日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

新幹線の父 2016年 NHK

NHK BSのプレミアムカフェで2016年に放送された「新幹線の父」をみた。

 

第4代国鉄総裁、十河信二氏の新幹線計画推進の物語だ。

 

今ならパワハラと言われるような人だが、最後に胸にぐっときたのは

十河氏の遺骨を故郷の愛媛へ納骨するために乗った新幹線で車掌から遺族が十河氏の写真を窓際に置いてくれと頼まれたというところ。なんと各新幹線停車駅で国鉄職員がホームに立って迎えたというのだ。

下手なお涙頂戴ものより涙しました。

 

ドラマ仕立てで十河氏を演じたのが私の好きな大地康雄。最近は葬儀社のコマーシャルでしかみないけれど。

 

ふと思い出したんだけれど6年ほど前にアメリカ人を日光へ案内したことがあった。

帰りの東武電車をみて「ブルトレインか!」と興奮したガイジン・・・

 

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東武鉄道より スペーシア

彼らの新幹線のイメージはスペーシアだった。

ま、山形新幹線なら似てないこともないが・・・。

後年、彼らは本物のブルトレイン、しかも東海道新幹線に乗り広島へ行ったのであった(笑。

どこに行きたい?と訊くと広島というので「あ、あなた達が原爆落としたとこね」と言ってやった(笑。

 

 

 

 

 

 

甘い秘密  1971年 松竹

監督 吉村公三郎 脚本 新藤兼人 原作 徳田秋声

出演 佐藤友美 小沢栄太郎 細川俊之 初井言栄 東山千栄子 伊丹十三

   入江洋祐 丹阿弥谷津子 岩崎加根子

 

鎌倉の小説家 小沢栄太郎を訪ねて妻の書いた小説をみてもらいに北海道から上京した夫、入江洋祐と妻の佐藤友美。

できの良くない小説だったが預かっておくとなんとかその場を収めたが後日、妻の佐藤友美が訪ねてきた。たまたま出版社の専務、伊丹十三が居合わせ、小沢は伊丹に佐藤を紹介する。

佐藤と一緒に帰る伊丹はその夜、佐藤の滞在するホテルで一夜を過ごし、その後佐藤の小説は出版される運びとなる・・・。

 

主な筋は老小説家が佐藤友美に翻弄される・・・のだ。

佐藤友美の男性遍歴、老小説家の恋がメインだとおもうけれど

なんだかこれ1960年代後半に大映映画でこんなような映画があったような・・・。

 

新藤兼人脚本だったので絶対??なところがあるんだろうなと思っていた。

期待を裏切らない話だった(皮肉ですよ 笑)

 

話の途中からもう飽き飽きしてきたけれど圧巻が最後のダメ押しで

佐藤友美は「私は一人で誰にも頼らずに生きていきたいの!」といいながら

老小説家に住まいを用意させる。すると今度は「息が詰まりそうだ!」と言出て行ったあげくに佐藤友美の本の装丁をし、関係をもった画家、細川俊之のアトリエを訪ね、

「結婚して!」と言うのだ・・・。細川が笑って否定すると佐藤は細川の描いた佐藤の裸体の絵を引き裂くのであった・・・で終わりなんだけど・・・なにこれ?

 

老小説家には妻丹阿弥谷津子がいたがある日脳溢血で他界。その後佐藤友美が先生の家で手伝いながら小説の修行をしたいと言い出し、老小説家が大学生の息子と高校生の娘に相談するとふたりともものわかりよく同意(え・・・。

佐藤が怒って年中家を飛び出すがビックリなのが行方の分からない佐藤を案じている父に大学生の息子が箱根にいるのでは?と言って確かめ、二人で佐藤を迎えに行くという

この展開。あげくに大学生の息子が「父をよろしく」と自分と歳がほぼ変わらない、母亡きあとに現れた女性に言うって(笑。これは原作でもそうだったのでしょうかね。

 

いくら70年代の映画でも主人公の主張が変わるので頭が混乱する。

無邪気な悪い女でありながら結婚は懲り懲りと言ったり、結婚してといって否定されると酷いといって怒る?もうわかりましぇん。

 

佐藤友美はクール美人だが歯並びが悪いのが気になった。今ならこの歯並びでは主役はできないだろう。昔の日本は八重歯がチャームポイントとか言っていたし歯並びってあまり問題にならなかった時代があった。だから仕方ないとは思う。

71年封切で邦画が斜陽、ポルノが台頭してくる直前?の映画なのか佐藤友美の乳が見えます。その他ベッドシーンあり。

 

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衛星劇場より

 

地下街の弾痕  1949年 大映

監督 森一生 脚本 柳川真一

出演 京マチ子 二本柳寛 志村喬 高田稔 菅井一郎 伊達三郎

 

www.kadokawa-pictures.jp

 

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kadokawaより

1949年というとまだ日本は占領されていて当然GHQから検閲を受けていた映画だ。

 

梅田の地下街で男が拳銃で殺された。身元を調べるとその男の妻は刑事、二本柳寛が大学の頃結婚を申し込もうと思っていた女性、京マチ子であった。

彼女はその男が薬問屋の息子でお金持ちだから結婚したのだが、そのことを兄に責められた過去がある。

戦争が終わるとまるで抜け殻のようになった京マチ子の夫。そのために京マチ子はキャバレーで踊り子となる。夫は会社勤めをしているようだがなんだかわからない。

 

京マチ子は久しぶりに刑事となった二本柳寛を知ると反発するのだった。

 

数年ぶりに会った京マチ子の兄で大学の同窓である伊達三郎は今は警察署に詰める新聞記者となり二本柳寛と再会するのだ。

 

刑事課長?である志村喬以下、その殺しを調べるとどうも背後に密売組織の暗躍が疑われる。

古賀という心斎橋で宝石商の高田稔の元を殺された男が持っていたネクタイの持ち主だとわかり訪ねるとそれは盗まれたものだと高田稔はいう。

がっかりする二本柳寛に志村喬はそんなことはないと力づけるのであった。

 

殺された男がいたという会社をあたると、前科のある男、菅井一郎もいたことがわかる。菅井はしらをきるがその後、男を殺した拳銃を菅井一郎が所持していることがわかる。

 

終戦後4年で作られたのでロケはところどころ焼け跡、空き地、空襲を受けたと思われるビルがでてくる。二本柳寛が大阪の都会を歩き回る映像は隠し撮りに近い?ようで道行く人の中にはカメラを不審そうにみながら行く通行人が映っていたりする。

 

大映京都が撮ったとあるが不思議なのは大阪市警察局(なんだそれ)が舞台なのに誰一人として関西弁の人がいないのはご愛嬌。

 

一番の悪が高田稔なのが最後でわかるのだが、ハンサムな俳優さんは中年になると悪役となるのか「第三の死角」では森雅之が悪玉だった。そして二本柳寛も後年、日活でさんざん悪者を演じることになる。もうひとり刑事役で後の時代劇で悪役を演じた伊達三郎も刑事だった。しかし彼はもうすでに悪人顔だった(笑。

第三の死角 1959年 日活

監督 蔵原惟繕 脚本 蔵原弓狐 直居鉄哉

出演 葉山良二 森雅之 長門裕之 稲垣美穂子 芦田伸介 渡辺美佐子 

   東野英治郎

 

www.nikkatsu.com

 

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アマゾンプライムより

 

9月に咲いて散ったと思っていた金木犀が台風が過ぎた先週の土曜日、突然咲きだし

一昨日、昨日と香りが再び・・・庭の金木犀をよーく見たけれどいったいどこに花芽があるのかさっぱりわからない。

 

世の中「誹謗中傷」という有識者のコメントやら突然「誹謗中傷」と言い出した報道各社。論点をすり替えて批判や疑問、感想を誹謗中傷というのであれば日頃から政治家に対してはみんなで集まって「誹謗中傷」繰り返しているお偉い(笑、有識者様様がまさかの逆切れで国民が悪いのだとかあさましいだとか言うのってどうよ?それこそ誹謗中傷で何様のつもりだよそこのおばちゃん!と怒り心頭な最近のおばちゃんです。

 

で、アマゾンプライムで無料視聴♪

造船会社の調査部に勤める長門裕之はある日会社情報がどうも流れているようだと調査を命ぜられる。調べてみるとどうも内部情報を漏らしている社員がいたが、彼はひき逃げされ(またか 笑)死んでしまう。

株主総会を控え上層部から仕事の有能さを買われた長門

 

調査で訪れたボクシングジムには大学の同期だった葉山良二がいた。彼はナイトクラブの用心棒になっていたが、実はそのボスの森雅之の命令で長門の造船会社を罠にはめようとする男のひとりだった・・・。

 

サスペンスタッチでスピード感あふれる演出は藏原監督お得意だと思う。

 

ここでは稲垣美穂子が造船会社会長東野英治郎のわがままなで奔放な娘を演じ、渡辺美佐子長門の同僚で恋人?であったが上昇志向の強い長門に会長の令嬢との結婚話がもちあがる。

 

ネタバレだが以外とあっけなく長門が会社の非常階段から飛び降りて死んでしまうのは

どう考えても理由に無理があった。

ただし、人が落ちていく場面はなかなかリアル。

もっとなのは葉山は令嬢稲垣美穂子が押しかけてきても冷たくあしらうが、死ぬ直前に電話して好きだと告白するのってクサすぎる(笑。まぁ今見るからかもしれないが

見てられないと思いましたわ。

 

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日活より

 

 

 

 

獣のいる街  1958年 日活

監督 古川卓己 脚本 宮田輝

出演 葉山良二 梅野泰靖 渡辺美佐子 香月美奈子 芦田伸介 二本柳寛

   近藤宏 松下達夫 

 

www.nikkatsu.com

 

元ヤクザ者の葉山良二。今は飲み屋街の入り口で喫茶店を営み、大人しく暮らしている。彼の弟、梅野泰靖は傷害事件を起こし半年ほど刑務所暮らしをした。

 

ある夜、チンピラが刃物で刺され殺された事件がおこるが犯人はなかなかわからない。

 

梅野泰靖の将来を心配する兄の葉山良二は恋人、渡辺美佐子のバーに来る客を紹介してもらい、工場での働き口を探してくる。

弟の働きぶりをみて安心する兄だったが、弟の恋人、香月美奈子の家へ結婚したいと挨拶に行った弟は香月の兄から断られた腹いせに暴行してしまう。面白くない弟は前の仲間とまた付き合いを始める。香月と結婚するには新居のお金がいるのだ。

 

ロケ地は川崎映画街だとある。

そしてホームが海に際にある多分新芝浦駅が!!

ロケ地がステキでそれだけでも良い。

ただ、梅野泰靖の弟役ってどうよ?と思った(笑。

 

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春雪   1950年 松竹

監督 吉村公三郎 脚本 新藤兼人

出演 佐野周二 龍崎一郎 志村喬 英百合子 藤田泰子 高橋貞二 沢村晶子

   東山千栄子 殿山泰司 青山杉作

 

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衛星劇場より

戦後5年で封切された映画。

 

父は失業中、弟はアルバイトでなんとか大学に行き、一番下の妹はまだ中学生?。

すぐ下の妹、沢村晶子は田園調布のお屋敷へ女中として住み込みで働くことになった。

長女の藤田泰子は私鉄(東急?)に勤めているが月給の全部を家計にいれている。

母の英百合子は月1000円程度の内職。

 

藤田泰子には2年越しの恋人、佐野周二がいる。東急電車の運転士をしているがやはり家が貧しく月給の半分を入れているが、彼は藤田に兄弟と話して月給の三分の一を家に入れることにしたから結婚しようと言うのだ。

 

自分の家の事情を考えると即答できずにいたが、帰りの電車を運転してた佐野に彼女は父に話してみるというのだった。

 

家に帰ると母の機嫌が悪い。失業してから1か月、父 志村喬は失業を黙っていたのだ。その現実を知って、藤田泰子は結婚のことなど言えなくなるのだった・・・。

 

ある日、女中に行った妹、沢村晶子が家を訪ねてきた。是非奉公先へ挨拶に来てくれというのだ。

奉公先の息子、龍崎一郎に渋谷で切符を売ったのが藤田泰子だったが、中目黒で降りたとき、龍崎は切符を落としたことで駅員に始発からの運賃と罰金を払うように言われていた時に藤田が改札を通り、同僚の駅員に私は確かにこの人に切符を売ったと証言してくれたので龍崎は渋谷からの運賃だけを払って終わりになった。

 

妹の奉公先へ挨拶にあがり、龍崎だけでなくその母東山千栄子にも気に入られる藤田。

龍崎は一人娘がいるがその母親はなく(死んだ?)独身の指揮者であった。

 

帝劇のバレェの指揮をするという龍崎に誘われ、その夜藤田はバレェを見に行く。

周りの観客を見渡すと素敵なヒールの靴を履いた女性、毛皮のショールを巻いた女性をみて藤田はぼろ靴を履く自分が恥ずかしくなったりした。

 

ある日家に帰ると父と母が藤田に話があるという。龍崎が訪ねてきて娘さんと結婚したい、ついては家の面倒もみると言われたという。嬉しそうな親の顔をみてはっきりした態度が取れない藤田は考えさせてくれというのだ。

 

一方、大学生の弟、高橋貞二はデパートで万引きしようとして警察へ。

情状酌量された弟を迎えに藤田泰子が迎えに行き、突然の雨で最寄り駅前にあるラーメン屋でラーメンを食べるふたり。

そこで藤田は弟に私たちの誇りは正しく生きていることだと言うのだった。

 

翌日、出勤すると佐野周二が静岡に転勤するという。出発もその日だった。

半年ほどで戻ってくる予定だという佐野。静岡の途中まで送りがてら二人は海岸へ行く。まだ佐野との結婚も龍崎のことも何も決めていない藤田だが、家に帰ると両親が上機嫌で龍崎さんの父の経営するセメント会社で守衛として働くことが決まった、そして藤田との結婚のことも承諾の答えをしてきたと上機嫌。

ここで藤田は私は龍崎さんとは結婚しません、佐野周二と一緒になるという。

 

びっくりする両親だったがすぐに龍崎の家へ父が行き、縁談を断ることにする。

これで自分の就職もダメになると思っていた父親の志村喬だったがそれは関係なく無事就職が決まった・・・・というめでたしな物語。

 

脚本が新藤兼人なので???なところが少々。

一番はやはり妹が女中をしている家に嫁入りする(かも)という設定。

初めて龍崎の家へ行った時も藤田がお客様で妹がコーヒーをいれたりして働くのだがその後龍崎と藤田が外出したりして・・・っていうのが不自然な感じ。

 

吉村公三郎だから演出は良かったが、藤田泰子という人のセリフが下手過ぎて((;'∀')

というかなんか初めてトーキーになった時のような女優さんの喋り方でかなり独特だった。

 

藤田の家の設定が中目黒で本物の中目黒のホームが映るのだが高架されていてすでに高いところにあった。ただ駅の周りは今とはまったくちがって貴重映像。

中目黒の改札にいる駅員は与太者シリーズの磯野秋雄だと思う。 

白い粉の恐怖  1960年 東映

監督 村山新治 脚本 舟橋和郎 原作 栗山信也

出演 三國連太郎 岩崎加根子 春丘典子 今井健二 中原ひとみ 河野秋武

   菅原通済 山茶花究 曽根晴美

 

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東映チャンネルより

昨夜はアマゾンプライムで現代の邦画連続3本見てしまった。

虎狼の血(2017年)

今2が上映されているようだ。懲役太郎さんが2についてコメントしている。もっぱら本物のヤクザとの違いを言っていた。

映画冒頭から見てるだけで「痛い」指をつめられちゃう金融会社の若者・・・

破天荒な刑事に役所広司、大学出の刑事が松坂桃季。昭和63年を描いているからかなりよく描かれていると思うが無駄なおっぱい場面は勘弁して欲しいのが本音。

 

新宿パンチ(2018年)

知らない俳優さんばかりだったけれど海熊克也という人がやたらとカッコ良かったというか役にぴったりな顔、そして宮崎秋人という俳優さんの横顔が池部良を彷彿とさせる!主役のパンチ君は小澤廉という俳優さん。生まれつき?の天然パーマなのでパンチと言われるがちょっとヅラ感が凄く本気なら本当のパンチにしてもらいたかった(笑。

物語は新宿のスカウトの話なんだけどこれ「新宿スワン」からヒントを得た?と思われる演出がある。

 

夢を売る二人(2012年)

松たか子阿部サダヲ主演の火事で燃えてしまった自分たちの小料理屋を出すために

妻の主導の元、女性達からお金を巻き上げる阿部サダヲ。彼はとにかく演技が上手い。好きな俳優さんのひとり。さすがに有名な二人の主演映画だから脇役も名の知れた人が出演していた。

 

で、10月になりやっと古い邦画が放映された第一弾は東映チャンネル。

 

一言で言うと三國連太郎以下が活躍する麻薬捜査官の物語。監督が村山新治、出演者もかぶるので警視庁物語をみているようだった(笑。

 

山茶花究麻薬中毒者でなおかつ麻薬捜査官に情報を提供するスパイがなかなか。

中原ひとみはやはり中毒の新宿のパンパン役で三國連太郎にやはり情報提供するようになるが組織に狙われるので三國連太郎の家へ匿われる。幼い子供をもつ妻が岩崎加根子

 

映画によると麻薬捜査官は唯一おとり捜査を許されているという。

三國連太郎と部下の今井健二が製薬会社の秘書課に所属する社員と偽り、麻薬組織に取引を持ちかける。その麻薬組織も本当に彼らがその会社に属しているのか電話をしたり二人の後をつけて会社に入るのを確認したり、最後はボスが上層部の人と会いたいと訪ねてきて製薬会社の協力の元、年配の捜査官を常務ということにしたり、確かにサスペンスだった。白黒ってやっぱり良いね。

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白い粉の恐怖 中原ひとみ