としてデビューすることになった田中。

 

そこへ昔の看護婦の同僚が多数訪れ、田中は白衣で歌うことにする。

観客の中には、全てを知った上原の姿が・・・

花束をたくさんもらって引き上げる田中。控室には上原が待っていて・・・

めでたしめでたし・・・♥

 

シングルマザーで姉に子供の面倒をみてもらっている割には姉の家にはピアノがあったり、病院をやめた田中なのに子供に熱があると東京から熱海へ駆けつけたり、ちょっと安易な作り方。意地悪な人は、上原の妹役の森川まさみだが、途中からどうなったのかわからない(笑。

 

wikiによると前編・後編があるがどちらも完全な形で残っておらず、総集編としてDVDで発売されているとある。だからやたらと都合よく話がすすむのだな(笑。

 

東京の英雄  1935年 松竹

監督 清水宏 脚本 荒田正男

出演 吉川満子 藤井貢 桑野通子 三井弘次 突貫小僧

 

1933年なのにトーキーで(花嫁の寝言)、1935年のこの映画は無声・・・。

字幕が暗くて薄く、消えるのも早くて読めない箇所多く、結局あらすじはネットで確認(笑。

 

藤井貢は新しい事業を興そうとする父があり、車で出勤していくお金持ち?の家の息子だが(子供時代は突貫小僧)母を早くに亡くし、父は後妻を迎える。

その後妻が吉川満子で、彼女には二人の連れ子(桑野通子と三井弘次)がいる。

江ノ島へ一家で行くが、少年は吉川の息子で義理の弟になる子が兄となる自分に対してが他人行儀であると拗ねる場面がある。父にいさめられるが、大きく足を開いて後ろ向きになる・・・という演出がさすが清水宏だと感じた。普通なら、泣かせるとか、地団太を踏ませるとかするけれど、この態度だけで子供が怒っているのだとわかる。

 

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ところが・・・父親は詐欺を犯して突然蒸発してしまう。

子供を3人抱えた吉川・・・家財道具を売り払い(多分屋敷も)アパートへ引っ越す。

職探しをするが、女給では年をとっているし、、子連れで女中はできないし、、など思い悩む。

毎晩母の帰りが遅い・・・。

 

場面代わって子供たちは大きくなった。長男の藤井貢はもうすぐ大学卒業で娘の桑野通はお嫁入りする。三井弘次も学生服を着ているので大学生か??

 

ところがお嫁に行った桑野通子は帰されてしまう。母がどうしたのかときくと「理由は母が知っているでしょ」といって家をでてしまう(多分)。

弟の三井弘次は母が経営しているダンスホール?へ行き、自分の母親がこんなことをしていたのかとショックを受け、チンピラ?になってしまう。

 

母は自分が水商売をしているのを隠していたのだった・・・。

 

義理の息子の藤井貢は無事大学を卒業し、新聞社へ入社。

仕事で街へ取材に行った先に偶然銀座を歩く売春婦?の後を追い、インタビューしようとするとそこへ家出した妹桑野通子が来る。自分も同じ商売をしているという。

その部屋には弟のコートがかかっていて三井も一緒にいることがわかる。(多分)

三井は銀座でタムロすチンピラになっていた。

 

母は藤井が一人前になったので水商売をやめ、自分がやっていた商売を藤井に言おうとすると藤井は言わないでくださいという。

 

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何も言っちゃぁいけませんという藤井貢

街のチンピラが刺されたと新聞社に一報が入る。現場へ行く藤井は刺されたのは弟だと知る。彼はある男を脅しに行こうとする仲間と仲間割れをおこし、刺されてしまったのだ。

結局入院先で三井は死亡。三井は自分の蒸発した父がまた詐欺を働こうとしていて

それを強請にいこうという仲間と喧嘩したためだったのだ。

父の居所を知った藤井は「自決」を父に要求。

この「自決」の意味がわからないけれど、あらすじだと父は逮捕される・・・みたいな筋書。

最後に藤井貢が自宅の2階から外をみる・・。

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(多分)東京の住宅地・・それも高級な・・

昭和10年当時、まだ舗装もされていない。

結局、「英雄」って誰だったのだ?な映画。

猫と庄造とふたりの女  1956年 東宝

監督 豊田四郎 脚本 八柱利雄 原作 谷崎潤一郎

出演 森繁久彌 山田五十鈴 香川京子 浪花千栄子 山茶花究 三好栄子

   横山エンタツ 都家カツ江

 

 ずーっと見たかった映画!脚本も八柱利雄だし・・・

でも期待からすると裏切られた出来(笑。

 

荒物屋の主人、森繁は飼い猫のリリーが大好きな中年男。妻の山田五十鈴は森繁の母、浪花千栄子犬猿の仲で、4年経っても子供ができないことで大喧嘩し、荷物をまとめて出て行ってしまう。その時のオート三輪がすごい。

 

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途中でパンクする車。

山田五十鈴は妹の家へ下宿することになるが、妹の夫、横山エンタツはおもしろくない。エンタツの変なギャグがなくて良かった(笑。

 

浪花は、兄の娘で不良の香川京子と森繁を一緒にさせるので山田が出て行ったことでニコニコだ。森繁も香川とは内緒?で付き合っていたので話は早かった。

 

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香川京子の水着姿

ところが香川は家のことは何もしない。だが、持参金付き、家の借金棒引きだったので浪花千栄子は何も言わない。

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煙草を吸う香川京子は初めて見たような・・

山田五十鈴は、猫のリリーを引き取れば、森繁が迎えにきてくれると画策する。

 

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山田五十鈴香川京子

猫会いたさに結局森繁が山田の元を訪ねるが、山田は猫しか眼中にない森繁に怒りを感じてなんと猫を2階から投げてしまう!!

たまに猫を蹴飛ばしたりする場面のある昔の映画があるが、猫を投げるのは初めて(笑。この映画に出てくるリリーという猫、役者にどうされようが、黙ってなされるがまま。逃げようとはしないのがすごい。投げた猫は本物ではない・・ようなネットの記事もあったが・・・真相は謎。

 

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抱かれていやがるそぶりは一切みせない凄い芸達者な猫

そこへ香川京子が押しかけてきて、山田と壮絶なつかみ合いをしている間に猫を追って逃げ出す森繁。なんとリリーはいつもの海岸にいた。

雨の中、猫を抱いて「帰る家がなくなった・・・」という森繁。この場面ではずぶ濡れの猫をやはりずぶ濡れの森繁が抱くのだが、りりーちゃん、微動だにせず。

 

香川京子の不良な若い娘の演技が過剰すぎるし、そもそもしがない荒物屋の中年?男の森繁にふたり(山田、香川)がそこまで夢中になるのは無理・・な気もする。

母、浪花千栄子の思い通りのマザコン男だよ(笑。

 

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浪花千栄子に口答えして喧嘩する香川の声を聞いて逃げ出すマザコン

 

 

東京の合唱  1931年 松竹蒲田

監督 小津安二郎 脚本 野田高梧 

出演 岡田時彦 八雲恵美子 斎藤達雄 菅原秀雄 高峰秀子 飯田蝶子

   坂本武

 

一本気な岡田時彦は同僚、坂本武の解雇に抗議し、勤める生命保険会社の社長と喧嘩したあげく、彼もクビになって失業。

家には 妻、八雲恵美子、長男 菅原秀雄、長女 高峰秀子(可愛い)、赤ちゃん(性別不明)の5人家族。子供からは自転車をねだられたり、デコちゃんが食あたり(疫痢?)で入院費がかかったり・・・。なかなか職がみつからない。

ある日、職安の前で学生時代の恩師、斎藤達雄に会う。彼は退職後、カロリー軒(名前がいい 笑)というレストランを経営しているが、手伝ってくれないか?と持ち掛けられる。そして再就職先も考えてくれるという・・・。

迷った岡田が承諾すると、その仕事はレストランのちらし配りで、町中を(丸の内あたりか?)斉藤お手製ののぼりを担いで斎藤のチラシ配りの後を歩く・・・というものだった。

そんな姿を妻と子供達にみられ、妻からはそんなことはやめてください・・雲行きが怪しくなるのだが・・・子供たちと遊ぶうちに妻もそのレストランを手伝いたいと言い出し、斎藤を囲んで同窓会を開くことになる。家族総出でレストランを手伝う岡田一家。

 

そして斎藤から仙台?の英語の教師の職の手紙を渡された岡田と妻。

いつか東京へ帰ってこれます・・・と東京を離れる決心をするのであった・・・

みたいな話だが、無声映画だし、とにかく長い(笑。90分くらいあって、冒頭は岡田の大学時代、運動場での整列風景から始まる。そこでいろいろギャグがあるのだが、

はっきり言っておもしろくない(笑。

最初みた時、なんの場面だかよくわからなかった。教師は若き斎藤達雄。後に老人姿で岡田と再会するのだ。そのための付せんだったのね(笑。

 

八雲恵美子は美しい。

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都電に乗っていると子供たちがパパだ!という。不信な顔の八雲恵美子

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同僚、坂本武をかばってクビになる岡田時彦

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美男 岡田、美女 八雲の子供役にぴったりな菅原秀雄、高峰秀子

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カロリー軒を手伝う、母、子供達、そして斎藤達雄の妻 飯田蝶子

 

ところで昭和6年?くらいの映画だけれどとにかく何もない、車も走っていない住宅地?の一本道がすごい

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斎藤達雄と会う町中。車が走っていない。

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整然とした街並み。